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■ VRなアダルトコンテンツとコミュニケーション・その2(2015年12月31日)
 ※参考となる日本語記事は "VirtualRealPorn"等を参照   


もうひとつVRなアダルトコンテンツの問題点を指摘してみようと思う。
既に日本国内におけるアダルトコンテンツ配信最大手のDMMが1年前にOculus Riftやハコスコで見る360度全天球映像ポルノのプロトタイプを発表していることは報じたが、 その後1年経ち、GearVRの製品版が発売された現在になっても進展が無いが、その最大の原因は、「顔を向ければ360度周囲全体が見えることは凄いけど、どこを集中して見ればいいんだよ」ってことが大きいと思う。
2Dや従来の3Dならば、嫌でもカメラマンや監督が意図した画角しか見えないから視聴者はカメラマンや監督に任せていれば良かったわけだが、なまじ360度全体が見えてしまうと視聴者はついていけないのである。 やはり「意図的に制作する映像は、監督やカメラマンが視聴者の視線を誘導してあげなければ意味が無い」のである。
しかし、3Dテレビや3Dモニターと違ってHMDの場合は、視聴者が頭を動かした時にそれに合わせて映像の画角が移動しないと強い違和感を感じてしまうのも事実だ。 それも慣れてしまえばそんなものだと思えるようにはなるが、2時間の3D映画でも30分の3Dポルノでもシーンによっては無意識に頭を動かしてしまうのでその時点で没入感(プレゼンス)は大きく損なわれてしまう。
で、現在先進的なポルノサイトでは、「いくらVRと言ってもポルノの場合は視聴者の背中側の映像まで作る必要も見せる必要も無い」という考えに基づき、前方180度を見せる方法が始まっている。 これならば監督やカメラマンが意図した「これを見せたい」という画角を維持しつつ、視聴者は頭を左右に大きく動かしてもその視界に応じた範囲が見えるので没入感(プレゼンス)が損なわれることは少ないし高画質もキープできるのである。
同じことは一般の人が何かを意図した映像を撮る場合にも言えると思うし、コンサート会場の撮影などでも自分の後ろの見ず知らずの客が見えても意味は無いのである(可愛い子が居てそれを気付かれずに撮りたいなら別だが)。
しかし問題は、このような前面180度3D映像を撮影できる市販カメラがまだ無いことである。
今月25日に目標額を達成して終了したクラウド・ファンディング・プロジェクトには「LucidCam」(https://www.indiegogo.com/projects/lucidcam-the-world-s-first-consumer-3d-vr-camera#/)という前方180度3D映像をフルHD画質で撮れるカメラがあるが、その安さから、どうみても光学系がオモチャっぽい。
アイデアは非常に良いのだから、これでGoPro最新モデル並みの画質であれば非常に有用なカメラになりそうだし、日本製やドイツ製ならば良いのになと思うのは私だけではないだろう。





■ VRなアダルトコンテンツとコミュニケーション・その1(2015年12月31日)
 ※参考となる日本語記事は "ニュースイッチ"等を参照   


さて、VRなコンテンツとしては既にゲーム業界ではトライアルが始まっているし、来る2016年春には日本でも「プレイステーションVRゴーグル」の発売に合わせて360度全天球映像の中で楽しめるゲームがいくつか発売されるが、 アダルトに関してはもう既にOculus RiftGear VR向けにいくつかのコンテンツがダウンロード販売されているし、実験的なものとしてはおっさんの動きをリアルタイムにキャプチャーし、 その動きをVRゴーグルに映る初音ミクにリアルタイムに反映させることも可能となっている。
さらには、1986年のアーノルド・シュワルツネッガー主演映画『バトルランナー』の中に出てきたような「Aさんの顔をリアルタイムにBさんの顔に置き換える」技術が既に実用段階になってきた。
このデモはむさくるしい男二人の例で面白くはないが、これをデブのおっさんと可愛い女の子の場合を想像してみれば、その技術の末恐ろしさが分かってくるだろう。
つまり、例えばAVでは、予め可愛いAVモデルの全身を1回3Dスキャンしておけば、あとはブスでデブなおばさんが演技しても、最悪おっさんが演技しても出来上がった映像は可愛いAVモデルそのものといったものが出来上がってしまうのだ。 ま、画質的には顔の表情などに違和感が無くなるまでに進化するにはまだ時間が掛かるだろうが、そもそも画質にこだわらないアダルトライブ・チャットなんかでは現時点での画質と動きでも相手を騙せてしまうのではないだろうか。
その時に問題となるのは、かつて音楽が80年代以降デジタルサンプリング技術の発達に従って各楽器のサンプリング音源が商品化されたことによって、それまでスタジオ・ミュージシャンとして生計を立てていた多くのミュージシャンが食えなくなってしまったことと同じように、 AVモデルやチャットモデルも一度3Dスキャニングされてデジタルデータとして販売されてしまうと、わざわざギャラを払って実演撮影する制作会社は無くなり、AVモデルやチャットモデルは実演してギャラを稼ぐことができなくなり職業としてなり手がいなくなってしまい、 その結果、音楽業界と同じように益々アダルト業界も廃れていくという寂しい未来の可能性もあるのではないだろうか。
【補足情報】2016.01.03
3DやVRマニアたちの専門的なサイトではなく、多くの人々が見ている『GIZMODO Japan』に2016年1月3日、 『恐れていた未来が現実に! 2次元美少女に扮したオッサンとビデオチャットできる「FaceRig Live2D Module」』と題するアプリの紹介記事が掲載された (http://www.gizmodo.jp/2016/01/2facerig_live2d_module.html)。 このアプリはウェブカメラで認識したオッサンの顔の表情に応じてあくまでも二次元の絵の表情をリアルタイムに連動反映させるもので価格は数百円のものであるが、 上掲のシステムやマイクロソフトが開発を進めている3Dキャプチャー&デジタルモデリングの技術が組み合わされて三次元同士をリアルタイムに動かすアプリが登場するのも時間の問題だろう。




■ VRとHMDによる新たなビジュアル・コミュニケーションとは(2015年10月30日)


ここ数年、一般コンシューマー市場における3D分野のハードウェアに関してはニンテンドー3DSの視差バリア方式+フェイストラッキングによる裸眼3Dを除くとHMD並びにその派生デバイスしか話題にするものがない。
もちろんソフトウェアに関してはハリウッドを中心とした3D映画の制作数は順調の推移し、アニメは風景もアニメならではのキャラクターの質感もどんどん向上し、実写についてはかつての3Dカメラだけによって撮影された作品に見られた左右の色・反射のズレや遠景との違和感などの不自然さが2D3D変換技術の進化によってほぼ無くなり驚異的に良くなっているし、 中国、インド、タイ等で制作されている実写3D映画の質は「貞子」のような日本のそれよりも遥かにクオリティーが高くなっている。

逆に日本では映画館での3D版鑑賞料金が高くなる傾向だし(2D版ですら欧米に比べてはるかに高いのに)、国内で頑張っている3D制作者たちは殆ど評価されない状態だし、3Dを見る環境も制作する環境もどんどん悪くなってきている。
また、ゲーム市場も急速にスマホへのシフトが進み、リアルさやストーリーの面白さの追求よりも、手軽さ、ちょっとした暇つぶしの道具になってしまい、優れたゲーム企画者や脚本家、それをどれだけリアルなビジュアルにできるかの高みを目指すCGクリエイターが育ちにくい環境になってしまっているように思える。

そんな状況の中で、360度全天球映像の世界に入り込めるほどに画質も追従性も進化した現在のHMDは、医療・教育・工業デザインなどの業務分野はもちろんのこと、 ゲーム、ライブコンサート実況、新たな表現の映像・映画といったエンターテイメント分野、そして「VR空間を共有した新たなビジュアル・コミュニケーションツール」として大きな可能性を持っている。
しかし、いくら可能性と言われてもイメージできないという人が多いと思われるので、今回は具体的な例をいくつか示してみたいと思う。

さて、VR空間の中でのビジュアルなコミュニケーションというと2003年に始まり2007年に日本でもブームになった「セカンドライフ」を思い起こす人が多いと思う。
当時のセカンドライフの3DCG世界をスムーズに闊歩するにはハイスペックなパソコンと「最低日常会話程度の英語ができる」ことが必要だったし、自分の分身のアバターに一体何をさせるか、そもそも自分はバーチャルな空間で仮想の人々と何をしたいのかをハッキリ自覚してそれをアピールできる人でなければ、決して居心地の良い場所ではなかった。
十分なハードも英語と国際感覚もITスキルも持たない人が多かった当時、セカンドライフが提唱するインターネット上にバーチャルな仮想空間を共有してそこで自由にはばたくというハードル自体が高く、時代が追いついていなかった、早すぎたとも言えるだろう。

セカンドライフ・ブームとそれが去ってから10年近くを経て、デジタル・ネイティブ世代がインターネット社会の中核層となり、日本だけでなく世界中で英語を共通語としてコミュニケーションができる人も増え、 パソコンもスマホも高精細な3DCG世界を低コストで楽しめるようになり、かつてのペラペラな漫画のような質感のVR空間とは比較にならないほどに現在の3DCGが作り出す映像のリアリティーは高まり、それを360度自由に見られるようになった現在、かつてのHMDの「没入感」「臨場感」を超え、 まさにそこに自分が居る「プレゼンス」という言葉で表されるレベルにハードもソフトも進化した。

また、もともと人間には「全員が1箇所に集まりたい」場合と「それぞれの特化した分野の共通項のみで集まりたい」場合があり、インターネットのような世界では現実の社会のしがらみから離れて同じ趣味や価値観で集まる場合が多いし、そんな世界にわざわざ現実社会のしがらみのある関係性を持ち込みたくないと考える方が自然だろう。 例えば2ちゃんねるは巨大な1つの場所ではあるがその中身は全く個別・バラバラで相容れない集団を形成しているからこそ成立している。 それと比べるとセカンドライフは、大きな仮想空間がまるで現実社会のコピーのような構造で、現実社会同様に異分子たち(本来人間は一人ひとり個々に独立した異分子のはずなのだが)には住みにくい場所のように思える。
もちろんセカンドライフでも特定の建物の中に入れば、共通項を持った人たちが現実社会ほどの縛りのない空間で過ごす事はできるがそれでも「セカンドライフ」という全体枠を壊すようなものは排除されてしまう。
だったら、共通項で集まった人たちだけで共有できる1つの仮想空間を無数に作れるほうが自由で面白くないだろうかという考えが浮かんでくる。 入り口は2ちゃんやニコニコ動画やユーチューブのように1つでよいが、そこから先は無数のスレッドが広がっているように、共通項で集まる人々ごとに無数の仮想空間が広がってそこでリアルタイムに音声付きのビジュアル世界を共有するというイメージ。

例えば左上の写真は「●●ちゃんのニコ生が●時から始まるから好きなヤツらは●●に集まって皆で見ようぜ」みたいなイメージで1つの仮想空間を作り、 そこには巨大なスクリーンがあってニコ生が映り、人々が自分のアバターで集まってワイワイと楽しむという例。
他にも例えば仮想空間上のスポーツバーに集まってサッカーやテニスの実況を皆で観戦してワイワイ盛り上がるようなものもできるだろう。
実際にリアルなイベントやスポーツバーに集まりたい人はそうすればよいし、時間的・距離的・経済的にその場に行けない人とかもVR空間なら自由に集まる事ができるし、あるいは現実社会では絶対に実現できないような場所、例えば月面で丸い地球を背景にしてとかサメの大群が泳ぎまわる海中とか可愛い裸の女の子達がたくさんいる仮想キャバクラなどもVR空間なら作ることができるだろう。
もちろんこのような「多人数が共通項で集まれるVR空間」はバーチャル・オフィスとして仕事や通信教育などでも使われるだろう。

次に、多人数ではなくよりプライベートなVR空間の共有、つまりリアルな友達や恋人とマンツーマンで、ゴージャスなインテリアの部屋でも夜景の綺麗なバーでも、海が綺麗なビーチでも、CGで作られたバーチャルな景色の3D空間で離れた場所の2人が一緒の時間を過ごすことができるだろう。
もちろんそのようなマンツーマンでの使用は「医者や弁護士や個人教師とのバーチャルな対面形式の診察や相談や授業」が表向きにはメインにされるとは思うが、 おそらく商業的には最初に「アダルト・チャット」あたりから具体化されていくように思われる。
バーチャルといえども、医者・弁護士・教師も「アダルト・チャット」の女性も最初は実写でなければ信頼性もなくお金を払う客もないだろう。彼らはリアルな部屋もしくはマッピング合成したリアルなCGによる部屋から自分の実像と音声を360度ステレオカメラで送信し、客はHMDを掛けることで見ることができるバーチャルな部屋に入って彼らとマンツーマンで話をしたり、アダルト・チャットならそこでHなことを見せている実際の女性に色々リクエストをしたりできるといったイメージである。

さて、そこで問題なのは自分の姿をどうするかである。もちろん多人数とのVR空間共有の場合とマンツーマンでの共有の場合で異なってくるだろう。
知らない多数の人々とのVR空間共有の場合ならば基本的に皆、好き勝手な、性別までも変えたアバターを作ることだろうし、棒人形のようなものでもいいし、キャラクター化したものでもいいし、自分とは全く似ていない理想の顔や体型でもいいだろう。
しかしリアルな恋人とのマンツーマンの場合や仕事上のバーチャルオフィスでのバーチャル会議などではやはり本人に限りなく似せたアバターの方が「存在感や会ってる感」が高いと思う。
そんなアバターであるが、セカンドライフではブームは去ったとはいえ結構リアルな描写のアバターが出来ていたし、これからもっとリアルなものが必要になるだろう。

オープンソースのCG作成ソフト「ブレンダー」で作られた美少女の3DCGが最近ネットで話題となったが、これは動かす事もできる(もちろんまだハリウッド映画のように顔の表情もモーションキャプチャーしたCGほどの動きは出来ないが)ので、 このような美少女や美少年を自分のアバターにする人も出てくるだろう。

また、できるだけ自分に似た分身としてのアバターなら、既に数年前に映像が公開されて話題となった"The Digital Emily Project: Achieving a Photoreal Digital Actor" の手法をさらに進化・簡単化させて、スマホの動画撮影で自分の顔を右から左へ半円形に動かしながら自撮りした動画からほぼ完璧な自分の顔の3DCGを簡単に作れるソフトも開発されるだろう。 そしてそれは、前述の美少女3DCGもリアルな自分3DCGも、パソコンモニターに付けた高精度でハイスピードなモーションセンサーカメラが実物の顔を自動認識してその細かな表情の変化をキャプチャーしてリアルタイムにアバターに反映して動かすレベルに進化するだろう。

さてそのように、VR空間の共有とリアルなアバターが実現する数年後、この社会はどのように変わるだろうか、特にエロに的を絞って次回のこのコラムで妄想してみたいと思う。





■ 「Oculus Rift」、来年中に500万台以上を売り上げる見込み(2015年10月16日)
 ※参考となる日本語記事は "ガジェット通信"等を参照   


2016年第1四半期中(アメリカ企業なので2016年1月〜3月)にOculus Riftの製品版を発売すると公表したOculus VR社ですが、 早くも世界有数の証券会社クレディ・スイスのアナリストが、2016年におけるOculus Riftの販売台数が500万台を超える見込みとの予測を明らかにした。

500万台以上という数字は一見かなり盛っている感じはするが、パソコンベースのゲームが日本とは比較にならないほど普及しており、 また、人気アーティストのライブコンサートの3D映画やブルーレイ版が売れている欧米諸国、さらにはOculus VR社の親会社であるFacebookOculusGear VRを単に新しい全周囲モニターとしてではなく、これからのインターネット社会における全く新たなコミュニケーション・デバイスとしての普及を戦略的に考えているからという背景がある。

同じような戦略はマイクロソフトもHololensで実現させようとしているが、眼線3Dカメラや高精度な各種センサーを内包し単体でWindows10を動かせる完全なウェアラブル・コンピュータであるHololensは開発者キットでも価格が3000ドルもするため、研究機関や医療機関、工業デザインや建築業界などをターゲットにした「使い手を選ぶデバイス」である点で大きく異なっている。
もちろんHololensも500ドル程度の普及価格になればゲーム用デバイスや一般的なコミュニケーション・デバイスになる可能性とOculus Rift以上の先進性を持ってはいる。

今もなおパソコンベースのIT環境が残っているというかパソコンが基本でありスマホはあくまでもモバイル端末である欧米ではVRを活かした高画質なHMDがマーケットを確立する可能性は大きいが、日本のようにパソコン保有率が激減している地域ではハイスペックなパソコンを必要とするものは敬遠される可能性も大きいし、 既にスマホで十分と思っているITリテラシーの低い人がこれから新たにパソコンを買おうとする可能性は極めて低い。

逆に言うと、これからのVRコンテンツが、Gear VRでもiPhoneでも、どのメーカーのアンドロイド・スマホでも、コンサートライブを観たりVRゲームをやったりVR空間内のショッピング・モールで買い物をしたり仕事でバーチャル会議をしたり仲間とバーチャルオフ会をしたりするだけなら、機能的にはOculus Riftと同じくらいに使える1,000円程度のスマホHMDゴーグルが大きなマーケットを開くかもしれないし、その可能性を含めて、グーグルは自分でも手軽にVR用の空間デプス情報を含めた映像を撮影・記録・共有できるスマホとシステムの開発を進めている。

もちろんOculus VR社はそのことも見越してスマホベースのGear VRとタッグを組んでいるわけで、今後さらにOculusの技術を他社のスマホにも提供していく可能性がある。 さらにはグラフィックボードのNDIVIAや従来タイプのHMDメーカーであるVUZIXなどもソフト・ハード両面で食い込もうと開発を進めているし、超安価なスマホ用ゴーグルは既に中国企業がほぼ市場を独占しこれから他国が入り込むにはスマホをセットしたままで操作できるリモコン機能や、スマホのカメラ機能を使ってVR映像と実写を合成して見せるために外部が見える機能等を持たせないと売れないだろう。

それらの基本的なハード・ソフトと併せて、1990年代のマテル社のファミコン用パワーグローブを高度に進化させたような「VR空間の中のモノに触った触感を得られる」コントロールデバイス、フィードバックデバイスも開発が進んでいる。
2016年はこれらがどのように一般大衆に訴求し、受け入れられるかの1年になるかもしれない。

かつてはマニアのものだったアクションカメラのGoPro(セッティングが面倒)やドローンがわずかな年月で一般化したのだから、VRやHMDが絶対に普及しないとは誰にも言えないだろう。




■ DMMの360度VRアダルト「DMM.VR+18」はどうなった?(2015年10月15日)
 ※参考となる日本語記事は "DMM.R18動画"等を参照   


このコラムで紹介しているように、VR技術を活かしたHMDやスマホHMDゴーグルは最近ではテレビ番組でも取り上げられ、東京ゲームショーやCEATEC JAPAN 2015でもHMD関連ブースの人気と注目度は非常に高く、 「HMDクラスタ」「VRクラスタ」と呼ばれるようなマニア層も形成されつつあるのだが、 私の個人的な感覚的には、2010年の幻の3Dブーム時よりも「よく分からないな〜」という人が多いような気がする。

その最大の原因は「体験してみないと凄さや良さが分からない」ことなのは明白なのだが、一般人がそれを「体験する」までの物理的ハードルが結構高い。 OculusGear VRのデモ機の顔に当たる部分には、一応剥がせる不織布を付けて視聴者が変わるごとにそれを取り替えたところもあるが、多くはスポンジ状の顔当てクッションがそのままだったり、前に使った人の興奮の熱気でレンズが曇ったままだったりで、若い女性でなくともそれを装着するのを躊躇わせる空気がある。 3Dテレビの場合は、3Dメガネを掛けることも嫌な人のために多くの展示場では持ち手棒付きの3Dメガネを用意して、一切顔に触れることなく大画面で3D映画のデモ映像をすぐに見られたことと比べたらデモ用HMDを装着するのは非常に厳しい。

さらには、この2年間でVRを生かしたHMD用の360度全天球コンテンツのデモ映像が増えたとはいえ、ハリウッドの3D映画をそのまま使えた3Dテレビのデモ映像に比べたら遥かにクオリティーが低いというかアイデアは非常に良いのだが、そのアイデアを活かせるほどには映像の質が追いついていないと思う。

さて、前置きが長くなったが、良くも悪くも先進的な技術をアダルト業界に導入しているDMMは、2011年頃には既にメガネ無しで立体に見える7インチの「裸眼3Dサブモニター」を発売していたし(解像度が低い割には価格設定が高いために売れなかったようだが)、 昨年2014年暮れには、Oculus RiftGear VRや安価なスマホHMDゴーグルで見ると360度自由視点で見られるアダルトサイトのベータ版を発表している。
同時に非アダルトなアイドル版も発表している。

がしかし、その後1年近く経ったが進展は無い。
その理由としては、

,泙世泙整貳姪にはOculus RiftGear VRや安価なスマホHMDゴーグルの存在が認知されていない、

■硲唯銚けにはどのようなコンテンツが受けるかが分からない、

8什澆瞭本では低画質でも手軽にスマホで見られるアダルトコンテンツがマーケットの主流であり、360度VRなコンテンツは撮影と編集に非常に手間が掛かる割には現状では商業的に元が取れる見込みが薄い、

の3点が大きいように思われる。

一部の経済評論家やアナリストは現在、VRやHMDは今後アダルト業界が参入することによって大きくマーケットを広げる可能性があるとは言っているが、それは3Dテレビの時も同じことが言われていたが結果は全く流行らなかった。
その目論見が外れた大きな原因のひとつは、「日本を筆頭に、一般の人々は3Dや高画質・高臨場感に対しては費用対効果で考えている」ことだと思う。コンテンツを見る理由がオナニーのためであるならば手軽にスマホで抜ければそれで良いのであって、 極端に言えば、コンテンツ自体もスマホで撮影されたおバカな素人ハメ撮りで良いのであり、オナニーのためのコンテンツを見るだけのために高額な追加費用を投じたくないのである。反面、経済的に余裕のある富裕層(特に中国)では今も3D需要は高いし、ハリウッドの3D映画はもとより3Dアダルトコンテンツも作られ続けているし、さらに高画質や臨場感の高いアダルトコンテンツを求めているのである。

このようにアダルト・マーケット自体の二極化が進む中で、VRやHMDのためのコンテンツ制作にはターゲットや企画面から根本的な難しさがあり、それを乗り越えるにはVRやHMDや3Dを熟知した優れた制作者が必要になるだろう。

見る目的がオナニーのためであっても、余計なお金を出してでも見たくなるようなコンテンツを作れるか否か、それはアダルトに限らず、今後のVRやHMDの行方を左右する大きな課題だと思う。

約3年前にOculus Rift DK1 が発表された時にその可能性に最も早く気付き、面白おかしいVRコンテンツを多数作り出したのは日本のマニアたちだったが、 現在、欧米の優れたクリエイターやメジャーなゲーム開発会社が参入しはじめ、おそらくアダルトも、アメリカより規制の甘いドイツやオランダあたりを拠点にした制作者が本格的に参入して先制してしまう可能性があるように思えてならない。




■ 製品版の"Gear VR"は99ドル!(2015年9月25日)


9月23日から25日までハリウッドで行われている第2回"Oculus developer conference"(オキュラス用ソフトやデバイスの開発者向けカンファレンス)で、日本でも現在開発者向けとして販売されているサムスンの「Gear VR」の製品版の概要が発表された。

それによると、対応するスマホは"Galaxy Note 5, Galaxy S6 Edge+ S6 Edge S6"で、現行のものより20%スリム化し、2015年11月より出荷。価格はなんと99ドルと現在のInnovator Editionの1/3ほどに安い。
スマホをはじめ全体的に売上が落ち込んでいるサムスンとしては、Gear VRでGalaxyの売上にテコ入れしたいのだろうとも思える。

さて、スマホをHMD化するゴーグル自体は、アマゾンで送料込み560円のダンボール製のものから3000円ぐらいまでのものまで沢山の機種が出ているが、 例えばグーグル・カードボードのような「磁石でスマホをコントロールする」機能は全てのスマホの標準ビューアーソフトには対応していないし、実際に動かしている人は見たことが無いが、 Gear VRは専用機だけあってその点はしっかりボタン操作ができるようになっていて使い勝手は非常に良い。 が、現在の開発者向けより価格を大幅に安くしたとはいえ、超安価な560円のダンボール製でも今使っているスマホで見られればいいという人や、スマホをわざわざGalaxyに買い換えたくないという人が圧倒的に多いと思われるので、日本での普及には壁が高い。
もちろんサムスンは、昨年からのアナウンスのとおりに、ゲームを含めてOculusを取り巻く多くのVRコンテンツ制作・供給企業からコンテンツを集めて配信を行っていくものと思われるが、ニコニコVRやその他の魅力的なVRサービスが日本でどんどん行われないと、普及はかなり厳しいとも思われる。




■ 今年の東京ゲームショーはVR元年か...(2015年9月17日)
 ※ニコニコVRについて参考となる日本語記事は "AV Watch" 2015.06.17の記事等を参照


幕張メッセで東京ゲームショーが始まった。
3Dマニアならずとも、東京ゲームショー2015は、ゲームや映像がいよいよ360度全天球視界の世界に入り込むという新たな時代に突入したことを実感させられるエポック的なショーとして歴史に刻まれるかもしれない。
そこで中心的な役割を果たしているのはやはり「Oculus」のようである。
もはやOculus VR社は、当時19歳のパーマー・ラッキー君が創業しOculus Rift DK1を開発した時の「新アイデアの安価なHMDメーカー」ではない。 わずか3年で「VR」というキーワード(それ自体は決して新しいものではないが)が作り出す新しい世界を牽引する巨大なビジネス・ブレインになろうとしている。
それは今回の東京ゲームショーのOculusブースに掲げられたデモ一覧を見れば分かるが、それらはあくまでも今回の日本でのゲームショーに限定しただけのものであり、親会社であるFacebookの資金力を背景に、同様の取り組みは世界の主要国で行われ始めているし、 それぞれの国でさらに複数の企業体によるVRプロジェクトをまとめるところが誕生している。
そのひとつが日本ではニコニコ動画のドワンゴだろう。
既に当コーナーでは2014年2月5日付けで「日本でもオキュラス関連メジャービジネスがもうすぐ立ち上がる?」でドワンゴの動向について紹介しているが、当時のドワンゴ+NTTにさらにコンテンツ・ホルダー大手であるカドカワが加わり、今回の東京ゲームショー終了後から正式に視聴アプリを公開する。
その詳細についてはAV Watch 2015年9月17日付け「HMD「Gear VR」で360度ニコ動を観るアプリ「niconicoVR」。寝ながら視聴も」を参照されたい。

同様に、ソニーが発表した「プレイステーションVR」も東京ゲームショー開幕後午前11時にはデモ体験の1日のキャパをオーバーして申し込みを締め切るなど、関心の高さが分かる。

さて、このような360度全天球視界が作り出す新たなビジネスはゲームだけでなく遠隔医療・教育をはじめ様々な分野が考えられるが、最も実験効果が高くかつ集金力がありそうなのが「ライブ・コンサート」だろう。
現在音楽CDの売上は激減しているが、ライブは「物販」と併せてマーケット規模を大きくしている。しかしライブ会場が収容できる観客数にはおのずと限界があるし、最適な位置で見られるシートのチケットは高額にせざるをえない。 もしそれをVR技術でその場に居るのと同じ体験ができるようなライブ配信ができれば、会場の観客収容量に関係なく無限の観客数を動員できる。
もちろん実際にライブ会場に入れる人のチケットはまさに「プレミア・チケット」であり現在と同じ料金で良いし、リアルタイム配信視聴料金はその10分の1ぐらいで良いと思うし、さらにタイムシフトで自由な時間に見る場合は1コンサート100円ぐらいで良いと思うが、その辺はマネジメントしだいだろう。

ただし、現在ニコニコVRが配信を予定している視聴環境は「Gear VR」であり、それだけでも3万円ほどするし、サムスンのスマホ「Galaxy S6」または「Galaxy S6 edge」を持っていることが必須条件であり敷居が高過ぎる。 本来、少なくともアンドロイド・スマホなら受信はできるだろうから、ハードを限定せずに間口を広げてiPhone用を含めて無料アプリとして既に数十億台普及しているスマホと安価なスマホ用HMDゴーグルで誰でも体験ができるようにすれば、結果的にマーケットが広がるのではないだろうか。

さて、現在「VR」という新ネタで儲けようとする魑魅魍魎が居るし、かつての3Dブームの時と同じようにちょっとかじっただけでクリエイター目線の無いエンジニアがVR市場に参入して引っ掻き回す危険性もあるので、その辺は注意が必要である。 私のような古くからの3Dマニアは2010年以降の3Dブームの時に嫌というほどそんな魑魅魍魎や山師たちに酷いめにあったので、同じことをVRクラスタの人々には味合わせたくない。

また、非常に重要なのは、単に360度全天球視界VRに2Dのコンテンツを載せただけではドームスクリーンに映像を投影したに過ぎず、そこにはデプス情報を持った「空間」は無い。
真のVRには3D映像によるデプス情報を持った「空間」が必要であり、さらにはそのVR空間と視聴者とを隔てる「見えない壁」を無くすための様々なインターフェース技術の革新が必要だろう。 現在のVRはまだジュラシック・ワールドのガラスのポッドの中から外のVR空間を見ているレベルに過ぎないと思う。ガラスの壁の外との触れ合い感、一体感はまだまだ希薄だ。 そんなガラスの壁を外から打ち破って視聴者をVR空間に引きずり込むのはマイクロソフトやグーグルのような恐竜なのか、それともOculusなどが内側から打ち破ってVR空間と繋げるのか、さらには、壁が無くなり真にVR空間と現実とか一体化した時のSF映画的なリスクをも含めて、色々と楽しみである。

【補足情報1】
現在、東京ゲームショーでドームシアター+赤青メガネのアナグリフ3Dで上映している「攻殻機動隊 Virtual Reality Diver」は「フルカラー版・全天球立体映像は近日中に各種VRHMDで自由にご覧いただけるよう配布予定です。」とのことである。
【補足情報2】
東京ゲームショー「Oculus」ブースでのデモに関する速報が「4Gamer.net」に掲載されたのでコチラを参照されたい。このリポート記事筆者の「3D酔いへの配慮を前面に打ち出したデモから受けるのは一抹のさみしさ」については私も全く同感である。 VR立ち上がりの段階では「安全への配慮」は非常に重要だが、それによって最も大切な「VRならではの面白さ・凄さ」がスポイルされてしまったら意味が無いと思う。




■ソニーPS4用HMDの名称は「PlayStation VR」に...(2015年9月16日)
 ※参考となる日本語記事は "AV Watch" 2015.06.15の記事を参照


ソニーは「Project Morpheus(プロジェクト・モーフィアス)」として開発が進められているヘッドセットの正式名称を「PlayStation VR(プレイステーション ヴィーアール)」に決定したことや、クラウドゲームサービス「PlayStation Now」の国内開始、周辺機器のワイヤレスヘッドセットなどを発表したとのこと。
また、9月17日から開幕する「東京ゲームショウ2015」において、「ファイナルファンタジーXIV ONLINE」や「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project」、「サマーレッスン」、「ダンガンロンパ」などのVRコンテンツを試遊できるコーナーを用意するとのことである。

このソニー民生用第3世代HMD(1996年代のグラストロン、2011年のHMZ-T1以来)ともいうべき「プレイステーションVR」のスペック等は元記事を参照されたいが、Oculus Rift製品版に最も近いと言われている現在のプロトタイプ「Crescent Bay」はおそらくパネル供給元のサムスン「Gear VR」の解像度2560×1440と同等ではないかと言われており、2016年春頃に発売予定の製品版も同様もしくはフレームレートや動きセンサーへの追従性の向上で体感上はGear VRを上回るだろうと言われている。
眼の前数センチのモニター画面を拡大レンズで見るHMDにとってはまず第一に解像度が非常に重要であるので、ソニーも製品版ではフルHD以上の解像度としてくることも考えられる。 また、専用機ならば3Dカメラで捉えた実世界とゲームのキャラクターをリアルタイム合成して、より「リアルなバーチャル世界」という不思議な世界に入り込めるような各種のデバイスも作りやすい。
このようにVR技術と高画質なHMDは、スマホに奪われたゲーム市場を再び専用機に呼び戻すインパクトを我々に与えるかもしれないが、実はスマホ・ベースのネットゲームでも安価なスマホ3DHMDゴーグルにスマホをセットすればVRゲームは実現できるし、 量産効果を考えればスマホをベースにした方が高画質な4K有機ELパネルなりIGZOパネルは投入しやすいと思う。 今までは「専用機もソフトも大画面テレビも大型モニターも買えない貧困層がスマホ・ゲーム市場を成長させた」と言えると思うが、VRゲームの場合はスマホでもその迫力は専用機とほぼ同じなわけだから、現在よりもさらにネット・ゲームが広がるかもしれない。
よって、プレイステーションやX-Boxのような専用機に拘ると大変な落とし穴に落ちて這い上がれなくなる危険性を抱え込む事になる。 その点ではPC版がコケた時の保険として「Gear VR」のサムスンにもVR技術を提供してスマホ・ベースのネットVRゲーム市場もおさえる気満々なOculus VR社の方が堅実であるとも思える。

ともあれ、Oculus Riftが火をつけた21世紀のVR市場にソニーは「プレイステーションVR」で、 マイクロソフトは「HoloLens」で参入し、ゲームだけでない全く新しいパーソナル・コンピューティングとコミュニケーションの世界を作ろうとしているし、 高価な専用機でなくても安価なスマホ3DHMDゴーグルでもほぼ同じ品質のものを楽しめることは良い事だと思う。

あとは何度も言ってきたように「HMDを付ける面倒くささを忘れさせてくれる威力のある大量のコンテンツ」と「装着時のための操作リモコンやモーションセンサーによる入力デバイス」が安く提供される事が必要だと思う。




■巨匠・筒井康隆も驚くスマホ3DHMDだが...(2015年9月13日)


少し前の放送になるが、日本のバラエティー番組で『イタリアではどの日本製最新オモチャが人気か』の中でスマホ3DHMDが紹介され、SF文学界の巨匠・筒井康隆はそれを1番のお気に入りにしていた。 しかし、スマホを3DHMDとして使うというアイデアを含めてあたかも日本製として紹介している番組の姿勢は大きな問題だと思う。
ま、逆に言うと、Oculus VR社をフェイスブックが二千億円以上という巨費で企業買収したことも含めて、未だスマホ3DHMDは全く一般人には知られていないと言える。
もちろん現在、スマホ3DHMD向けのコンテンツ(ほとんどはまだプロトタイプや技術紹介のレベルだが)は日本発が多いしバラエティーも豊富だが、 それとて3D映画や3Dゲーム同様に、アメリカのコンテンツ・プロダクションが本気になれば日本のチープな映像制作技術やセンスによるものなどあっという間に駆逐されてしまう可能性が大きい。

3Dプリンターの時もそうだが、日本のマスコミ界の「テクノロジー音痴」「自分達が理解できない技術は報道しないかテキトーに表面のみ紹介し、それが間違っている事も多い」姿勢が問題だと思う。
本来、現在の日本が今後も世界の中で生き残るには、ハードもソフトも含めて「テクノロジー」が生命線であるはずだし、 それは単に工業の話だけではなく、国民の生活のためのインフラから個々人の生活レベルにまで及ぶはずなのだが、マスコミはそれらを「正しく」「迅速に」報道してはいない。
それを改善しなければ日本の未来は悲観的な姿しか見えてこない。




■これはホンモノだが、DMMのナンチャッテなものをホログラフィと呼ばないで欲しい(2015年8月9日)
 ※参考となる日本語記事は PR TIMES 2015.06.30の記事を参照


3Dテレビがマーケット的に失敗してからは、ニンテンドー3DS以外の3D視聴デバイスといえばHMDやスマホHMDゴーグルしか存在しないため、 このコラムもそればっかりで書いている私自身も少し飽きてきている。
そこで、HMDやゴーグルから少し離れて、裸眼3Dモニターやホログラフィについての最新情報と、こりゃいかんだろうと思うことについて書いてみたい。今回は、「2020年東京オリンピック開会式のアトラクションをホログラムで」なんてほざいている風潮に対する警鐘を含めて、ホログラムやホログラフィック・ディスプレイについて私見を述べたい。

さて、2015年7月に筑波大学の研究チームが発表した動画が海外で「また日本人が凄いことやった」と話題となっている。 日本ではアンチ3Dやそもそもこの映像が示している技術とその原理とこれからの可能性を分かってない人がほとんどなためか大きな話題にはなっていないが、 この「空気をプラズマ化させてそこに触っても安全かつインタラクティブな映像を生じさせる」ことを実現した筑波大のチームは、人類が成し得てきた技術史上の上でも革命的に凄いことをやってしまったと私には思える。 高柳健次郎が1926年に世界で初めてブラウン管に「イ」の文字を映し出してその後のテレビ(電子式テレビ)の基礎を作ったことの100倍以上凄い可能性があると私は思っているし、 この技術がさらに発展し実用化され、スターウォーズのレイア姫のような実写動画像を空間に表示できるようになればノーベル賞を与えるに相応しいものだと思う。



そして筑波大でこのプロジェクト・チームを率いているのが助教の「落合陽一」君。
昭和な私の目に映った彼は、一見チャラい風貌だし、かつてテレビ番組で取り上げられた時のマジシャン風の服装(それは番組制作側が着せたものだとは思うが)とか、 赤いベレー帽っぽいのを被った東大院時代の写真とかからは、技術史上にガッツリ残るだろう凄い事を実現してしまったことと彼とを結びつけるのが難しいくらい今風の青年であり、アーティスト要素が強い点はマイクロソフトで「HoloLens」を開発したアレックス・キップマンと同じようである。 かつてビル・ゲイツやウォズニアックやジョブスが同じ時代を生きてパーソナル・コンピューティングの世界を作ったように、2010年代もまた、同じ世代の天才達が同じ方向のテーマで世界を変えるかもしれないと思うと胸が熱くなる。
ともあれ、本コラムの2015年2月2日の記事で既に一度、彼と筑波大チームが2014年夏に行った実証実験を取り上げているが、その時に書いたように、 1年前のそれは大きなマシンともの凄い音の記憶の方が強く残っているようなものだったが、それがわずか1年で、結構細かい絵柄を描くことまで可能にし「触れられる」ところまで進化するとは思ってもいなかった。
もちろんこれが、50インチとか100インチ四方の空間にどこから見てもフルハイビジョン画質並みの動くフルカラー立体映像を浮かび上がらせるには、乗り越えなければならない技術やコストの問題がたくさんあるとは思うが、レイア姫が実現不可能な夢ではないことを示してくれた意義はもの凄く大きい。

さて、そもそも「ホログラフィー」や「ホログラム」の定義についてはWikiなどを参照して欲しいが(ホログラフィーの原理は1947年にハンガリーの物理学者ガーボル・デーネシュによって発明され、これにより彼は1971年にノーベル物理学賞を受賞している)、映像技術的なことだけで言えば「再生時に縦・横・奥行き(出っ張り)のある完全な三次元映像になる」ことを言う。
1960年代から既にアクセサリーや装飾品としてのホログム(ホログラフィー技術を用いた立体写真)はあったし、8x10(エイト・バイ・テン=8インチx10インチ=約20センチx25センチ)以上のサイズの大判ホログラムは見応えもあり、正面からは見えない女性のスカートの中を写真の下の方から覗けば実際の人間を見ている場合と全く同じようにパンティーが見えてしまうという魔法のようなものであるのだが、フルカラー化が難しかったり、ホログラム作品がほとんど公開展示されていないこともあり大きな話題にはなってこなかった。
さらには1970年代には、透明な円筒形フィルムの内側の空間に「動く女性のホログラフィー映像」を表示させる作品もあったし、物体とその動きをホログラフィーで記録する技術も既にあるのである。それを液晶ディスプレイなどでフィルム同等の解像度で表示する技術を各国の研究機関やメーカーが半世紀近く研究開発を行っているのだが、いまだに完成していない。
そのような状況であるが故に、今回の筑波大学チームによる空間投影技術「Fairy Lights」は革命的なのである。「Fairy Lights」がコンピュータやネットワークの中の実写やCGによるホログラフィー・データを高解像度・フルカラーで空間投影できるようになればそれこそ人々の生活に大革命が起こるだろう。

しかし現在日本で語られているホログラフは本来のホログラフではない。あくまでも「ナンチャッテなホログラフもどき」である。 ナンチャッテなホログラフもどきはかなり昔からあり、ハーフミラーやそれを4面組み合わせたものはビジネスショーやモーターショー、マイクロソフトがWindows7を発表したときにも使われていたが、それらはあくまでも透明な鏡に映っただけの二次元映像でありホログラフではない。
また、ロシアなどでは超音波などで生成した水蒸気の幕(それ自体は目には見えない)にプロジェクターからの映像を投影しただけのものをホログラフと称したインチキなものもあるが、水蒸気スクリーンに映し出された映像は単なる2D映像なので横から見ればぺったんこな絵でしかなく、とてもホログラフとは言えない。

さらに悪い事に、2020年の東京オリンピックで動く巨額のカネや税金を狙った魑魅魍魎たちが、そんなナンチャッテなインチキなホログラフを金儲けのネタにしようと動き出している。 そのひとつの例が、あのDMMが横浜に作る常設劇場「DMM VR Theater」である。 DMMは「世界初の3DCGホログラフィックエンタテイメント常設劇場」と謳っているが、これは1862年からある見世物小屋的視覚トリックであり現在もディズニーランドのホーンテッドマンションで使われている「ペッパーズ・ゴースト」技術を使ったものである。 1862年のペッパーズ・ゴーストやホーンテッドマンションの場合は元となる被写体自体は三次元の立体物や人体なのでハーフミラーに映った映像も正面から見れば三次元映像なのであるが、 DMMのそれは元映像が2DのCG映像なのでハーフミラーに映ったそれは厚みの無いペラペラなものでしかなく、その点では19世紀のものよりも劣化したものである。
このようなナンチャッテでインチキなものをホログラフと称して宣伝し、無知な一般の人々に間違ったイメージを与えてしまう事は大きな問題だと思う。 それは20世紀から使われていた液晶シャッターメガネ方式の3Dをあたかも新しい技術のように見せかけて売り出そうとした2010年の3Dテレビと同じ結果しかもたらさないだろうと私は思う。




■マイクロソフト、HoloLensを医学の教育現場で活用する新たな動画を公開(2015年7月10日)
 ※参考となる日本語記事は MoguraVR 2015.07.09の記事を参照


さて、グーグル・グラスは「本体の価格が1500ドルと高額なこと。専用のアプリがないこと。個人のプライバシーを侵害する機器との認識が定着したこと」が失敗の原因と言われています。 個人のプライバシーを侵害する機器なんてものは他にもいくらでもあるのだからその点はハズレた評価とはいえ、高い、アプリが無いことは確かに普及し得ない要素だと思う。
個人的にはスマホやタブレットを覗き込まなくても今見ている視界に様々な付加価値を持った情報を重ねて与えてくれるデバイス自体は有用だと思っているし、それこそ戦闘機の照準機や特殊部隊のヘルメットのゴーグルのように戦略的な情報が視界の中に映し出されるモノ、民生機として安価で違和感の無いウェアラブル・デバイスに魅力を感じる大人子供は多いと思う。
しかし、グーグルは早々とこの分野から手を引いてしまった。
そんなグーグルとは逆に、マイクロソフトはWindows 10の正式リリースからHoloLensと名付けたAR(拡張現実)的なゴーグルをマジに売り出す。 HoloLensについては本欄2015年2月4日付けのコラムでプロジェクト・リーダーのアレックス・キップマンについて書いてきたが、マイクロソフトとしては、グーグル・グラスの失敗を反面教師として、「日常でウェアラブルに使うITデバイス」よりも「専門的な分野で、より専門性を高めるためのITデバイス」という売り込み方を選択したように思える。
もちろんHoloLensは、XBoxと組み合わせてゲームやエロ分野でも革命的な可能性を持っているし、過去には他のベンチャーがHoloLens同様のものを開発してもいるが、やはりマイクロソフトがやるとなると話は違ってくるし、透過型のARゴーグルが社会に与えるだろう可能性の大きさ・重要さの認識を最初の段階で潰さないように、「真面目」な分野からイメージ戦略を始めているように思う。

そんなマイクロソフトHoloLensの新たなプロモーション動画が公開された。HoloLens発表当時の「一般生活の中でもこんなに便利に使えるモノ」という広げたイメージから「医療や医学教育で極めて有効に使える」ことといった特定分野に絞ってその有用性をアピールしている。
これを見て工業デザイナーなら自動車などのデザイン現場での使用を考えるだろうし、服飾デザイナーも建築家も分子構造を扱う化学者も同様に使ってみたいと思うだろうし、学校教育の場で使うべきという教育界からの声も上がってくるだろう。今後、そのような使用目的別の具体的なプロモーションが作られるのかもしれない。


そして最も重要な事は、Oculus Riftなどがそうしたように、マイクロソフトはこのHoloLensシステムの開発環境をオープンにして様々なアプリケーションが生み出される道を開くはずだ。
で、不真面目な私は、当然、このHoloLensで見れば部屋の中にAVモデルが現れてエッチな姿を見ることができるアプリを思ってしまうし、現在のチャットが進化して、リアルタイムに自分の部屋にチャットレディーが現れて、会話して、エッチなポーズをしてくれる(それを360度好きな角度に回って見られる)近未来を思ってしまうのだ。




■今年の3DはVR・HMDとスマホ・ゴーグルが席巻(2015年5月28日)
 ※参考となる日本語記事は スマホde簡易VRゴーグル徹底比較を参照


3Dをめぐる様々な情報を2009年から取り上げている当コラムだが、ハリウッド映画等での3Dの定着と進化とは裏腹に、 家庭用の3D視聴デバイスに関しては3Dテレビの大失敗以降、パッとした製品が無い。もちろん東芝ダイナブックT852のような 「ヘッド・トラッキング+高精細レンチキュラーシートによる裸眼3Dモニター」を搭載したものはあったのだが、 価格の高さと使いにくさから全く売れなかった。T852搭載のモニターは台湾AUO製であり、 T852のグラフィック自体はNDIVIAのステレオドライバーで動いているので、 下手な東芝製ソフトを使わずにフリーのNDIVIA Video Player(Stereoscopic Playerのライセンス版)やフリーのステレオ・スライドショーを使えば、 ほとんどの3Dコンテンツを裸眼で見られるのだが、大メーカーの悪い慣行から、そういった情報はユーザーや購買予備軍には全く知らされなかったので売れるはずは無い。

そんな状況の中、Oculus Riftが火をつけた「広視野角のVR対応HMD」と、 フルHD画質以上に高画質・低価格化したスマホをモニターとして使った簡易なスマホ・ゴーグルの急速な多品種化には目を見張るものがある。
専用機の火付け元のOculus VR社や後を追うソニーやAUOも油断できない。 何故なら、簡易なスマホ・ゴーグルもアプリの進化と普及によってはOculus Riftのような「専用機」が必要なくなるからであり、 スマホの方が価格が圧倒的に安く普及のための敷居が低いからである。 そのことはOculus VR社も認識しており、 サムソンと共同開発した簡易スマホ・ゴーグル「Galaxy S6 及び同edgeを使ったGear VR」はVRの普及自体とスマホ・メーカーの取り込みを狙ったものであり、 それによって興味を抱いた人々を、より高画質で高速・快適にゲームやVR対応コンテンツを楽しめる専用機マーケットに呼び込む布石だと思われる。
そんな専用機マーケットに、あのファッション・ブランドの「Dior」がマジに参戦し、オリジナルのHMDを開発し、 6月から全世界の主なディオール・ショップでファッション・ショーのバックステージなどを360度3D映像で楽しめるキャンペーンを開始するとのことである。
このDiorオリジナルVR・HMDは市販は考えられていないが、今後、 ファッションショーなどを他社のHMDやスマホ・ゴーグルでもその場に居るかのように360度3Dで見られるようなプロモーションを行う布石のように思える。

さて、専用機の実売はOculus Riftについては2016年第一四半期と発表されたが、ソニーやhtcについては製品版が作られるかどうかも未だ定かではない。 その辺はマーケットが専用機を求めているのか、ハードよりもアプリが重要でありスマホ・ゴーグルで十分と感じているかを探っているように思える。

私としては、より高画質な専用機にも興味はあるし欲しいが、3Dテレビの失敗を踏まえれば、重要なのはアプリやコンテンツであり、 それを気軽に超低価格で体験できる簡易スマホ・ゴーグルが普及し、それに向けた様々なコンテンツが増えることの方に当面は期待している。

そこで、現在までに発売されている簡易スマホ・ゴーグルのメリット・デメリットについて比較した記事があったのでお読みいただきたい。
スマホde簡易VRゴーグル徹底比較
スマホ・ゴーグルの最大のデメリットは、ジャイロセンサーを使って写真の送り戻しや動画の再生スタート・一旦停止・早送りなどの操作を行えるフリーのアプリが無く、 操作のためにいちいち外さなければならないことだが、 最近auプラス1から、より簡便かつ指で直接スマホを操作できるスマホ・ビューアー(ゴーグルと呼ぶよりビューアーの方がふさわしいと思う)も発売されている。
周囲が見えてしまうので他のスマホ・ゴーグルに比べて没入感は低くなるが、指で操作できることとスマホの装着が簡単な点は評価できる。 これなどは100年以上昔の3D写真ビューアーのシンプルさに似ており、先祖がえりと言える。
ともあれ、今、確実なVR・HMDの普及を図るのならば、ゴーグル内のスマホを手を使わずに操作できる無料アプリを公開する事が何よりも重要だと思っているし期待している。





■へーベルハウスのキャンペーンでもらえる折畳み式スマホ・ゴーグルが結構使える(2015年5月7日)
 ※参考となる日本語記事は へーベルハウスのキャンペーン案内を参照

ゴールデンウィーク直前からテレビCMを流しているへーベルハウスではスマホを使った3D・VRゴーグル (へーベルハウスでは「3D VIRTUAL SCOPE HH」と称している) による屋上360度VR体験と、そこで使われているものと同じ樹脂シート製の折畳み式スマホ・ゴーグルがもらえるキャンペーンをモデルハウスで行っている。
早速それを入手して、3Dエロス的観点からテストしてみたので以下にご報告したい。 なお、このお手軽なスマホ・ゴーグルがもらえるキャンペーンは5月17日までのようなので、 ダンボール製の「ハコスコ」でもアマゾンで1,000円+送料340円=1,340円することを考えたら、モデルハウスがお近くにある方はいただいて来ることを強くお勧めする。

では視聴テスト。
まず組み立て方については何も説明書はないが、樹脂製のシートを開くように広げるて折り目にしたがって折り、要所を切り込みに差し込んで固定すれば出来上がってしまうが、 スマホをセットする部分だけ内側に折るのか外側に折るのか分からない箇所があった。 画面サイズが4インチ弱のスマホの場合は内側に折った方が安定するのだが、5インチ台のスマホでは内側に折ってしまうと視野が半分ぐらいになってしまうので、 外側に折るように思うのだが、いまだによく分からないが使用には差し支えない。
ともあれ組み立てたゴーグルにお使いのスマホをセットするだけ。
キャンペーンの360度デモ映像を見るには、同梱説明書に書かれた無料アプリ「Motion PANOWALK」をまずダウンロード&インストールして立ち上げると、 キャンペーンで使われている「屋上ジャンプ!」をはじめ海中映像や秋葉原の街中をマリオ・カートに乗って走る360度映像などのリストが表示され、 それをダウンロードして、ジャイロマークとゴーグルマークをONにして再生すると頭を向けた方向の映像が見える。 ただし、これらのデモ映像の画質はお世辞にも良いとは言えず、HMDの最大のメリットである没入感を得られるほどではないが、 360度映像を体験したことが無い人には新鮮な感覚だろう。

より多くのスマホ・ゴーグル用コンテンツを楽しむには、Google PlayにあるCardboard(ハコスコ) 公式アプリを使うことが可能。

さらに、このスマホ・ゴーグルを用いて、3Dエロスや3D映画などの立体映像を見てみよう。
そのためには「フル・アスペクト比率のサイドバイサイド(左目側に左側映像)」(これをフルSBSと言う)で表示される必要がある。つまり、 16:9なり4:3の映像ならばスマホに表示させる映像が左右それぞれが16:9なり4:3でなければならない。 しかし現在インターネット上に無数に存在する3D映像の多くは「ハーフ・アスペクト比率のサイドバイサイド(ハーフSBSと言う)」(16:9なら8:9に、 4:3なら2:3に横幅が半分に圧縮されている)映像だし、 当3Dエロスで配信している過去の「フル・アスペクト比率」のものは裸眼交差法用なので左右が反対であり、 そのままではスマホに標準装備されている静止画・動画再生アプリでは見ることができない。
ちなみに当3Dエロス・ネットは3Dテレビ、3Dモニター、3Dスマホ、ニンテンドー3DS、 スマホ・ゴーグルの各バージョンを配信すべく現在リニューアル準備中であるが、先行して姉妹サイトの『JPEアンコール』で毎週オマケとして1作品分の動画と静止画それぞれのスマホ・ゴーグル版も配信しているので、 それならダウンロードしたファイルをスマホ標準アプリで再生するだけでスマホ・ゴーグルで立体鑑賞できる。
では、3Dエロスや3D映画や海外の3Dアダルトの「ハーフSBS」ムービーを見るにはどうすればよいかというと、 既にいくつかの無料アプリが公開されている。
例えばアンドロイド用のMoboPlayer」(https://play.google.com/store/apps/details?id=com.clov4r.android.nil.noplug&hl=ja)もその1つである。 このアプリで再生すれば、元ムービーがハーフSBSでもスマホ・ゴーグル用にフルSBSにリアルタイム変換表示してくれる。 つまり、3Dエロスの場合ならば3Dテレビ用のハーフSBS(片眼960x2x縦1080p)のムービーファイルを横幅はそのままに縦を540pにリアルタイム変換して表示してくれるのである。
なお、現在「MoboPlayer2」もリリースされているが、「2」にはアスペクト比変更「32:9」のプリセットボタンが無くなり、 自分でいちいちアスペクト比を入力するようになってしまったので、 単にスマホ・ゴーグルをステレオビューアーとして使うことが目的ならば「2」ではなく「MoboPlayer」の方が使いやすい。

なお、静止画(ステレオ写真)についてはまだスマホ・ゴーグル用のアプリは知らないので、マルチ・フォーマット配信が始まる3Dエロス・ネットのリニューアルをお待ちいただきたい。

さて、ここで上海問屋の1,000円ちょっとで買えるスマホ・ゴーグルとの違いについて説明してみたい。
上海問屋のものは安い方でも5.5インチまで対応しているので画面がケラレて端が見えなくなることは無いが、その分少し奥に見えている感じがするのに対して、 へーベルハウスの折畳みゴーグルは接眼レンズの位置と特性のためか映像自体がかなり手前に大きく見えるセッティングであり、 そのため5インチのスマホでも映像の隅がかなりケラレてしまうこととモニター面をかなり拡大して見ているので画素が見えてしまう感じが強い。 また、プラスチックレンズの性能が低いためか、周辺はピントが甘くなり色収差も出る、が、 無料でもらえるアメニティグッズなのだから細かい事で文句を付けるのは野暮であるし、ゴーグルで見る3Dは画面の中心部に集中するので周辺はあまり気にならない。
なお、上海問屋のもへーベルハウスのも共にピント調節ができないので、遠視(老眼)が強い人は焦点が合わない場合がある。
ともあれ、お使いのスマホの解像度がフルハイビジョン画質かそれ以上の解像度ならば、かなり綺麗に立体映像を楽しめるし、 それがタダなのだから、既に3Dテレビや3Dモニターをお持ちの人も1、2個持っていて損は無いスマホ・ゴーグルだと言える。





Oculus VRと共同開発した新Gear VRが日本で発売決定・即日公開(2015年4月8日)
 ※参考となる日本語記事は engadget日本語版 2015年4月8日付け等を参照

3D情報通の人は既にご存知だと思うが、Oculus Rift DK2のディスプレイはサムスンのスマホ用のものであり、Oculus VR社とサムスンは昨年来、 サムスン製スマホとOculus VR社のソフトを用いたスマホHMDゴーグルの開発を進めてきた。
そして昨年暮れには、日本では発売されなかったが米国などではサムスン製スマートフォン前機種 Galaxy Note 4 専用のアクセサリーとしてGear VRを発売していたが(参考記事はコチラ)、 このたびスマホ新機種 Galaxy S6 及び S6 edgeがDOCOMO 及び auから発売されることに併せて、 旧型を改良した「Gear VR Innovator Edition for S6」の日本発売が発表され、 同日、全国のGalaxy SHOPでの展示・体験会が始まり、4月23日から購入予約受付を始める。 価格は24,800円。

既に4月9日現在、早速体験したマニアな人々がツイッターやブログでレポートしているが、ここではいくつかのポイントを挙げてみたい。

まず最初に特筆すべき第1点は、このHMD化されたユニット全体はOculus VR社のソフトで動いているという点である。 言い換えれば、Oculus VR社並びに同社を2000億円以上で企業買収したFace Book社の将来のVRビジネスに向けてのパイロット版とも言えるモデルであること。
VR元年と言われている今年2015年、Oculus Rift、Gear VR、Windows 10とマイクロソフトのHololens等のHMDとVR技術が提示する可能性をいち早く捉えて様々なビジネスや事業に活用できるか否かで、 その企業や事業者の将来の浮き沈みが大きく変わってくる可能性があると思う。

特筆すべき第2点は、現在のOculus Rift DK2の画面解像度が1920x1080なのに対してGear VR Innovator Edition for S6にセットする Galaxy S6 及び S6 edgeの解像度が2560 x 1440(577ppi) と高解像度である点である。 HMDの良さは「没入感」と「3Dテレビのようなクロストーク(ゴーストのような左右画像の混在)が無いこと」であるが、 そこで重要なのは「高解像度」と「遅延が少なくハイフレームレート(コマ数が多い)であること」である。 高解像度については最終的に裸眼と同じレベルに見えるためには36Kとかそれ以上必要とも言われているし、フレームレートについても一般人でも120fps以上、 見慣れた人では240fps以上無ければ違和感を感じるという言われているが、その辺はコストや利便性とのバランスの問題であり、 少なくとも現時点では、Galaxy S6 及び S6 edgeをセットしたGear VR Innovator Edition for S6 が最高の解像度を備えた民生用HMDだと言える。
この点は本来なら日本が牽引すべき分野であったしIGZOをはじめその技術はあったのだが、Oculus Rift DK1が登場した時点で「あれはオモチャ」とあざ笑ってその可能性を見出せなかった日本メーカーのビジネス上の弱さを露呈した結果、 牽引するどころか完全に置いて行かれたとも言えるだろう。

さらに特筆すべき第3点として、発売と同時にサムスンから60タイトル以上の専用コンテンツやライブ配信が始まる点。これにはOculus Rift 向けに日本人が開発したソフトも含まれているし、 360度自由視点でその場に居るかのように見渡せるシルクド・ソレイユの実写映像もあり、 今後はコンサート会場からの360度ライブ配信も予定されているという。
3Dテレビが失敗した原因のひとつがコンテンツ不足であったが、HMD陣営は最初からネットを媒体とした配信や双方向性を前提としているので、 今後再び3Dカメラが双方向性を重視したデバイスとして活かされればコンテンツが尽きることは無いだろう。

もちろんその他にも、格安のスマホHMDゴーグルと違い24,800円だけのことはあって、加速度、ジャイロ、近接センサーに加えて、 ゴーグル右側面はタッチパネルになっておりスマホを内部に装着したままでコントロールができ、別売の無線ゲームコントローラーも使えるらしい。

さて、Gear VR Innovator Edition for S6の価格は24,800円と発表されたが、 問題は本体と言うべきGalaxy S6 及び S6 edgeがDocomoやauでどれくらいの割引実売価格で手に入れられるかが、現在、私個人の最大の関心事である。





■ 上海問屋:超安価なスマホHMDゴーグルの6インチ対応版を発売(2015年3月29日)
 ※参考となる日本語記事は AKIBA PC Hotline 2015年3月29日付けを参照

当コラムでも取り上げ、実際に視聴テストを行った「上海問屋DN-12690」の6インチスマホ対応版「DN-12912」が発売された。価格は1,699円+送料410円。
上海問屋の商品ページはコチラ:
http://www.donya.jp/item/27194.html
楽天からも買えるので、ポイントがある人は楽天から購入した方が安くなる。
http://item.rakuten.co.jp/donya/429865-912912/

今回の6インチ対応版の発売に伴って従来の「DN-12690」は1,299円に値下げされた。

上海問屋のサイトでは、この6インチ対応版をiPhone6Plusでテストしたという。 小さなスマホ(3.5インチ以上)も装着可能としているが、DN-12690のような吸盤が無くスポンジの反発力だけで挟む形なのでズレの心配がある。 あくまでも使用している(もしくは今後使用する予定の)スマホが6インチの場合専用と考えた方が良さそうに思える。
また、従来機同様にピント調節機構が無いので、遠視(老眼)の人にはピントが合わない可能性がある。
デザインはOculus Rift DK2をモロにパクった形状である。

なお、この手のスマホHMDゴーグルはそのままでは立体写真を飛ばし見したりムービーを途中でポーズしたりする操作ができないので、 マニアの中にはゴーグルの下部に人差し指が入る穴を開けて操作を行っている人もいる。 外光の遮光は切れ目を入れた黒いスポンジや布で行う。価格が安く構造が単純だからこそできる改造である。





■ HTCもVR対応の高画質HMDを発表(2015年3月3日)
 ※参考となる日本語記事は Gigazine 2015年3月2日付けを参照

現在のOculus Rift DK2(開発者キット2)の画質を超える片目あたり解像度1200×1080でリフレッシュレートも毎秒90フレームというハイスペックなHMDが台湾のHTCから発表され、 Oculus同様にソフトやデバイス開発者向けに近々出荷が始まるらしい。 その背景にはゲーム開発企業や映画製作・配給企業が付いており、Face Bookを親会社にしたOculus VR社との今後の競争が楽しみである。

そもそも「完全お一人様専用」で「装着した見た目はマヌケ」なHMDが、Oculus Rift DK1発表から極めて短い時間で注目され、 それもゲーム開発企業のみならず、映像制作企業や通信などのコミュニケーション企業からその可能性を大きく注目されていることが重要である。
注目される要因は「従来のHMDでは実現できなかった広い視野」と「低価格」と「アプリケーションの開発環境を公開した」ことが大きいが、 ソニーやオリンパス等、1990年代に既にHMDを商品化していた日本企業は、逆にその点を甘く見ていたのか、完全に遅れてしまっているように思える。
もちろんOculus Riftを19歳で開発したパーマー・ラッキー氏の「接眼レンズの歪みを逆手にとって元映像を歪ませてレンズの最大視野を活かす」という発想は斬新であったし、 Oculus Riftによってほぼ視界全体をカバーするものが極めて安価にできるようになったからこそ、ゲーム企業等が本気で乗り込んで来たわけである。 もちろんベースにはタブレットやスマホの熾烈な市場競争で液晶パネルの高画質化と低価格化が急速に進んだという点も見逃せないが、 それは世界中で同じ状況であったのだから、小型で超高画質なスマホやタブレット用ディスプレイの広視野のHMDや裸眼3Dタブレットへの転用を日本企業が発想できなかったことが現在の劣勢を作ったと思う。
また、3Dテレビ失敗の時は「ハード優先でコンテンツ制作者はほとんど放置されていた」が、 今回のHMDブームは逆にソフトやコンテンツ制作者並びに面白く有益な使い方のアイデアを提言する者達がブームを作りリードしていることである。
そして、3Dテレビの時は、コンテンツの作り手がほとんど3Dの基本や限界を理解しないままに多くの粗悪なコンテンツを作ってしまったが、 今回のHMDやVRについては、なまじ没入感が強いことから3D酔いや過度な視差や逆に立体空間になっていないものなどへの反省や対策が急速に進んでいることも、 ハード屋目線ではなくソフトやコンテンツ制作者目線による開発とフィードバックが生かされていることの現われだと思う。
このようにOculus Riftが火をつけた現在のVR・HMD開発の動向は、単なる新し物好き達の間の流行ということだけではなく、 家電や自動車やIT関連業務など全てのビジネスの今後の開発の進め方自体に大きな示唆を投じたように思える。





■ 超安価なスマホ向け3Dゴーグルを試してみた...コスパは最高!(2015年2月24日)

ドスパラ・上海問屋から約1,600円で売り出されたスマホ用3Dゴーグル「DN-12690」を早速試してみた。

結論から先に言うと、店頭で約1,600円、通販でも送料込みで2,008円という低価格の割には極めてコストパフォーマンスが高く、 クロストーク(3Dテレビや3Dモニターでの左右映像が混じったゴーストのようなもの)が全く無い3D映像を手軽に体験することができ、 3Dや360度自由視点のバーチャルリアリティー映像を試すには現時点で最安・最適なゴーグルだと言える。
特に5インチクラスでフルハイビジョンのスマートフォンを持っている人にはそのスマホ自体の高画質を3Dで活かせるし、 フルハイビジョンではない旧型のスマートフォンでも流行のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)がどのようなものかを味わうことができる。
実際、私は5インチ・フルハイビジョンなスマホを持っていないため、4.3インチ/解像度960×540ドットしかないHTC EVO 3D ISW12HTで試したが、 それでも10年前に米国iCUiTi社(現Vuzix社)が約10万円で売り出した「DV920」よりもはるかに快適に3Dを楽しむことができた。

■「上海問屋DN-12690」の具体的な長所は、
  軽く比較的に丈夫なプラスチック製である(装着時に重要なポイント)。
  遮光性が高く、ほとんど外光が入り込まない構造なので没入感が強い(HMDではこれが重要)。
  ヘッドベルトも実用性が高く、顔に当たる部分のスポンジパッドと相まってズレにくく両手が使える。
  プラスチックの接眼レンズも気になるような歪みは少ない。
  目幅調整(視野位置調整)機能がある。
  iPhone等スマホ本体の上部または下部にコネクターのある機種ならイヤホーンやUSB給電コードを繋ぐことができる(外光を防ぐスポンジ付き)。
  スマホ自体の動きセンサーを活かしたバーチャルリアリティー映像やゲームを味わえるスマホ用アプリが使用できる。

逆に欠点と思える部分としては、
  蓋の開閉部分のヒンジが弱い感じがある。
  Oculus Riftのように接眼レンズの焦点を選ぶことができない(私の場合はメガネ無しで綺麗に見えたが)。

例えばアマゾンで「スマホ ゴーグル」で検索すると同様な製品がいくつかヒットするが、 価格の割には「iPhone 5 専用」とか「遮光性が悪い」とか「ダンボール製」とか「顔に当たる部分にクッションが無い」とか「常に手で持っていなければならない」 といったものばかりでコストパフォーマンスが良いとは言えない。
それらに対してこの「上海問屋DN-12690」は遮光性が高いことや装着時に両手が使えることに加えて使えるスマホのサイズも3.5インチから5.6インチと幅が広く、もちろんiPhoneでもAndroidでもOKである。

それが、ドスパラ店舗なら約1,600円、上海問屋からの通販でも送料込みで2,008円という価格で買えるということは、 昔からHMD製品を知る私のような者にとっては驚きの低価格とパフォーマンスなのである。 今まで約20年間にわたってソニーやオリンパスをはじめとするHMD製品の購入に多額のお金を費やしてきた私としては、 正直なところ「今までの高いHMDはなんだったんだ」と思えるほどにショックなコストパフォーマンスである。

さて、実際に注文してみると、私の場合は首都圏からの注文なのでネットから発注した翌日には届いたし、秋葉原までの交通費と時間を考えたら送料410円は安い。
なお、秋葉原のドスパラ・パーツ館で直接購入する場合は、現在、入荷してもすぐに売切れてしまうらしい(特に週末)ので、 無駄足にならないように行く前に在庫を確認し予約しておく方が良いだろう。

上海問屋からの通販では、古新聞紙の緩衝材で包まれた結構大きなダンボール箱の宅配便で配達され、 その中に何も装飾されていない白い厚紙パッケージに収められたゴーグル本体と簡単な取扱説明書が入っていた。 取扱説明書は中国語と英語で書かれているが別に読まなくても使い方は誰にでも分かると思えるほどシンプルな構造である。 (裏面は省略したが取扱説明書の表ページはこんな感じで対応するスマホのサイズを確認できる:クリックして拡大)

■スマホのセット時の注意点

スマホのセットで気を付けることは、下の写真のように、スマホ画面に表示させたフルアスペクト比のサイドバイサイド映像の左右中心がゴーグルの左右仕切り壁にピッタリくるように、また斜めに傾かないように注意して吸盤に取り付けることである。 ここで中心がズレてしまうと左目に右目用の映像の一部が見えてしまったりして正しい立体視ができなくなってしまう。 ただし、そんなに正確さを気にしなくとも、取り付け後の「レンズ位置調整」である程度左右の視界を調整することでズレ補正は可能である。

■メガネ使用者の場合

Oculus Riftのようにメガネをかけたまま装着できるほど接眼部は大きくないので、メガネ使用者の場合はメガネを外して使った方が良いだろう。 何故ならメガネをしたままでは隙間から外光が入って見にくくなるし、 ヘッドバンドで頭に装着して両手が使えるようにするとメガネのノーズパッドが圧迫されてとても痛くなってしまう。 私は強度の近視と老眼であるが、メガネ無しで装着しても全く問題なく画面に焦点が合って綺麗に見ることができた。

■立体視できるのはフルアスペクト比な平行法配置の映像のみ。 ただし無料アプリで様々な3Dフォーマットに対応。

他のスマホ用ゴーグルも同じだが、HMDで立体視するには「縦横比がフルアスペクト比率」で「平行法配置(左目は左目用・右目は右目用映像)」のものに限られる。
今回のテストでは、スマホに元々標準装備されている映像プレーヤーソフトを最初に使ったので、3Dエロスが配信している「PC用裸眼交差法配列のサイドバイサイド」や、 平行法配置でも左右の幅を半分にしている「3Dテレビ用ハーフ・サイドバイサイド」ではそのままでは立体視できないので、 テスト用にあらかじめ「フルアスペクト比な平行法配置」に変換したものを使ったが、 既にアンドロイド・アプリには、現在ネット上での3D映像配信の標準フォーマットである「3Dテレビ用ハーフ・サイドバイサイド」や 「ハーフ・トップアンドボトム」を「スマホHMD用フルアスペクト・サイドバイサイド」にリアルタイムに変換表示してくれるものがいくつかある。
例えば、中国製のフリーアプリMoboPlayer」(https://play.google.com/store/apps/details?id=com.clov4r.android.nil.noplug&hl=ja) なら3Dエロスの「3Dテレビ用ハーフ・サイドバイサイド(MP4)」を表示メニューで「16:9」にすればフルアスペクト比の正しい3D映像で見ることができる。

また、360度バーチャルリアリティーな視界を楽しみたいなら、 Cmoar VR Cinema Free」(https://play.google.com/store/apps/details?id=com.Cmoar.CmoarVirtualCinema&hl=ja) を使えば映画館の席に座って見ているように首を動かせば360度、自分の横や後ろの席も劇場の天井までが見られ、また、 視界の中に操作メニューを表示させて一旦停止や早送りなどの操作も行えるので、いちいちHMDを頭から外して蓋を開けて画面を操作する必要も無いが、 この3D・バーチャルリアリティー機能だけはフリー版では2分間の再生時間制限があるのが残念である。
近い将来、ドワンゴ・NTT・カドカワなどがニコファーレや武道館などでのライブ・コンサートやイベントを3D・360度自由視点配信を行う予定であり、 その時にはドワンゴなどから3D・360度配信に対応したフリーアプリが配布されるかもしれない。
Cmoar VR Cinema」正規版はあくまでも3D映画などを映画館で観てる感じに浸りたい人向けのアプリかもしれない。

他にもいくつかのスマホHMD用ビューアーアプリや、無料でバーチャル空間を楽しめるスマホHMD用のサイトなども既にあるので、 とにかく安く3Dなエロや360度バーチャルリアリティー空間を今すぐ試してみたいという人にとっては、 このドスパラ・上海問屋のスマホ用ゴーグルは最高にコストパフォーマンスの高い製品だと言えるだろう。

今までこの手の3D関連製品は、ある程度の製造数を作ったら廃盤になってしまうものも多いが、 ドスパラや上海問屋にはできるだけ長期にわたってこのような「安価で機能がしっかりしたもの」を販売継続してもらいたいものである。

3Dエロスとしても、中国製アプリを使うのはなんか恐いし(上掲の「MoboPlayer」は安全なようであるが)、 有料のアプリは買う気はしないのでスマホ標準装備のプレーヤーで3Dで見たいという人のために、 フルアスペクト・平行法サイドバイサイド配置な横1920または1280ピクセルのMP4ファイルも配信しようと考えている。
また、私自身も、このスマホ用ゴーグルで見るために、5インチクラスのフルハイビジョンなスマホを入手しようと思っている。




■ 実売1,600円の超安価なスマホ向け3Dゴーグル(2015年2月19日)
 ※参考となる日本語記事は AKIBA PC Hotline 2015年2月19日付けを参照

7インチ大のタブレット用モニターパネルを使った"Oculus Rift DK1"が登場してから2年が過ぎたが、 "Oculus Rift DK1およびDK2"がそれ以前のソニー等のHMDに比べて非常に革新的だった点は、 接眼レンズの歪みを逆手にとり、予め表示する画像をレンズ歪みに合わせて歪ませることでそれまでになかった全視界を覆うような広大な視野角を実現したことであり、 各種センサー機能を生かしてVRやARをそれまでなかった3万円台という低価格で実現したことにある。 また、"Oculus Rift"は、DK(Developer's Kit)という名称のとおり、 開発環境をオープンにしてユーザーが自由に様々なアプリやデバイスを開発したり面白い使い方を提案できるようにしたことにある。
その結果、アプリ開発のプロやアマチュアをはじめ、大手のゲームメーカーや建築会社、大学や医療機関などが世界中で競うようにアプリやデバイスの開発を進め、 そんな動きがあったからこそ、2000億円以上という莫大な費用でFaceBookOculus VR社を買収したのである。

そんなOculus流のレンズ歪みを利用したものではないが、 実はOculusよりも早くから海外ではスマホを使った3Dビューアーがいくつも開発・販売されていたし、 当コラムでも適宜それらを紹介してきた。
例えば右の写真の「POPPY 3D」はi-Phone専用ではあるが3Dビューアー機能だけでなく、 先端部分を180度回転させると3Dカメラにもなる優れものだが日本円で5,000円ほどとやや高額。
また、ダンボールで出来た組み立て式の「ハコスコ」は1,000円という低価格で3Dや360度映像を楽しむことが出来き、結構な数が売れているらしいが、 やはり造りがイマイチだし常に片手か両手で支えていなければならない。
他にも現在アマゾンで購入できるものがあるが結構な価格のものばかりである。

そんな中でまた1つ新顔のスマホ用ビューアー「上海問屋DN-12690」が登場した。
それも実売1600円という低価格ながらも「ハコスコ」のようなダンボール製ではなく丈夫な樹脂製であり、使う人の眼幅に合わせて両眼のレンズ位置を微調整でき、 Oculus Rift同様に両手が使えるようにヘッドバンドも付いている。
既に初回の入荷時に購入して試した人からの報告では、問題なくフツーに3Dビューアーとして使えるとのことである。
ただし、現在の一般的なスマホの解像度の制限上、どうしてもドットが見えてしまうようであるが(Oculus Rift DK2でもドットが見えてしまう)、 ほんの10年前には10万円以上したHMDの解像度が片眼640x480だったのだから、横1280pのスマホなら当時10万円のHMDと同等画質、 フルハイのスマホならそれ以上の画質で3Dを楽しめるのだからコストパフォーマンスは非常に高い。
秋葉原のドスパラ・パーツ館3Fで直接購入可能であり、また、「上海問屋」から1,599円+送料410円=2,009円で通販で買える。 (上海問屋の商品ページ:http://www.donya.jp/item/27006.html
さて現在、当3Dエロスでは、
・「3Dテレビ版1080pハーフSBS(サイドバイサイド)」
・「3DPC版1080pデュアルストリーミングWMV」
・「裸眼3Dスマホ版720pハーフSBS」
・「ニンテンドー3DS版400x240p3D−AVI」
・「旧作のPC版フルアスペクト比の裸眼交差法SBS」
を配信しているが、このような安価に3Dを体験できるものが発売されたのだから、 新たに「各種スマホ3Dビューアー版720pフルアスペクト比の平行法SBS(コーデックはMP4)」 も加えて配信する予定である。
なお、同時配信の3D写真集は、どのスマホでも「3DPC版フルアスペクト比の交差法SBS(圧縮はJPEG)」が表示できるはずであるが、 そのままでは左右が逆になってしまうので、写真集もスマホ3Dビューアー版を配信する。

また、この手のスマホ用ビューアーは内部にスマホを一度セットすると操作はいちいち蓋を開けて行わなければならないが、 立体写真を次々とスライドショーで見るには各スマホの写真ビューアーソフトのスライドショー機能で連続して見ることができる他、 お使いのスマホがアンドロイドの場合は3D用のフリーソフト3DSteroid」 (https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.suto.stereoroid&hl=ja)で元写真が平行法でも交差法でも 3Dテレビ用のハーフSBSでもスマホ用の「フルアスペクト比の平行法」に変換して見ることができ、さらには、 スマホカメラで2枚ずらし撮影したものを立体写真にすることもできる(ただし動いている被写体の撮影では立体化できないので、あくまでも風景や食べ物などの静物写真限定である)。




"Hololens"を開発したマイクロソフト社の天才「アレックス・キップマン」とクリエイター目線の重要性(2015年2月4日)
 ※参考となる日本語記事は GIZMODO 2015年2月3日配信記事を参照

『1月にマイクロソフトが発表した中で1番衝撃的だったもの。それはVR(Virtual Reality)ゴーグルHololensですよね。3Dのホログラムを、まるで実際に目の前にあるかのようにつかんだり、触ったりできるというこのヘッドセット。いかに簡単に従来のコンピューターでは成し得なかった仮想的なものを作ることができるかを世に知らしめました。 その開発者がアレックス・キップマンです。』

上記は「GIZMODO」による記事の冒頭部分である。
アレックス・キップマンの生い立ちやマイクロソフト社での彼のキャリアなどは上掲のGIZMODOの記事を読んでいただきたいが、 私が注目したのは、彼が『人生の大半をテクノロジーを作ることに費やしているキップマンですが、意外にもテクノロジーよりもアートに関する会議の方が好きで、 「Burning Man」(アメリカで最大規模のアートフェス)に参加することによってたくさんのインスピレーションを得ているとも明かしています。』 という部分。
(バーニングマン・フェスティバルについては当3Dエロスで2006年のサイト開設当初から紹介しており、 3Dブームのはるか以前からフェスの膨大な映像記録を3Dで残し公開しており、当サイトからリンクもしている。)

本稿で私が指摘したいのは、私がここ10年の日本メーカーによる3D製品の開発に対して以前から苦言しているように 『エンジニア目線優先による製品開発ではなくクリエイター目線を重視せよ』ということである。
私はソフトウェアやIT全般に関しては全くの門外漢なのでそれについて言う資格は無いが、 こと3Dに関してはマニアというか3Dバカであるので、ここでは3D関連製品について限定して例示して述べたい。

まず、2010年の幻の3Dブームの当初、アクティブ・シャッターメガネ(液晶シャッターメガネ)によるフレーム・シーケンシャル方式の3Dテレビについては、 そもそも1980年代には既にあったものだし、90年代にはノン・インターレースで120Hz以上までリフレッシュレートを上げられた パソコン用CRTモニターと30ドルほどで買える汎用液晶シャッターメガネで3Dゲームを作る人も遊んでいた人も世界中にいたのだが、 それまでほとんど3Dに関係してこなかった某メーカーが、ハイビジョン化だけでは低価格化が急激に進む液晶テレビとの競争にプラズマ方式は生き残れなくなったので、 何かテレビに付加価値を付けて高く売りたいというエンジニアと経営陣目線によるものだったと思わざるを得ない。
もちろん、薄型テレビ(特に液晶テレビ)が3D対応によってパネルの応答速度の高速化や全体的な画質の向上が図られた事は良い面ではあったが、 既に3Dマニアはアクティブ・メガネとフレームシーケンシャル方式ではどうしても左右に時間的ズレが生じて空間が歪むという欠点を知っていたし、 1986年の「ディズニーランドのキャプテンEO」を既に見ているクリエイターやコンシューマーにとっては、 21世紀には「キャプテンEOを超えるもの」を欲していたのである。 あくまでも「たられば」になってしまうが、2007年頃にソニーが有沢製作所の技術で製品化しようとしていたパッシブ・メガネ(偏光メガネ)方式による3Dテレビを、 同サイズの2Dテレビ価格のプラス3万円程度で実現していれば、その後の3D対応テレビ市場も、 3Dコンテンツを作るクリエイターも今とは違っていたと思う。エンジニアは「偏光メガネ方式による解像度の劣化を防ぐこと」に知恵と技術を働かせるべきだったと思う(その後、パッシブ方式でもフルHD画質を実現する技術ができたが時既に遅しだった)。
同様のことは「3Dカメラ」にも言える。3Dを知っている者から言えば、2つのレンズで両眼視差による立体映像を作るには被写体までの距離と左右のレンズ間の距離の重要性は知っていなければならないし、 それを大衆向け製品で実現するには、物理的方法(レンズ間距離の可変や多眼レンズ化)によるか、正確なデプスマップを生成してソフトウェアで適切な左右視差を生み出す方式を生み出さなければいけなかったと思うが、 ソニーの「レンズのボケを利用した1本レンズでの3Dカメラ」やミノックス社の「縦4眼レンズカメラ」などは単にエンジニアが「俺ならこんなの出来るぜ」程度の発想によるもので、真の3Dとは掛け離れたものである。 また、最も大事なコンテンツの普及に関しても、フルHDなブルーレイ・メディアに焼くにはパナソニックやソニーによるオーサリングの囲い込みという壁があり、 高額なオーサリング費用が必要で、多くのクリエイターが3D作品を作り流通させられる環境ではなかった。 また、幻のブームに乗ろうとした怪しいメーカーや自称発明家らが酷い商品を出し、一般コンシューマーの3Dに対する悪評を増徴させる原因にもなってしまった。
そのよな問題を、海外ではそれこそ80年代からエンジニアとクリエイターの共同体で解決しようという試みが重ねられてきたし、 最近では日本でも猪子寿之氏による「チームラボ」をはじめとしたエンジニアとクリエイターとの共同体による試みもあるが、 チームラボについては逆にマスコミから過大評価されていると私には見える(彼らの作品はテクノロジー的な独自性はないしアート的にも陳腐だと思う)。
対して、ここ2年間にOculus Riftをめぐる日本のクリエイターと、 彼らの求めるものを実現させようとするエンジニアの働きは賞賛すべきだと思う。
そんなOculus Riftクラスタの人々の活動に対して「下劣だ」とか「その才能を多くの人々に役立つように使えよ」といった意見はあるが、 「高尚で多くの人々の役に立つもの」は企業が実践すればよいのであって、このようなクリエイター目線は潰すべきではなく、育てるべきものだと私は思う。
ただし、税金の投入(=新たな利権作り)などによる政策意図が入り込んではダメになると私は思うし、 現在、国やマスコミが煽っているテレビの4K、8K化を見ると、クリエイターやコンシューマー目線を無視した過ちを再び繰り返しそうに思えてならない。




■ Windows 10は3DAR・VRをサポート...(2015年2月2日)■
 ※参考となる日本語記事は IT Media PC USER 2015年1月23日配信記事を参照


私は米Microsoftによる現地時間2015年1月21日、ワシントン州からの「Windows 10」の発表会をネット配信でリアルタイムに見ていたが、 その中には3Dマニアにとっては驚くべき発表があった。
もちろん、一般的には「Windows 7/8.1のユーザーには無償」ということや、デスクトップ、ノートPC、タブレット、 ウィンドウズフォーン、XBOX、ウィンドウズサーバーまでを有機的に繋ぎ機能するOSになることも非常に有意義な改革ではあるが、 3Dマニアにとって最大の驚きは、従来はNDIVIAなどのグラフィックボードメーカーやソフトウェア会社が提供してた3DをOSレベルでサポートするに終わらず、 自ら進んで3DとARとVRを普及させるためのシステムとサービスとデバイスを市場に出すということである。
やはりOculus Riftが起こしたインパクトは大きかったと思うが、日本企業は3Dテレビの失敗のトラウマで完全にこの分野で遅れてしまっているように思える。
もちろん、キヤノンもソニーもエプソンもオリンパスも昔からHMDやAR・VRのノウハウは蓄積してきてはいるが、それを十分には活かして来なかったし、 市場性の高いOS自体を作ることはできなかったから過去のノウハウを活かせないのも仕方ないかもしれない。
特に3DAR・VRでは、現実の視界とバーチャルな映像を遅延無く正確に合成表示するには、各種センサーの能力に加えてOS自体に依存する要素が高いと思われる。 マイクロソフトによる「ホロレンズ」のデモ映像や説明を読むと、ほとんど遅延無く現実の視界にバーチャル映像が合成されている。 膨らまして想像すれば、例えば部屋の中の家具の間からリアルに現れるゾンビをやっつけたり、部屋の中に現れたAV女優のダンスやオナニーを見たりすることが可能になるらしい。 もちろんビジネスや医療・教育などでの活用においてもOculus Riftの最大のライバルになるものと思われる。
以前の記事でホログラフィームービーの実用化にはまだまだ時間が掛かると書いたし、 実際、空中投影されたフルカラー高画質な3D映像をどの角度からも裸眼で見られるような技術の完成には今後何十年も掛かるはずだが、 HMDで全視界を覆ってしまえばその中でのホログラムの実用化は簡単なのである。
ただし、没入感や質感をより高めるには、「小さなディスプレイサイズでも超高画質でなければならない」し「120fps程度のハイフレームレート」が必要であり、 特に「超小型でも超高画質なディスプレイ」はまだまだ中韓台よりも日本の技術が活かせる分野だと思うし、 日本ではもう売れないテレビの4K化や8K化よりもこの分野に力を入れて欲しいものである。
次のステップとしては、やはりフルボディースキャンされたAVモデルやアイドルをユーザー自身の部屋の中に表示させて自由に動かし、 前から後ろから上から下から、遠くから近くから自由な位置から見ることができるサービスの登場だろう。




■ Newニンテンドー3DSは良いらしい...(2015年2月2日)■
 ※参考となる日本語記事は livedoor NEWS 2015年1月18日配信記事を参照


フェイストラッキングが搭載されたNewニンテンドー3DSを私はまだ購入しておらず(テストしまくる時間が無いので)、 「3Dエロス・フォー・ニンテンドー3DS」のチェックは前モデルの3DSと3DS-LLで行っているが、 総じてNewニンテンドー3DSの評価は良く、特に海外から届くレビューは高評価である。

しかし、日本人ユーザーの多くは今も「3Dいらね」と思っている。
もちろん3D映画や3Dエロを十分楽しむには画面サイズも小さく(LLでも5インチ)、解像度も今時のスタンダードと比べたら低い。 しかし、3Dビューアーとして考えれば、実売価格が15,900円(New 3DS)からLLでも2万円しないハンディなゲーム機でフェイストラッキングも備えたことは凄いことだし、 それがマイナーなメーカーではなくて既に非常に巨大なユーザーを持っているニンテンドーが実現したことの意味は非常に大きいと思う。 たとえ世界で50%ほどしかきちんと3Dで空間認識ができる人が居ないとしても(2010年以降の状況を見ていると、特に日本人には正しく3Dに見えていない人が異常に多いような印象がある)、 民生用の偏光方式3Dモニターの製造販売を行うメーカーが無くなってしまった現在では、3Dを残すということにおいてのニンテンドー3DSの功績は非常に大きい。
願わくばYouTube上にまともな3D映像が増えてそれをNewニンテンドー3DSで楽しむ人が増えることで3D映像の作り手がさらに質の良い3D映像を増産し、 また、今後のOSアップデイトでサイドバイサイドな3DによるMP4ムービーの再生やサイドバイサイドなJPG静止画の表示、 ファイル名の自由化が行われれば、ゲーム機としてでなく立派な3Dプレーヤーとしての価値も高まるのだが...




■ ホログラフィームービーは東京オリンピックには間に合わない...(2015年2月2日)■


ホログラフィーまたはホログラムといえば、多くの人がイメージするのがスターウォーズに出てきたレイア姫のメッセージ映像ようなものだろう。 あるいはその後のSFによく登場する空中に映像が浮かび上がったモニターだろう。 これらは横から見れば横向きの映像が、後ろから見れば後ろから見た映像が、上から、あるいは下から見ればそれぞれ実際に物を見るのと同じようにその角度の映像が立体で見えるものである。
ホログラフィーの原理自体はハンガリー出身のイギリス人物理学者"Gabor Denes"が1947年に発明し、 1971年には彼はこの発明でノーベル物理学賞も受賞している。
彼のホログラフィー理論に基づき、光源にレーザーを使って撮影した静止画及び短い動画は既に40年ほど昔の1970年代にはアート作品として多くの作品が制作・販売されており、 日本でも銀座・泰明小学校の向かいにあった画廊「月光荘」には常設の展示と販売コーナーがあったほどであり、 展示コーナーの中心に置かれた円筒形のフォログラムフィルムの中で白い服の女性が立ったりしゃがんだりする姿を360度自由な位置から見られる作品は圧巻だった。
また、2012年の夏に川崎の東芝科学館で開催された『3Dイノベーション展』にはホログラム作品が多数展示され、 正面からは全く見えない袋の中身が上から覗くと見えるといった大判の実写ホログラム作品などもあった。 しかしこれらのホログラムは「フィルム」(平面であったり円筒形であったり)という「枠」に縛られたものであるが故に普及せず、普及しないが故にその後大きな進歩は無かった。

もちろん、何も無い空中に映像を結像する「真のホログラム」の研究は行われているし、昨年夏に科学未来館で実証実験が行われた 「レーザーで空気をプラズマ化して発光させる」ことで空中にドット絵や文字を表示させたが、たったそれだけでも非常に多くの電力を必要とし、 空気がプラズマ化する時のパチパチ音が凄く、綺麗なフルカラー映像や動画を表示させるにはメチャクチャ凄い力技が必要だろう。
その他にも「触れることができない宙に浮いたコインやサイコロ」のオブジェのような湾曲ミラーの原理を使ったものや、 大きなフルネルレンズを使ったものなどが試作されてはいるが、どれも野外の広いスペースで大きな立体映像を表示することはできない。

さて、2020年開催の東京オリンピックまで5年となり、にわかに「世界に先駆けて開会式やイベントでホログラムを使え」という声が出ている(チームラボ・猪子氏など)が、 彼らはホログラムをほとんど理解していないようだ。
彼らが言うホログラムは、単にハーフミラーや透過スクリーンや水蒸気のスクリーンに2D映像を映しただけのもので、 既に初音ミク・ライブやパフューム・ライブで使われているようなものらしい。 それは立体映像ではなく、横から見ると平坦なものだし、後ろから見たら正面からの映像を左右反転しただけのものであり、 ホログラフィーやホログラムを名乗る資格の無い、ナンちゃってなものばかりである。

両眼視差による立体映像の研究と実践は一説ではイタリア・ルネッサンス期のレオナルド・ダ・ヴィンチに始まると言われているし、 写真の発明以前に既に立体視を楽しむ3Dカードは貴族に普及していたし、映画が発明された時には同時平行で3D映画も試行錯誤されていたが、 平面ディスプレイや映画館の大きなスクリーンで高画質でまともな3D映像が見られるようになったのはつい最近のことであるから、 20世紀の発明であるホログラムがフルカラーかつ高画質な動画で実用化されるまでにはまだまだ相当な時間を要すると思われる。

今年中に大天才が現れて真のホログラム・システムの試作を完成させなければ、少なくとも2020年の東京オリンピックには間に合いそうにないだろう。




■ バック・トゥー・ザ・フューチャー2が描いた2015年、裸眼3Dモニター復活なるか...(2015年1月4日)■
 ※参考となる日本語記事は AV Watch 1月2日配信記事を参照


今年は1989年公開の大ヒット映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」で主人公マーティが時空を超えて向かった2015年であり、 映画の中の「未来の技術」と現実の今との比較などが様々なメディアに取り上げられている。
ま、重力を無視して空中に浮上して走るホバーボードは、1989年当時も全く論理的な原理もなかったものなので、 それがわずか35年間でいきなり安価で誰でも買えるものとして製品化されるはずも無かったが、 映画の中の2015年の街中でマーティが『ジョーズ19』の飛び出す3D看板映像に驚くシーンは、このコラムで既に2011年10月10日付け記事で紹介したように、 日本のNiCTが2011年に200インチのフルHD画質で実現してCEATEC JAPAN 2011で公開している(詳細はコチラを参照)し、 その後大阪のグランフロント大阪内の知的創造拠点「ナレッジキャピタル」(3階)に移設されて現在でも見られると思う(未確認)。
NiCTのデモ映像はアニメや自動車や恐竜などもあるのだが、このサメが飛び出すシーンは、 NiCTの技術者が映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」が想定した2015年よりも早く日本の技術で実現して見せつけてやろうという強い意気込みが結実したものだと思うし、 明らかに映画のあのシーンを意識したものだと思う。
しかし残念ながら2010年に発売された各社のフレームシーケンシャル+アクティブメガネ方式の3Dテレビがコンテンツの少なさも相まって大コケしたばかりか、 日本では3D自体に対する悪評が蔓延し、日本の大メーカーの3D開発担当部門を萎縮させ、あたかも「3Dは無かったものに」という空気が広まってしまった。
その間にもハリウッドでは3D映画製作のノウハウが急速に蓄積され、アニメも実写も非常に優れた3D映画が大量に作られ大ヒットしているし、 そんな3D映画を家庭でも気楽に楽しめるものとして後発のLGが投じた円偏光メガネ式の3Dテレビはソニーやパナソニックにも波及したが、 時すでに遅く、アンチ3Dが蔓延した市場を盛り返すことは出来なかった。

そんな3Dテレビに反比例するかのごとく、Oculus Rift に代表される 「広い視野角でパソコンやネットとの相性の良いHMD」がにわかに脚光を浴び、そもそも「お一人様」専用コンテンツが好きなヲタクたちにも浸透し始めているわけであり、 3DVRやインタラクティブ性を生かしたゲームやコンテンツを見るには最適なものではあるが、 単に3D映画や3Dエロを見るだけのためにいちいち大きなHMDを付けるというのは私のような3Dマニアでも面倒なのである。
もちろん、従来の「居間に集まって皆で見る」という呪縛に取り付かれた古い考えの大きくて高額なテレビでは若い人には受け入れられないし、 「テレビ放送」自体が今のままでは若い人だけでなく頼みの綱の中高齢者層にも見られなくなっていくのは明らかだ。

ドルビー3Dテレビのようなメガネ不要の2Dと3D共存のテレビと放送技術は既に昨年完成しているのだから、 放送業界とハード業界がヤル気になれば膨大なハリウッド製3D映画コンテンツや、 中高齢者層が望んでいるような歴史・文化・観光・科学・スポーツ・音楽などを楽しめる2D3Dコンパチ放送はできるはずなのだが、 方式をめぐる特許と利権問題に加えて、 現在の日本の各テレビ局(NHKと一部の民放を除く)には2Dですらまともなクォリティのオリジナル番組を制作する力も頭脳も無くなってしまったのが現状であり、 私を含めて多くのコンシューマーは「デカくて高いテレビなんてもう要らないからネットを見るモニターにテレビ番組も見れる機能があれば良い」と考えていると思う。
もちろん各メーカーもそれには気付いていてネットと繋がるスマートテレビと4Kを売りにしてはいるが、 ネットへの接続はマニアでなくとも何年も前から世界中で多くの人がテレビをPCに直接接続したりWiFiでネットに繋がるデバイスで行っているし、 お一人様サイズの42インチクラスまでだと4Kも2Kも違いが分からないし、もっと厳しく言えば、 ほとんどの放送局の番組はフルHDでさえまともに生かしていない手抜きな番組しか無いし、 それが4Kのスマートテレビになったからといって4Kを活かし切った、4Kでなければ見る価値の無いほどの番組になるとは思えない。

前振りが非常に長くなってしまったが、3D逆境の時代にあっても大小を問わず、地道に裸眼3Dモニターの研究開発を継続している企業もある。 全メーカーレベルでは「3Dはなかったことに」な空気が強いが、 ニンテンドーは画面が小さいながらもnew 3DS(LL)でフェーストラッキング機能による3D画質の向上を安価なゲーム機で実現し、 医療、特に内視鏡外科手術の高度化に伴って重たく邪魔なHMDではなく 裸眼で正確な立体感・距離感を把握できるモニターの必要性が高まっているし、 3Dプリンターの普及に伴いCADデータからの仕上がりを裸眼3Dモニターで見たいニーズも増えるだろうし、 住宅建築分野でも高画質で低クロストークな裸眼3Dモニターによる顧客へのプレゼンもニーズは高いと思う。

そんな中、東芝が従来の裸眼3Dモニターを大幅に性能アップし、2重に見えてしまうクロストークを大幅に少なくした15インチで4Kパネル の裸眼3Dモニターを今週6日からラスベガスで開催される「2015 International CES」 に参考出品すると発表した。
私は従来機のDynabook Qosmio T852(裸眼3Dパネルとフェーストラッキング技術は台湾のAUO製であり東芝オリジナルではなく、 ソフトもNDIVIAのステレオドライバーで動いている)を持っており、T852でも十分裸眼3Dを楽しめる画質だと感じているが、 今回発表された4Kとなった裸眼3Dパネルがどれくらい改良されたものなのか非常に興味がある。
しかしながら、今のところ東芝はこれを民生機として販売することはせず、医療関係や企業のデザイン部門などへのBtoBで販売するつもりらしい。

バック・トゥー・ザ・フューチャー Part2が描いた2015年は、 映画とは違ってOculus Rift を中心としたHMDが3Dを席巻し、 ライブ会場で360度全周囲を見渡せる「そこに居るかのような」ネット配信が正式に始まるだろうが、 それをちょっと傍観者的にノンビリ気軽に裸眼で360度自由に視点を移動させながら見たい (コントロールはマウスでもリーフのような手先の動きを読み取るモーション・コントローラーでも良い)というニーズはかなりあると思う。 そのためにも、東芝のような高画質でクロストークが劇的に少ない裸眼3Dモニターが民生版も普及して欲しいと願っている。 ただし、過去のT851・T852のような全く使わない邪魔なアプリてんこ盛りで遅くて重くなってしまうのでは全く意味が無いし、 下手糞な東芝オリジナル3Dアプリなどは載せずに、ユーザー有志が自由に3D鑑賞ソフトを制作・提供できるような開発環境にし、 できる限り安価な価格で販売して欲しいものである。




■ 昨年2014年の3Dは "Oculus Rift" 中心のVR・HMD躍進の1年だったが...(2015年1月4日)■



Oculus Rift やそれを追う他社の類似品(ソニー・モーフィアス、サムスンのGear VR、ちょっと方向性は違うがエプソンの新型モベリオやさらにはダンボール紙製のハコスコ等等)並びにVR技術の進歩を除くと、 このコラムで取り上げるべき3D業界の革新的な新技術や新サービスの動きはほぼ無かった2014年であった。
Oculus Rift や他のHMDの昨年1年間の動きについては「もぐらゲームズ」が記事としてうまくまとめているのでコチラを参照されたい)
本コラムの昨年の記事を見ても14本中11本がOculus Rift とその他のHMD関連だった。
逆に言えばそれだけOculus Rift のインパクトが巨大だったとも言える。
HMDという特殊なスタイルのため、街中やカフェで見かけるものではないので気付きにくいが、 Oculus Rift はまだ「Developer's Kit(開発者キット)」の段階であるにもかかわらず、 私の印象では既にソニーが2011年から発売している従来型の狭視界のHMD「HMZ Tシリーズ」3機種全体の総売上台数よりも多いのではないだろうかと思えるくらいに 大学や企業の開発部門に導入されている気がする。
もちろんその躍進の最も大きな原因は、Oculus VR社の創設者である当時19歳のパーマー・ラッキー君の 「タブレットが安くて高解像度になってきたからそれを使えばソニーの1/3以下のコストでHMDを作れる」 「眼球から超近い位置にモニターを置いてそれを接眼レンズで見ると映像が極端に歪んじゃうけど、だったら映像自体をレンズの歪みに合わせて歪ませちゃえばいいじゃん」 という発想であると思う。
のアイデアはラッキー君以前にも多くの3Dマニアが気付いて製品まで仕上げていたが、 の「接眼レンズに合わせて映像自体を歪ませて表示させる」アイデアは、HMDにおいては私が知る限りそれまでは無かった(映画では50年以上も昔から存在する技術ではあるが)。
自作派3Dマニアや大メーカーの開発者数名に聞いた範囲ではあるが「Oculus Riftの映像自体を歪ませるという発想にはヤラレた」と皆答えていた。
さらには「製品を作るお金が無いからキック・スターターで出資を募ろう」「これをどう使うか、そのためのソフトは、使いたい人が使いたいものを彼らが作れるようにした方がいいからプログラム開発環境をオープンにしよう」 としたところだと思う。
それによって世界中のマニアやクリエイターや企業内開発者達が様々な使い方やそのためのソフトウェアやコンテンツを爆発的な勢いで作り出し、 その広がりがフェイスブック社の目に留まり、パーマー君のOculus VR 社創設からわずか2年弱で2000億円以上にのぼる巨額買収が実現したのだと思う。
これは大メーカーではなかなか出来ないことである。 過去の大メーカーの製品ではハード自体はとても良いのに使用目的が限定的でソフトがダメダメなものが非常に多かったし、 そもそもメーカー側が最終ユーザーの使い方を限定してしまうこと自体が時代遅れであることに気付いている企業は今も少ない。
ようやくオリンパスはレンズマウントのような形体のフォーサーズレンズ用「オープンプラットフォームカメラ」の製品化に向けて国内外からテスターを募集し、 自由な使い方の提案からソフトの開発までをユーザーに委ねるという試みを始めたが、まだまだ小規模・限定的な試みであり知る人は少ない。
このオリンパスのプラットフォームカメラなどはOculus Rift のようなHMD用の超高画質なヘッドマウントカメラとしての利用を考えれば、 よりリアル感の高い3D映像を制作したりVRに使うことができそうに思うし、ステレオベースを自由にスライドして変化可能な超高画質なステレオカメラを作ることもできそうに思う(左右の完全シンクロ機能が必須だが)。

横道に逸れたが、このようなOculus Rift を中心としたVR・HMDの著しい進化と一般の人々への認知の広がりに対しては、 3Dマニアとして非常に嬉しく思っているが、2015年の始めに当たりひとつ苦言を述べたい。
それは、Oculus Rift があまりにインパクトが大きかったため、 いきなりHMD用の映像コンテンツを制作する人や入力デバイスとしてのヘッドマウントカメラを作る人が増えたが、 彼らの殆どは「3Dの基本を知らない」という大きな問題を抱えている。
具体的には「無理もしくは狂った視差設定・空間設定」「左右の映像のズレ(縦・横・傾き・時間軸)」である。
3Dの先人達が、写真が発明される以前から200年以上にわたって蓄積してきた「3Dの基本」を理解せずに間違ったコンテンツやカメラデバイスを作ってしまうことは、 VR・HMDの今後の可能性を自らダメにしてしまう危険性があることを自覚してもらいたいと強く願っている。

また、ハードウェア的には、HMDによるリアリティーを高めるには経験上「より高い解像度」と「より速いフレームレート」が極めて重要である。 現在各社の片目当たりの解像度は最高のものでもフルHDの半分しかなくドットが見えてしまっている。 これでは本当の意味での没入感・その場にいる錯覚までには至らない。少なくとも片目当たり2K(両目で4K)、できれば両目で8Kの解像度というか、 ドットが見えないような工夫が欲しい。
フレームレートも非常に重要であり、体感的には1秒240コマぐらいまでフレームレートが高くなれば激しく頭を動かしても酔うことは少なくなるし リアリティーも非常に高くなる。
ま、7インチ程度の小さなモニターで8K画質を作ったり、それを240fpsで動かすには現在のPCの能力自体をかなり高めないと無理だと思うが、 まずは4K+90fpsで使えるようなものにして製品版を出して欲しいと強く願っている。




(コラム中、意見の部分はあくまでもWebmaster 藤山土門の個人的見解です)