3D関連最新情報

3D関連情報トピックスを随時更新!

■ 裸眼で高画質なドルビー3Dとオランダ『Dimenco』社の関係を探る(2012年12月17日)■  12月21日付け補足情報あり
 ※参考記事は"Stereoscopy News.com" のホームページから

本コラムでドルビー3Dについて書いた直後に、世界的な3Dマニア・サイト「Stereoscopy News.com」に、11月に横浜で開催された『FPD International 2012』におけるマック・プロ・レティーナ裸眼3D 試作機についての記事が掲載された(文中「東京で開催された」とあるのは明らかに間違いだが、大昔の007「二度死ぬ」でジェームズ・ボンドがオープンカー仕様のトヨタ2000GTで東京から香港まで行ったシーンが あることから欧米人の中にはいまだに東京から香港までクルマや新幹線で行けると思っている人も多いので、横浜や幕張は東京の一部だと思われてもご愛嬌)。
しかしこの記事にはどこにも「ドルビー」や「フィリプス」の名前が出てこない。あくまでも展示された大型テレビやPCモニター、そしてこのマック・プロ・レティーナの裸眼3D試作機を製作したと言う 『Dimenco』(正式にはそのディスプレイ部門担当の子会社のDimenco Displays)のことしか書かれていない。
どうもこの記事のソース自体が『Dimenco』自身によるものらしい。
そこで、21世紀の裸眼3Dのデファクトスタンダードになる可能性が高い「ドルビー3D+フィリプス連合」と『Dimenco』社の関係を探ってみた。
すると、私は既に2011年6月に東京ビックサイトで開催された「3D&バーチャルリアリティ展」の日商エレクトロニクスのブースで、 このDimenco Display社の55インチ裸眼3Dモニターを観ていたことに驚いた。あの時は従来のフィリプス製裸眼3Dモニターと同じ程度の画質でそんなに印象に残っていなかったのだが、 デモの方法や映像ソースが悪かったのか、あるいはドルビーが説明しているように現在のドルビー3Dはより進化したものなのか、とにかく明らかに印象が違った。


上の写真はDimenco社のリアルタイム多視点コンバーターであり、説明のとおり、2視点のステレオ3D映像ソースを、視差バリアやレンチキュラーによる任意の視点数の「多視点ディスプレイ」用にリアルタイムに多視点変換し、 可変調整可能なデプス情報と共に遅延無く送り出すものである。12月にNHK放送技術研究所での3D関連シンポジウムで展示されたPC用23インチモニターの裏にもこれが繋がっていたように思う (残念ながらその時は画面に集中して裏側のデバイスの写真を撮るのを忘れてしまった)。
大きさはタバコの箱よりも少し大きくニンテンドー3DS/LLよりも小さいぐらいだったと思う。

この製品はスタンダード版とプレミア版があり、Dimenco Displaysが開発・販売している『Real-time conversion License』(詳細はコチラ) のハードウェア部分であり、価格も36,694円とそんなに高いものではないし、既に米国では多くの販売取扱店が存在するらしい。
知名度が低いのは、これを活かせる多視点ディスプレイがフィリプス社のサイネージ用裸眼3Dモニター以外にはDimenco Displays社自身の23インチ、42インチ、55インチ以外はほとんど無いからである (試作機レベルのものや低画質なものは日本をはじめ韓国やアメリカや中国製のものが多数あり、3D関連のビジネスショーには必ず出品されているが...)。

で、今回のドルビー3Dとフィリプス連合によるNABショーなどでのプレゼンテーションで、高画質な裸眼3Dがいきなり脚光を浴びたにもかかわらず、この『Dimenco』並びにその子会社『Dimenco Displays』社が 表に出ない理由は何なのだろうかと疑問に思い、両社について調べてみた。

『Dimenco』社のホームページ(詳細はコチラ) 及び、 『Dimenco Displays』社のホームページ(詳細はコチラ)によると、

■同社は、3Dに情熱を燃やす若き4人のフィリプス社員(Bas、Jan、Pieter、Maarten:フルネーム不明) が2010年(ホームページのコピーライト表記から2010年と推定)にフィリプスからスピンオフして 立ち上げたベンチャー企業であり、フィリプスとは良好な関係を保っている。

■同社の目標は、裸眼3Dの技術で世界のリーディング・カンパニーになること。

■『Dimenco Display』の中心人物は、博士号を持つ元フィリプスの若きディレクター『Erik Van Der Tol』氏らしい。

ここからは私の推測...

1.ドルビーの思惑:
全世界の映画館などの音響システム並びに映画コンテンツのオーディオ・フォーマットでは圧倒的なシェアを有するドルビーだが、2007年に発表した映画館用の「ドルビー3D方式」は 評判が悪く普及せずにフェードアウトに向かっている、がしかし、家庭用マーケットを見れば、メジャーメーカー製品には20世紀の古いアクティブシャッターメガネ方式もしくはパッシブ偏光メガネ方式のテレビしかなく、 実験的な裸眼3Dテレビは価格が高い割には画質が悪いものばかりで、いまだ未開拓に等しいマーケットであり、ここで映画及び放送、ブルレイ及びDVD、インターネット上の3D方式において デファクト・スタンダードとなるべき高画質・低コストな方式を確立できれば、映画館や放送⇒家庭という大きなマーケットで将来にわたって莫大なライセンス料を得ることができる。 でもパナソニックやソニーはもうダメっぽいし、昔から裸眼3Dテレビを製品化しているフィリプスの若い連中が結構良い仕事をしているようだが会社が小さいから安いコミッションで特許を使えるかもしれないので 取り込んでみるか、といった感じ。

2.フィリプスの思惑:
もう10年以上にわたって裸眼3Dテレビ「Wow TV」の開発を行っているけどパッとしない。うちからスピンアウトした若い連中の「Dimenco」の技術は確かに優れているので、彼らを敵にせず、上手く使って、 低迷し始めた3Dの世界市場で一気に覇権を取りたいけど、韓国製や中国製に押されて極端に利益率が低くなったテレビをフィリプス・ブランドで作るよりも、かつてのDVDのように、規格自体で特許を取り、 そのライセンスで儲けたほうがリスクが少ないから、どこかメジャーなところにシステムを売り込もう、といった感じ。

3.Dimencoの思惑:
我々の裸眼3D技術は最高だけど会社が小さいしお金も無いからなかなかハリウッドや世界中の放送業界に売り込めない。このままでは数ある広告用3Dディスプレイの中小メーカーと 同じように小さなままで終わってしまう。何とか我々の技術を世界に認めてもらうためには、フィリプスの後ろ盾と、ハリウッドや放送業界に絶大なコネクションを持つドルビーに乗っかるのがいいかもね。 普及すれば、我々Dimencoが有する基幹特許だけでも莫大な利益が得られるし、我々が「裸眼3Dの技術で世界のリーディング・カンパニーになる」という目標に近づける、といった感じ。

以上は私の全くの推測に過ぎないが、ともあれ、我々一般大衆にとっては、 「メガネ不要で、高画質で、安くて、見やすく、映画もテレビ放送も自作3Dムービーや3D写真も楽しめる裸眼3Dテレビ兼PCモニターやタブレットやスマホ」が製品化されればそれにこしたことはないし、 それが1メーカーの製品ではなく、サムスンやLGや日本のメーカーなどが競い合って様々なニーズに即した製品を出して選択肢が増えることは望ましいことだと思う。


【補足情報】2012.12.21
今年に入ってからのDimencoとドルビー及びフィリプスの関係を検索していたら2012年6月6日付けの次のような記事があった。<出典はイギリスの3D-Focus.co.uk
そのタイトルからして『Dimencoは超HDな3Dディスプレイのためのライセンスをドルビー3Dに供与』(動詞のlicenseの後には前置詞要らないの?)
タイトルだけからは若いDimencoの方がライセンスに関しては上から目線的な関係に取れるが、12月の3Dシンポジウムでのドルビー側の説明では、 (Dimencoの名前は出さなかったが)放送などで優位な規格をドルビーは提案できることを強調していたし、この記事からも持ちつ持たれつな感じに思える。
ともあれ、我々3Dマニアにとっては長年の夢であった「自然な姿勢と視聴角度でもメガネ無しで綺麗な立体映像が見られる」技術が、そう高くないコストで出来上がってきたことは非常に喜ばしいし、1日も早く、 実際の製品が登場して欲しいものである。
また、比較的に若いオランダの3Dマニアな技術者が、高価な液体レンズなどを使わずにこの技術を生み出せたことを考えると、かえすがえすも日本のメーカーや大学での研究者の不甲斐なさを痛感をした。
今後は是非、「ヒューゴ」や「トランスフォーマー」ではなく、もっと飛び出し感もあり、適切なステレオベースで緻密に描写したお花のアップや肉感豊かな綺麗なお姉様と可愛い少女のアップも登場するような (LGが行ったような)一般受けするデモ映像で大衆の関心を引いて欲しいものである。







■ 高画質裸眼3Dはこれからが本番...『家庭向けドルビー3D』の予想以上の高画質と汎用性の高さ(2012年12月12日)■
 ※参考記事は"DOLBY." の日本語ホームページから

本コラムの過去記事で指摘のとおり、日本では家庭用3Dテレビに代表される3DデバイスはソニーのHMDを除いて、カメラもモニターも全て処分価格で年内の在庫処理が進められている状態で、 新規モデルや後継機種の発売は三菱のPC用偏光方式3Dモニターぐらいしかない。
が、3Dテレビが好調に売れて普及した欧米では、既に次世代のメガネ不要でフルハイビジョン画質の「裸眼3Dテレビやモニター」の開発が進んでいる。
そんな中、今年の初夏に文字情報だけで伝わってきた「ドルビーとフィリップスが新しい裸眼3Dテレビを発表」という情報には、私を含めて多くの3Dマニアは、 2007年の幕張メッセ「CEATEC 2007」で発表された映画館向けの「ドルビー3Dデジタルシネマ」 の痛い経験から、高画質でメガネ不要をうたう今回の発表はにわかに信じがたいものだった。

しかし、11月にパシフィコ横浜で開催された「FPD International 2012」に出品されたドルビー3Dで駆動する54インチ裸眼3Dテレビ(4K2K)、Mac Pro Retina(フェイストラッキング付き)、 11インチタブ、9インチタブをベースに作られたデモ機の実際の3D画質を見て「ドルビー3Dデジタルシネマ」の嫌な印象が払拭された。

さらに12月にNHK放送技術研究所で開催されたシンポジウムで、この家庭向けドルビー3D方式の詳しい紹介と、23インチPCモニター及びシャープ製3Dガラスマに実装されたデモをジックリ 見たインプレッションとドルビーからの資料に基づき、今年最後のトピックスとして取り上げることとした。


この家庭向けドルビー3Dが発表されたのは今年4月にラスベガスで開催された世界最大の放送機器展覧会「2012 NAB Show(NAB2012)」。
日本の今年のCEATECでは3Dは完全にオワコン扱いだったが、アメリカではこの関心の高さ。

そしてNABのヨーロッパ版ともいえる9月にアムステルダムで開催された「IBC 2012」に「アバター」のジェームズ・キャメロン監督がフラッと訪れた時の写真が上の写真である。
ドルビー側の説明によると、J・キャメロン監督は最初は一人で訪れ、長時間にわたってドルビー3Dシステムについて質問をし、翌日は彼のチーム・スタッフを引き連れて再びドルビー3Dブースを 訪れてさらに情報を得ていき、その後の各種インタビューや、先日『シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語』のプロモーションで来日した際のインタビューでも、 ドルビー3Dの名前は挙げないながらも『あと2年ぐらいで3D眼鏡を必要としない3D映像が、家庭用の大型テレビやラップトップに進出するだろう。そうなると、放送業界での3Dの普及が急速に高まり、スポーツ番組や、現時点でまだ3Dになっていないドラマが3Dになるだろう。というのも、3Dの番組を観るときは眼鏡を掛け、3Dじゃないときは外すといった面倒なことをしなくていいからね。また、2D番組内でも3Dが部分的に使われるようになるだろうね。そうなると視聴者は「3Dのほうが良いじゃないか」ということになりもっと3Dが増える。やがては全てが3Dになっていくと思うよ。』 と答えており、この「2年ぐらいで」という背景には、現在新しい3D規格策定が進められている業界のタイムスケジュールと、その最有力候補と言うか現在唯一のプロポーザルであるドルビー3D方式の ことを踏まえての発言であることは明白である。

ではここで、「家庭向けドルビー3D方式とは何か」について簡単に説明すると、

・家庭向けドルビー3D方式はハードウェアではなく、3Dコンテンツ用の新しいコーデック及びエンコードとデコードの技術とソフトウェアであること

つまり、ドルビーやフィリプスブランドの3Dテレビや3Dモニターとして製品化されるのではなく、「ドルビー5.1ch」に対応するオーディオ機器にドルビーのロゴが付いているのと同じように、 ドルビー3D対応機器を製造するテレビメーカー、PCモニターメーカー、タブレットやスマホメーカーに技術とソフトウェアをライセンスするものである。
大量の売れないメガネ式3Dテレビを不良在庫として抱えているどこかの国のメーカーとはビジネスの仕方自体がまず違うわけである。

そして、次に私が感じた「家庭向けドルビー3D方式」の利点を挙げてみると、
  1. メガネ不要でフルハイビジョン画質の裸眼3Dを実現した。

  2. 多人数が同時に自由な位置で裸眼3Dで見られる。

  3. 2D環境では通常のフルハイビジョンで、3D環境では「裸眼レンチキュラー方式」「裸眼視差バリア方式」「アクティブシャッターメガネ(液晶シャッター)方式」「パッシブメガネ(偏光)方式」 などの現在使われているほとんどの3D再生環境に対応する。

  4. 再生時には左右フルハイビジョンでありながらファイル容量の増加はわずか10%〜15%である。

  5. ほぼ現行の放送設備のままで2D3D互換なフルハイビジョン放送やストリーミング配信が可能となる。

  6. ユーザー側が好みのデプスや最適視聴距離をほぼ自由に調整できる。

  7. コンテンツ自体は現在の2視差のままでOK(2D3D変換も可能)。
さらに詳しく説明すると、

1.については単に裸眼フルハイビジョン3Dになるだけでなく、「クロストークが非常に少ない」「片目が不自由な人や寝転がって見た時には通常のフルハイビジョン2Dとして見える」。 これは3Dを普及させる上でも非常に大きな利点だと思う。レンチキュラーの専門家によると「切り替え角度が非常に細かく逆視になりにくいようだ」 「同じく切り替え角度が細かいために左右各眼への光の分離がハッキリしているので片目を閉じれば2Dとして見えるのではないか」とのことであった。

2.も非常に重要なことで、パシフィコ横浜でのデモではリビングルームを想定したレイアウトでテレビの前約3mの距離に3人掛けのソファーが置かれていたが、どこに座っても3Dで 見られた。また、極端に視聴角度を外れた場合は2Dとなるので、食卓で食事をしながら横目で見るような場合は通常の2Dテレビと同じように見えるのである(28視点の場合)。 なお、視点数も使用するモニターに最適な数に調整できる。例えば56インチの4K2Kモニターでのデモでは28視差だったがPC用23インチモニターでは23視点、ドコモの視差バリア3Dスマホでは当然に 2視差のままであった。

3.については、当初私は家庭向けドルビー3D方式は「裸眼3Dのためだけのもの」と誤解していたが、そうではなくて現在の各3D方式にも対応するものであり、3Dテレビや3Dモニターを 買い換えなくともドルビー3D対応のセットボックスを挟むことで対応できるとのことである。

4.については、放送業界にもネット配信業者にとっても重要であり(エンコーダーが無料でなければ現在のまま配信するだろうが)、 例えば現在3Dエロスが左右フルハイビジョン・デュアル・ストリーム3Dで配信しているコンテンツの容量がほぼ半分のサイズにできるということであり、サーバや回線費用を半分に抑えることが 可能と言うことである。

5.については、放送がアナログからハイビジョンに替わったときのような大規模な機器の入れ替えが必要ないということで、3Dに乗り気でない日本のテレビ放送業界にも実現可能である点が大きい。

6.については、これも非常に重要で、ニンテンドー3DSの「3Dバー」のように、見る側がデプス・ゼロ(2D状態)から自由に(デモでは安全性を考慮して150%までだったが)立体感を調整できることである。 現在の各社の3Dテレビや3Dモニターはあくまでもコンバージェンスポイントの調整しかできない(つまり映像全体が手前に飛び出すか奥に引っ込むかしかできない)が、ドルビー3D方式は立体感 (パースペクティブ)自体を再生時に調整でき、つまり、3D映像中の重なった被写体間の距離やオッパイのふくらみ具合を再生時に最適に調整できるのである。また、現在の3Dテレビや3Dモニターでは 最適視聴距離はモニターの縦のサイズの3倍程度とされており、例えば50インチの3Dテレビの場合は概ね2.2mぐらいが最適視聴距離となるが、ドルビー3Dは 部屋の大きさやテレビとソファーのレイアウトによってそれも自由に調整可能である。
さらには、現在の3Dシステムでは再生するモニターサイズに合わせてステレオベースを調整した3Dカメラで撮影を行わなければならないため、それが映画館のような大きなスクリーンとスマホでは 立体感が大きく違ってきてしまうが、ドルビー3D方式は再生するモニターやスクリーンサイズに最適なパースを再生時に調整できるので、撮影者の負担が非常に軽くなり、それによって 3Dコンテンツを作る人や作品が増えることに繋がる。

7.これも非常に重要なファクターである。現在既に2視点で制作された3Dコンテンツは、ハリウッド製の大作やアニメ、日本を含めた世界のテレビ局が制作している3D番組や 毎週新作が出る欧米のアダルト作品を含めると既に1万タイトル以上が存在すると思われるが、それらをそのまま使えるメリットは非常に大きい。 さらに今後は、上記6で述べたように、例えば「家庭用50インチテレビ」を標準的なターゲットにステレオベースを設定して撮影すれば劇場での400インチのスクリーンでも4インチの3Dスマートフォンでも、後から 最適なパースペクティブを調整できるから、2眼レンズ固定式の現在の3Dカメラでもカキワリ感やオーバー・パースになってしまうことが避けられる3Dコンテンツが作れるわけである。

以上のように、家庭用ドルビー3Dは、遠い将来SF映画に出てくるような360度どこから見ても高画質なホログラフが実用化されるまでの今後数十年間、3D規格のデファクト・スタンダードに成り得る 可能性が大きく、既にMPEGの規格を決める国際組織では2013年12月までに、このドルビー3D方式をベースに規格案を策定・公開する予定であり、その時期には同規格に対応した製品が発売されるだろう。 (それがテレビなのかPCモニターなのかタブレットなのか、どのメーカーからなのかは明らかにしていないが、東大大学院卒のドルビー日本の開発担当者は製品の具体化が進んでいることを自信ありげな笑顔で語ってくれた)。

ドルビー3Dの詳細な技術情報は勝手には公開できないしドルビーのホームページにも詳しくは載っていないので、ここではパシフィコ横浜『FPD International 2012』で配られたパンフレットのPDFを掲載する。
■パンフレット1(主に家庭用デバイスメーカー向け)
■パンフレット2(主に放送事業者向けのテクニカルペーパー)

なお、3Dのプロたちが集まった12月のシンポジウムには、NHKのインテグラル方式の3Dテレビ等も展示されていたが、参加者全員の関心はドルビー3Dに注がれ、多くの人が質問を浴びせていた。 そして、ドルビー3Dの裸眼3D画質に文句を付ける人が居なかったことは特筆すべきであろう。

上記でジェームズ・キャメロンが述べているように、家庭用ドルビー3Dの登場によって人々がウザい3Dメガネの呪縛から開放され、放送という「ながら観」ができるデバイスにどんどん2D3Dコンパチブルな番組や コンテンツが増えることで人々が3Dの良さを実感できるようになる2014年から真に「21世紀の3D」と呼べる新たな映像世界が始まると思う。


★ ドルビー3D対応の裸眼3DテレビやPCモニターを待てない人には東芝裸眼3Dノート『dynabook Qosmio T852』がお勧め ★
NDIVIA 3D VISION Video Playerやステレオフォトメーカーも使える!


既にこのコラムでも過去に紹介したが、2010年の幕張メッセ「FPD International 2010」で試作機が公開された台湾AUO製のフェイストラッキング付き2視差裸眼3Dモニターを搭載した 東芝ダイナブックの2代目が今年の夏に発売され、Core-i7、地上波・BS・CSチューナー、BDドライブなどを搭載しながら価格はスペックが劣るLG製裸眼3Dノート「LG A540-HE70K 3D」の米国価格よりもはるかに安い実売価格で 3Dオワコンな日本では購入できる。(私は13万円台のときに購入した。価格コム最安値はコチラを参照)
しかしこのT852には全くと言ってよいほど3Dとしての使用法の説明も必要なソフトも載っていない。唯一バンドルされている東芝製の3Dブルレイ対応のプレーヤーソフトはバグが多く、 MPOなどの3D写真の再生も出来ないシロモノでこのままでは折角の裸眼3Dモニターパネルも宝の持ち腐れであるが、実はこのAUO製裸眼3Dモニターパネルも東芝製プレーヤーソフトも NDIVIA 3D VISION VIDEO PLAYERで動いている。 よって、NDIVIAのホームページから3D VISION VIDEO PLAYER をダウンロード(無料)してインストールすればほとんどの3Dムービーや3D写真の再生が行えるようになるし、当3Dエロスが配信している左右フルハイビジョン最高画質のデュアル・ストリーム版も裸眼3Dで観られるようになる。
また、3D VISIONモードに対応しているフリーソフト「ステレオスライドショー」「ステレオフォトメーカー」「ステレオムービーメーカー」をインストールして表示モードを 「NDIVIA 3D VISION」に設定すればT852で裸眼で3D写真や3Dムービーの編集と連続視聴が行えるようになる。
さて、東芝T852の3D画質だが、上掲のドルビー3Dに比べるとはるかにクロストークが大きい。またフェイストラッキングの追従性も完成度は低く、3D映画などの視聴中に席を立ったり横を 向いたりするとフェイストラッキングが狂い戻らなくなってしまうといった欠点がある(その場合はフェイストラッキングを行っているウェブカメラを片手でふさいだ状態で立体視が最適になる 位置に顔を向けてゆっくりとウェブカメラから手を離すとフェイストラッキングの追従性が正しくなる)。
また、日本のメーカーブランドPCにありがちな「無駄な常駐ソフトなどがてんこ盛り」なため、出荷時のままではWindows7が完全に立ち上がるまでに5分ほども掛かってしまうし、プレゼンなどに 持ち歩くには今時3kgという重さはウェイトトレーニングを強いられるようなものでダメダメなノートパソコンである。
しかし、やはり裸眼で見る3Dは、メガネ式のようなチラツキ、暗さ、色の変化が無く、映画自体のオリジナルの色やコントラストを楽しめるし眼の疲労も少ない。何よりもメガネが要らないことの メリットは非常に大きく、お金に余裕のある3Dマニアな人にはお勧めの1台である。




■ 3D本来の正常進化...それをどうエンタメに活かして大衆化するか(2012年7月25日)■
 ※参考記事は"第44回日本医学教育学会" ホームページから

日本ではマス・エンターテイメント・メディアとしての3Dは現在オワコンもしくは休止中の状態だが、3Dを必要とする分野では確実に高度活用段階に入り、それは人類全体のために 日本が再び世界に貢献し尊敬され求められる復活への糸口の一つになる可能性がある。
そしてそれは「社会と人々のためになる3Dの正常進化」であるとも言えるし、それをマス・エンターテイメントの世界にどのようにフィードバックさせて多くの人々が「物語の世界に入り込み、 行けない場所にも行け、体験できないことをリアルに疑似体験できる」ようにするか、放送や出版などのメディア業界の真面目な取り組みが重要性を増したとも言える。

現在既に内視鏡を用いた高度な手術では執刀医(実際には3Dゴーグル越しにマニピュレーターを操作するドクター)も、補助者も、それを見て学習する医学生達にとっても3Dは必要不可欠なものに なりつつあるが、複雑に前後位置がからんだ細い一本の血管、一本の神経への損傷すら致命的な結果となってしまう手術では、3Dの「パース再現性と解像度」の高さが求められているし、 以前このコラムで書いたように、学生達は文献を見ながらノートを取りながらオペの状況も見なければならないわけで最も裸眼化が求められている分野でもあり、かつ、1台数億円もするMRI系の 機械に代表されるように、大学病院や大手の病院では比較的に高額な価格でもそれが必要であれば買ってもらえるというメリットがある。
救急医療の分野でも本コラムで既に書いたように、京都では救急車から患者の様態や傷の状態を3D映像で病院の担当医に送り、担当医はそれを3Dモニターで確認して救急車が到着するまでに適切な 対応策の準備を完了させるという実験も行われている。

また、独善的なスーパー・ハイビジョン構想を先に具体化するために何かと邪魔な3Dを排除しようとしてNHKが圧力を掛けているのか、総務省は3Dテレビがコケて天下り先やB-casのような美味しいボロ儲けになる可能性が無いと分かった 途端に、臨床データも何もないままに「噂では3Dは眼に悪いかもしれないから規制しちゃおうか」みたいなメチャクチャな動きを始めたことに対して、このような医学教育界から3Dの 有用性や安全性を実証していくことは極めて意義深いと思う。
今回7月28日の医学教育学会の特別セッションでは、4K解像度による3Dの医学教育画像上映、遠隔ポインティング・システムを使った3D実習、 kinectやiPadを使った3Dインタラクティブ教育コンテンツを3地点で3Dライブを行うといったデモが行われるらしい。

昔の巨額な粉飾決算報告がバレて本来なら上場廃止になるところを免れたオリンパスは、何と言っても医療用内視鏡分野で世界マーケットの70%以上を占有しているといった強みがあったからで、 その技術力と市場占有率をどう取り込むかでパナソニックとソニーのどちらが提携するかが6月まで話題となっていたが、結局ソニーが500億円出資してオリンパスの筆頭株主になることが6月22日に発表された。
私のような3Dマニアは、オリンパスが2007年には既に一般のビジネスショーに「患者への負担が少なく高画質な3D内視鏡」の展示とデモを行っていたことを知っているし、3D内視鏡技術を含めて、 今後筆頭株主のソニーはオリンパスを医療用光学機器メーカーの強さに特化させていくことを表明している。

そこからが問題で、いかに医学分野で3Dが正常進化しても、原子力と同じように一般大衆から完全に乖離してしまうと、幅広い分野でその技術を正しく使うことを発想できる人が少なくなってしまう。
医学界や三次元計測の分野で正常進化していく3Dを、いかに一般大衆にも楽しめるものとしてエンタメ・マーケットに下ろして具体化させられるプロデューサーやスポンサーの役割が非常に大きい。 しかし現在のところ、日本のメジャーメーカーの経営陣や開発陣には優れたハードを作る技術力はあってもそれを活かすソフトの開発力や普及させるマーケティング力が無いことが問題だと思う。 本来ならその部分の橋渡し的役割を総務省なり経済産業省が行うべきだが、先行き怪しい「二次元ばかりのクール・ジャパンの売り込み」に政策が偏っていて、日本の3D関連を取り巻く環境の悪さは とても世界と戦えるレベルではなく、どんどん3Dソフト格差が広がっていき最終的には全く追いつけなくなってしまうことを私は危惧している。

さて、話はそれるが、3Dエロスを始めた当初、海外の視聴者から「まるで医学の実習や手術の現場を見ているようにリアルだ」という評価がきたことがあるが、 医学的3D映像とエロい3D映像は、パース再現とヒトの肌や器官の質感などのリアルさ追求と言う点では極めて近いものがあるし、かたや今そこにある生命の危機を救おうとするものだし、 かたやこれから実際に新しい命を作っちゃうお助けになるものという点でも近いと思う。
SD画質からハイビジョンへと日本のAVの画質が良くなったことでセックスをする男性が減って出生率が低下したのではなく、反対に、 日本独自のおかしな規制が二次元のアニメ・キャラクターで勃起するのが当たり前で三次元の現実の女性の性器はグロくて勃起しないし、女性とつき合うのも面倒といった明らかに 「性的欠陥」のある草食系男子を生み出し、今やそれがデファクト・スタンダードであるかのごとく増殖を許してしまった大きな原因は誤ったエロ規制にあると思う。 もちろん「肉食系女性が笑顔でガンガン男のチンコをハメまくる欧米のポルノ」が決して正しい方向とは思わないが、中国よりも厳しい日本のモザイク規制と逆にロリ系ヘンタイアニメに甘い 文化は今後も二次元にしか勃起・射精できないヘンタイ男子を増殖させると思う。



■ 何かと評判が良い3DSLL向けPPVを姉妹サイトから行います!(2012年7月24日)■
 ※参考記事は"CNet" から

海外メディアによるレポートでは、画面サイズが約2倍に大きくなったニンテンドー3DS-XL(日本ではLL)の評価が総じて良い。 ハッキリ言ってパナソニックを筆頭にした3Dテレビ販売戦略を誤り「3Dは高い」「メガネがウザくて面倒」といったネガティブなイメージを作ってしまったメーカーと、 国民に無駄なコスト増を強いるだけのスーパー・ハイビジョン一辺倒のNHKに追随して3D放送を 充実させず(そのため撮影・編集技術やノウハウが蓄積されない)日本の民放各社のせいで3Dが完全にオワコン、 ロンドン・オリンピック世界3D生中継が先進国で唯一放送されない日本とは真逆に、3Dテレビ普及が急速に進み、パソコン用もグラフィックカードメーカーやステレオ・ドライバー各社が どんどん新しい3D対応策を打ち出してサービスが拡大し、全体的に盛り上がっているアメリカやヨーロッパでは 積極的に各メディアにニンテンドー3DS-XLの評価用機が支給されてテストされているが、悪く書いているものが全く見つからないような状況である。

3Dエロス本家では、以前このコラムで書いたとおり、ニンテンドー3DSファミリーが再生できる3Dムービーフォーマット「3D-AVI」がサイズ的に大きすぎるために配信は行わないが、 しかし、3Dの普及にはアダルト3Dコンテンツが必要と言うポリシーから2006年に世界初・人類史上初のフルカラー無修正3Dアダルトコンテンツ定期配信を始め、 過去にもAU/KDDIの裸眼3Dケータイ「Wooo H001」版(現在は役割を終えて終了)、3Dテレビ版、3Dスマホ版とマルチ・フォーマット配信を充実してきた3Dエロスの責務として、 何らかの方法でニンテンドー3DSLL向けのコンテンツ配信を行わなければならないと考え、 現在、姉妹サイトの「3Dエロス・ネット」を運用している旧DTIの「Hey動画」から単品配信を行うことを決定し、準備を進めています。
早ければ日本での3DSLL発売日の7月28日から配信を開始し、料金は裸眼3Dコンテンツ普及のために1作品10ドルの予定です(なので本家3Dエロスには2ドルしか コミッションが入らないのでファイル変換と管理の手間を考えると利益は全くありませんが)。
実際に配信を開始した時点で、本家3Dエロスでも告知を行います。
4.88インチへとモニターサイズが約2倍に大きくなり、邪魔な映り込みも1/4に少なくなり、スマホと違ってスタンド無しでもそのまま机に置いて見られるニンテンドー3DSLLで3Dエロスのパイパン女子たちのエッチな姿をジックリ楽しんでいただければ コンテンツの制作者側としてはとても嬉しいです。



■ 処分価格7800円の裸眼3Dサブモニターで3Dゲームが見られるらしい(2012年7月20日)■

本コラム及び3Dエロス「鑑賞方法」のページでも紹介しているI.O.DATAのUSB接続7インチ裸眼3Dサブモニター"Rock Vision 3D"が処分価格の7,800円となり、ITライターの西川善司氏が この"Rock Vision 3D"を使ってPC用3Dゲームを裸眼で楽しめるかを実験した非常に詳細なレポートが「4gamers.net」に前編・後編の2回にわたって掲載された。
私はゲームはしないのでここでは詳しくは解説できないが、結論的にはiZ3Dを使ってPC用3Dゲームを裸眼で楽しめるらしい。
さて、処分価格となった"Rock Vision 3D"について改めて説明すると、それまでの裸眼3Dモニターがどれも価格が高く、かつ、3Dコンテンツを見るためには専用フォーマットに変換しなければならない ような極めて使い難いものばかりだったのに対して「発売時19,800円と従来製品の半額」「パソコンで見られる3Dコンテンツならそのまま裸眼3Dで見られる」「電源不要のUSB接続」 「YouTube3Dもそのまま裸眼3Dで見られる」などを特徴として開発・発売されたものである。
製品化までには数タイプの試作モデルに対して、私を含めて3Dグラビア写真家の清水清太郎氏などが品質評価を行い、明るさ、色目、クロストーク、使いやすさなどについて改善要望を出し製品版に 活かされている。しかしながら、実際の話、この"Rock Vision 3D"の試作第1号機が出来たのは既に3年以上も前のことであり、 ベースに使われているLG製のLEDバックライト2D液晶パネルはさらに5年以上も 前に開発されたものであるため、1280x720pやフルハイビジョン1920x1080pが当たり前になりつつある現在の7インチパネルに比べて800x480pはやはり解像度的に物足りない。
しかし、視差バリア3Dモニターのベースに使用できる2D液晶モニターは、RGB各色の画素の配列が「縦配列」でなければならないという制約がある。例えば初期の国産裸眼3Dパネルや、 現在の中華製8インチ裸眼3Dタブレット「GADMEI」に使われている液晶モニターパネルはフツーの「RGB横配列」なため、各色の間隔が広いために「色ずれとクロストーク」が酷くて使い物にならない。 ルーペで拡大して見なければ分からないようなRGBの「縦」か「横」かの違いが3D品質を大きく左右してしまうのである。 ちなみに現在この中華製GADMEIタブレットやメディアプレーヤーは日本でも1万5千円程度で売られているが3D画質が酷すぎるので購入すべきではない。

今だから話せるが、"Rock Vision 3D"に採用されているLG製「RGB縦配列」の2D液晶モニターパネルは元々は3D用に作られたものではなく、特殊な用途の工業用モニターとして「縦位置専用」 (つまりRGB配列は縦位置使用の場合は通常のパネル同様のRGB横配列)に作られたものを「横」位置で使ったものであり、 そのアイデアは最初に中国"Inlife-Handnet社"が裸眼3Dフォトフレーム"SDP-818"(日本では渋谷のテクネが36,000円で販売していた)用に使ったのが最初で、 それをI.O.DATAと共同開発を行った韓国企業が独自の視差バリアを1から作り、バックライトと色を制御するパーツと制御プログラムを改良し、 さらにパソコンとUSBコード1本で繋げてサブモニターとして機能するようにDisplayLink社のチップとソフトを組み込んで仕上げたものである。

残念ながらこの"Rock Vision 3D"は3Dオワコンな日本でしか発売されなかったため売れずに処分価格となってしまった。 この結果は10年前に発売されていた同社の液晶シャッターメガネシステム「PLAY3DPC」が非常に画質が良く海外の3Dマニアにも高評価だったにもかかわらず同じように処分価格となってしまった 再現であり、その原因は「汎用性と使いやすさのアピールが全く足りない」ことのように思える。
事実、私の知る範囲の3Dマニアや大学の研究者の多くが"Rock Vision 3D"を実験用に使っており、スカイプを使った裸眼3Dテレビ電話やHTML5での裸眼3Dムービーのストリーミング配信、 サイネージ用に3台並べたマルチ裸眼3Dマルチモニターなどの実験を成功させているが、一般の3D初心者には同梱のドライバーも3D再生ソフトも不完全で使い難いシロモノである。
本来"Rock Vision 3D"は、DisplayLink社がドライバーを頒布しているOSであればWindowsXPでもMacOSでも動くのに、発売当初の説明ではWindows Vistaか7でしか動かないような誤解を与える もので、それを理由に購入を止めた人も多かった(このOSの制限は同梱の3D再生ソフトを使う場合の制限であった)。
実際には「パソコンがインターネットに繋がった状態でRock Vision 3DをUSB接続すると自動的にDisplayLink社から最新のドライバーをダウンロードして使用可能となり」「3Dコンテンツの 再生はフリーソフトのステレオスライドショー(SSS)や無料版StereoscopicPlayerで行え」「iZ3Dのステレオドライバーを使えば3Dゲームの表示も行える」といった感じで非常に汎用性が高い。
画質は現在の基準からは物足りないが、価格的には同サイズの2Dサブモニターよりも安いくらいになったので、「普段はツイッター専用サブモニターとして、 3Dを見たいときには裸眼3Dサブモニターとしてボタン1つで切り替えられるお手軽なUSBサブモニター」として現在もお薦めである。特に3Dエロスやネットからダウンロードしたサイドバイサイドの 無修正3DムービーをSSSで手軽に見るには現在も最安・最適なサブモニターである。

【補足情報】
本年6月に東京ビッグサイトで開催された「3D&バーチャルリアリティー展2012」には韓国のベンチャー企業「3DOne社」が"Rock Vision 3D"と全く同じLG製パネルとUSB接続というコンセプトの 7インチ裸眼3Dサブモニター試作機を参考出品していた。"Rock Vision 3D"よりもバックライトの輝度を高め(オーバードライブさせているらしいので寿命は短くなると思われる)、視差バリアを細くして 明るさを増し、斜め線表示時のギザギザ感も少なくしているが、その結果、視線を左右にずらした時に黒い帯「バリアバンド」が目立ってしまっており、製品化の目処は立っていないとのことである。



■ 3DSLLは出すが今後の3Dに対しては弱気なニンテンドー(2012年7月13日)■
 ※参考記事は  "Digital Trend" から

今月、7月28日には3Dマニア待望の大きくなったニンテンドー3DSLL(海外名称はXL)が18,900円で発売されるが、デジタル・トレンドの記事によると、ニンテンドーの岩田社長は 『3Dは今後の任天堂のコンソールの主要な機能ではない(3D will not be a key feature in future Nintendo consoles)』と述べている。
やはり3DSの売り上げ不調がニンテンドーの裸眼3Dに対する開発モチベーションを大きく下げているようだ。
さて、初代ニンテンドー3DSの不調については、発売時に強力に牽引する力のあるキラー・ソフトが無かったことと、そして3Dエロスが指摘しているように、 被写体の質感再現を含めた3D効果を素直に直感的に実感できるミニマムのモニターサイズに達していないことが指摘できると思う。
3Dは、一般的には絶対視差量で立体感が決まってくる。3D素材自体の視差量が固定であれば、それを見るモニターやスクリーンのサイズが大きければ大きいほど絶対視差量も大きくなり、 立体感は強くなる。逆にモニターサイズが小さいとその分立体感は弱くなってしまう。 従来の3DSのモニターサイズでは、映画館の巨大なスクリーンを前提に制作されたハリウッド製3D映画は立体感の乏しい映像に見えてしまう。 あえてニンテンドー3DSでも実写映像がほどよく立体的に見えるとしたらそれは、民生機ならばステレオベースが75mmのフジフィルム製3Dデジカメ「FinePix REAL 3D W3」で、 業務用ならばパナソニックのAG-3DA1で被写体までの撮影距離を3m以内で撮られたものだと思う。
ともあれ、3DSLLのモニターが従来機との面積比で約2倍大きな4.88インチになったことの3D効果に与える影響は大きいと思う。おそらくゲームもCGばかりではなく、 大きくなったモニターでの3D効果を活かした実写を使ったアイドル育成ゲームや実写版ラブ・プラス的な恋愛シミュレーションゲームが登場するだろうし、 過去に私がこのコラムで予言していたような背面のステレオカメラと連動してプレーヤーの部屋の中に実写アイドルが現れていろいろ楽しめるARゲームも登場するだろう。 もちろん3Dエロスのように既に3Dコンテンツを持っているところを筆頭に、裸眼3Dグラビアや3DイメージVや3D着エロなどのニンテンドー3DSLLバージョンの配信を始めるところがいくつか登場するだろう。 なぜなら、ニンテンドー3DSは、売れていないと言われてはいても3Dを観られるプラットフォームとして圧倒的な台数が 世界中に存在し、さらにLLは、今までの3DSが小さ過ぎることで購入を躊躇っていたオールド3Dファン達にも「最も安価で高機能な裸眼3Dビューアー」として購入に踏み切らせる 可能性が大きいからであり、そうなればゲーム機としてではなく、「裸眼3Dビューアー」としての新たなマーケットが開けてくる可能性がある。
しかし、スマートフォン業界も圧倒的な画質の良さを活かして、スマホで遊べる裸眼3Dゲームや実写の3Dコンテンツを増やして対抗するかもしれない。 既に4.3インチクラスではシャープ製やHTC製のアンドロイド裸眼3Dスマートフォンで遊べる3Dゲームがいくつかある。5インチスマホが定着して巨人サムスンが、 あるいは台湾AUOが5インチ裸眼3Dスマホや、7〜8インチの裸眼3Dタブレットを市場に投入すれば一気に3Dゲームや3Dコンテンツを作ってマーケットにアップする人々が増えて、 3D環境は好循環に入るかもしれない。 さらにスマートフォンの優位性として、ニンテンドー3DS(LL)で再生できるムービーが画質の割には非常に大きなファイルサイズの「3D-AVI」フォーマットしか再生できないのに対して、 裸眼3D対応スマートフォンは、3D-AVIの10分の1程度のファイルサイズに圧縮できるH.264/MPEG4が標準であり、1280x720pは既に当たり前、現在売れ筋の機種は どれもフルハイビジョン1920x1080pを再生できるので、大画面3Dテレビと3Dコンテンツファイルを共有することが可能であり、コンテンツを制作・提供する側にとっては、現在3Dエロスが行っているような 3Dパソコン版と3Dテレビ版と3Dスマホ版とを分けてマルチ・フォーマット配信をする必要も無くなり、 「H.264/MPEG4、1920x1080pサイドバイサイド・ハーフがネット上の3Dコンテンツのデファクト・スタンダード」に 成り得る可能性があるし、それ以上の高画質を求める人々には左右フルハイビジョンな3D Blu-RayとPS3などのプレーヤー及び3Dテレビが存在意義を大きくし、 両者にとってマーケット的にも棲み分け可能で互いに相乗効果のある良い環境となる。 もしくはHTML5上で1280x720pサイドバイサイド・ハーフ画質以上の3Dムービーをダイレクトにストリーミング再生できるようになれば、 現在PC向けからスマホ向けに大転換中の「アダルト・コンテンツ業界」が3D作品の制作比率を急速に増やしていくかもしれない。
そんなパラダイム・シフトのきっかけにもニンテンドー3DSLLは成り得るわけなので、まずは鉄板ゲームの3D版をどんどん投入して3Dの底辺を広げていって欲しいと願っている。 現在3Dで遊んでいる小学生が大人になる10年後、日本では「3Dいらね」派が7割だったとしても残りの3割は確実に3Dに違和感を感ぜずに、その有効性を認識して 3D表現が当たり前なビジュアル世界を創っていくだろうことに期待したいし、 そんな基盤が出来て、他社からも様々な裸眼3Dデバイスが発売・普及していけば、将来のニンテンドー機が3Dに拘らなくとも私や3Dマニアたちは一向に困らないのである。



■ 32インチで29,800円の超お買い得3Dテレビ、イオンショップで復活!(2012年7月12日)■
 ※参考記事は  "イオンショップのホームページ" から

現在私の仕事部屋でフルハイビジョンテレビとしても3Dモニターとしても120%活躍してくれている32インチで29,800円という考えられない超低価格の3Dテレビ『PRODIA PRD-LH132BA』 に関しては、そのコストパフォーマンスの高さから、仕事部屋用とは別にもう1台、 スタジオ撮影や大きな機材を持ち込めるシティーホテルでの撮影時のモニターとして購入を考えていた間にイオンショップから在庫が無くなり、アマゾンでは39,000円台からの 在庫はあるもののほとんどのショップでの価格は4万円台、5万円台と高く、一度でも29,800円の超安値の味を知ってしまった私には躊躇ってしまう価格であり、かつ、 故障や破損に備えた長期保証も考えると、本体価格も5年保証も価格破壊的に安くて信頼も出来る超大手のイオンショップからの復活を願っていたが、 どこかにまだある程度まとまった数の在庫が眠っていたのか、録画用320GBのハードディスク付きモデルが再び29,800円でイオンショップに登場したので、 3Dエロスとしては速攻で2台目をポチッた。 前回の売り出し時には迷っている間に在庫が無くなって買えなかった知り合いの映像制作ディレクターも今回は躊躇無くポチッた。
29,800円といえば5〜6年前の「応答速度がちょっと速いパソコン用17インチ液晶モニター」の価格であり、現在でも三菱の23インチ3DモニターDiamondcrysta WIDE RDT233WX-3D(BK)の 価格コム最安値とほぼ同じ価格であり、三菱も持っている私としては、画面の大きさ、価格、クロストークの少なさから購入後の満足度はPRODIAの方が100倍大きい。 今後もラブホなどでの撮影では持ち込み機材を少なくするために、このPRODIAの32インチではなく12インチの2Dモニターでフレーミングのみのチェックとなるが、 素人モデルではなくプロモデルをスタジオなどでグラビア撮影する時には大きな3Dモニターで見せると「わー凄い、こんな風に見えるんだ」とノリが違うし、前後への動きの重要性やステレオウィンドウを はみ出してしまうとダメなことを説明する時にも実際に見せれば彼女たちの理解も早い。
またこのテレビの円偏光3Dメガネは、ワーナーマイカルで3D映画を観た時にそのままくれるReal D社の3Dメガネや、 同様にTOHOシネマズでも観ればくれるし売店で1個100円〜クリップオン型でも300円で買える MasterImage社の円偏光メガネと偏光角度がほぼ完全互換であることから、 スタッフやモデルさんの人数分メガネを揃えても全く負担にならない点も良い。
昔から3Dモニターを見比べてきた私には偏光インターリーブ方式の縦方向の解像度半減は当然分かるがフツーの人はほぼ100%気付かないし、 メガネが重く蛍光灯と干渉してチカチカする液晶シャッター方式よりも明らかに一般受けが良い。 このような超安価でも綺麗で観やすい3Dテレビが普及することで、3Dを楽しみ、自分でも3Dで撮ってみようと思う人々が増えることを願っているのだが、欧米と違ってコンテンツが 少なすぎるしメジャーメーカー信仰が強い日本では、このようなマイナーメーカーでもコストパフォーマンスが非常に優れた3Dテレビの存在すら話題にならずに消えていってしまいそうなことが非常に残念である。



■ 4.88インチのニンテンドー3DSLL 7月28日発売/18,900円!(2012年6月22日)■

アンチ3Dな日本ではニンテンドー3DSLLはお蔵入りになるとばかり思っていましたし、日経新聞による6月5日のリーク記事に対する公式否定から1ヶ月少々しか経っていない本日、 正式に7月28日に発売されることがニンテンドーから発表されました。
それも大方の人はスマホで一般的なモニターサイズである4.3インチぐらいだろうと予想していたのに対してほぼ5インチと言っても良い大きさにサイズアップされ、価格は3DS発売時の過ちを 繰り返さずに18,900円とリーズナブルで3Dマニアの心を激しく誘惑しています。
このコラムで指摘してきたように、裸眼3Dモニターのサイズには最小限度の壁があり、それ以下の大きさでは折角の3Dであっても十分なパースが認識されず「あまり立体感がないな」と思われてしまう。
全く同じ視差で作られたコンテンツが、100インチに投影した3Dプロジェクター、50インチの3Dテレビ、23インチのPC用3Dモニター、3.8インチの裸眼3Dスマートフォンと映像サイズが 小さくなるに従って「絶対視差量」が小さくなるために立体感は乏しくなってしまうのである。そこで従来機に対して3DSLLのモニターサイズが面積比で2倍近い4.88インチになったことで、 かなり立体感は強くなったものと思われる。
ただし、従来機との互換性を重視したため解像度は従来同様の800x240ピクセルなので、4.88インチと大きくなった半面、映像の粗さはどうなのかは実機を試してみないと分からない。
仮に許せる範囲の画質劣化に留まっていれば、サイズが大きくなって立体感が強まったことは3Dマニアにはたまらない魅力であり、 いままでの3DSに惹かれてはいても購入までには至らなかった昔からの3Dマニアが持ち運べる裸眼3Dビューアとして買いに走る可能性は高いし、 エロゲーや着エロ、ハードな内容のコスプレなどの3Dコンテンツを発売する中小ソフトメーカーが現れる可能性も高い。
しかしながら、現在3Dエロスが5ドルで配信しているモバイル版にニンテンドー3DS&LL版を加える可能性は無い。理由は「3Dエロス・モバイル」のページで述べているとおり、 ニンテンドー3DS向けの動画フォーマットはMotion-Jpegをベースとした「3D-AVI」形式で今どきのH.264/MPEG4に比べて非常に大きなファイル容量を必要とするからである。
場合によっては、姉妹サイトの見放題『3Dエロス・ネット』ではサーバ容量が無制限なので、モバイル向けとして現在の裸眼3Dスマホ版にニンテンドー3DSLL版を加えるかもしれないが、 それは結局、3Dスマホ版をフリーソフト『3DSVideo v.1.32』で変換しただけのものであるので、自分で変換できる人は本家3Dエロス・コムから好きな作品セットを5ドルでダウンロードして 変換した方が安くて無駄がないと言えるでしょう。
ちなみにWindows XP SP3環境での「3DSVideo v.1.32」による変換では冒頭が2秒カットされるという不具合は起こっていない。




■ ソニー『VAIO Lシリーズ』2012年夏モデルからPS3も繋げられる裸眼3Dモデル投入!(2012年6月8日)■

当3Dエロスの予言どおり、3Dは今、急速に「裸眼」に向かって進んでいる。 たとえ日本では3Dがオワコンだろうがアンチ3D派が多かろうが、映像のリアルさや臨場感を突き詰めていけば3D、それも究極はホログラフになる。
パソコンと同じで、今の3Dは終わりなき発展途上のシステムとして今後100年は徐々に段階を経ながら進化していくと思う。
問題は、その段階、段階での画質と利便性と価格である。
どんなに高画質で優れたシステムであっても数億円も掛かるようなシステムでは普及しないし、いちいちメガネに充電したり調整したりといった面倒な操作が必要では一般には普及しない。 逆に価格が安くても画質が悪くて3Dのメリットを活かせなければそっぽを向かれてしまう。
そんな条件の下、既に液晶シャッターメガネ式の3Dテレビはわずか2年でほぼ淘汰され、メガネ方式は偏光インターリーブ方式でかつ安いものがデファクトになりつつあるし、そもそも3Dは 見られるコンテンツも限られ(映画もアニメもまだまだ少なく、実際に数多く発売されているパッケージソフトのほとんどはアダルトしかない)、 一家団欒で皆で楽しむものではなく、一人で楽しむ、もしくは複数人数で3Dゲームを楽しむ場合もインターネットやLANで繋いであくまでも一人1台のモニターで見る方が全然良いことに多くの人が気付いてきており、 また、画面があまり大きくても立体効果の得られる視聴距離まで離れなければならない問題から、一人で楽しむ3Dに50インチ以上の大きなものはあまり実用的でないことにも気付いてきた (もちろん大画面は3Dマニアにとっては今も重要なファクターの一つであり、昔からその具現化手段として、3Dマニアの行き着く先はプロジェクターを使う方向に向かっているが、 ホームシアター同様に極一部のマニアでの話である)。
2010年以降、3Dテレビ、3Dモニター、裸眼3Dサブモニター、裸眼3Dスマートフォン、ニンテンドー3DS、3D対応HMDと様々な3D製品が登場したことで、 コンシューマーはようやく「価格と画面サイズとパフォーマンスのバランス」が重要なことを実感した。 その分かりやすい例の一つが、今まで3Dを知らなかった人々にもソニーのヘッドマウントディスプレイHMZ-T1が受けているのは「価格の割には予想以上に画質が良く大きく見える」からだと思う。
逆に既に多くの3D製品が撤退して行った。
比較的に早く有沢製偏光インターリーブ方式の3Dパソコンを投入した富士通やNECは厳しい台所事情からほぼ撤退し、シャープの3Dスマートフォンも裸眼3D表示機能は残ったものの 3Dカメラ機能は無くなってしまったし、iPhoneやiPadに後貼りするレンチキュラー・シートも限りなくインチキに近いものは淘汰されたし、 アイオーデータ製の裸眼3Dで7インチワイドなUSBサブモニター「Rock Vision 3D」も800x480ピクセルという今どき残念な画質とブルーレイが 見られないのに最初の価格が高かったことから売れずに現在では同サイズの2Dサブモニターよりも安い在庫処分投売り状態になっている。

そんな難しい3D製品市場の中、ソニーに関しては震災前の昨年1月に「ソニーらしく液体レンズを使った未来的裸眼3Dテレビを発表する」という噂が一部の3D関係者の間にファックスで広まった。 が、2011年度は結局は富士通と同じような後付けレンチキュラーパネルという子供だましな方法のものだった。
そして今年2012年にソニーが出した次の暫定的な回答が今回の液晶パネルにレンチキュラーレンズ組み込み+フェーストラッキング方式の裸眼3D方式なのだと思う。
しかし、現在までに公開されている情報からでは、その仕組みがよく分からない。液体レンチではないし、かといって東芝の100万円もする4K2K裸眼3Dテレビと同じ方式なのかも分からない。 しかしあくまでも民生用ホームパソコンという性格から考察すると、おそらく台湾AUOが既に2010年に幕張で発表し、翌年の東芝裸眼3DノートPCにも搭載されたパネルの進化型を 搭載しているものと思われるし、既にPCモニターとして15万円で売り出されているLG製の裸眼3Dモニターに欠落していた「ブルーレイ3Dが見られる」 「HDMIケーブル1本でPS3に接続して3Dゲームを裸眼でプレイできる」という大きなプライオリティーを持っているし、テレパソとしてもブラビアのエンジンを搭載しておりパソコンを起動しなくても すぐにテレビを見ることができたり、テレビ同様にUSB接続したHDDに録画したりでき、また、スマホの充電などに便利な電源オフでもUSB給電ができるといった機能が付いているので、 若い人がこれ1台で何でもこなしたり、オジサマ層が書斎でこっそり楽しむにはベストな裸眼3Dパソコンになるかもしれない。
しかしながら、発売前に価格コムに掲載された価格は248,800円と、 今どきのホームユース・パソコンとしては異常に高いが、 Core i7-3610QM(2.30GHz)、メモリ8GB、HDD 2TB、Intel HM76 Expressチップセット、GeForce GT 640M、BDXLドライブ、1,920×1,080ドット(フルHD)表示対応24型グラスレス3D/タッチパネル液晶、 Windows 7 Home Premium(SP1、64bit)、Office Home and Business 2010を搭載し、地上デジタルテレビ機能や画質も良いらしいので、この仕様なら仕方ないとも思えるし、すぐに20万円の大台は 割るとは思う。
ともあれ、裸眼3Dの普及に向けて3Dエロス・モバイル版を立ち上げた我々としても、このソニーVAIO L"SVL24119FJB"の実機を量販店でもうすぐ見られると思うと楽しみな1台であるが、 ガッカリしないか不安でもある。

【実際に見てきた...残念ながら非常にガッカリ】2012.06.22補足

銀座ソニービル4階に発売前展示として1台が視聴できるようになっていたので実際に見てきました。その3D画質は残念ながら「ひどい」ものでした。近くで見れば、「3D」オンの状態では 昆虫の複眼のような丸いツブツブ状のフィルターがハッキリ見えてしまいます。
3D表示時に720pになってしまうのは仕方ないにせよ、このツブツブザラザラと酷い画質劣化と、まさに「オバケ=ゴースト」と呼べるほどのクロストークがハッキリ白く浮いてしまいます。
デモ映像として流されていた「ジェット旅客機」は殆ど視差が無いのでゴーストが浮かない代わりに思わず「どこが3Dなの」と声を上げてしまいそうになるくらい平坦で、手前に伸びた翼の端がかすかに立体に 見える程度。
最新の3D映画「スパイダーマン」のトレーラーはレンガの壁や文字がザラザラ・ギタギタだし...最悪は「ソニーハンディカムHDR-TD20」で撮影された幼い子供たちのデモ映像が、 3D時には色は変わるは、輪郭はツブツブ・ギザギザ、白いゴーストがもの凄く、とても25万円もするVAIO最高級デスクトップモデルとは思えないものでした。
対比するものがありませんが、東芝の裸眼3DノートPC『dynabook Qosmio T852』(本日現在・価格コム最安値は169,800円)が 採用している台湾AUO製の裸眼3Dパネルの方が15インチと小さいから緻密とは言え、遥かに画質が良いし、1つの画面内で3D部分と2D部分とを混在して表示することも可能で例えば YouTube3Dの映像部分は3Dで文字部分は見やすい2Dで表示することが可能ですが、 ソニーのVAIO Lは全面表示のみしか3Dが有効になりません(東芝・AUOの裸眼3D方式の説明はコチラに詳しく載っています)。
今後の有機ELパネルを含めて、ソニーは東芝同様にAUO社からパネルの調達を増やすようですが、今回のVAIO Lのパネルは、秋に東芝から発売されるAUO製55インチクラスの裸眼3Dパネルを 使った3Dテレビとは明らかに画質が劣る違うもののようです。
残念ながら今回のVAIO Lを買うことはお薦めできませんが、興味のある方は是非実際に銀座ソニービルなり大型量販店でご自身の眼でお確かめになってください。




■ 日本以外では3Dテレビへの買い替えが急速に上向く(2012年5月29日)■
 ※参考記事は  "3DGUY.TV" から

"3D TV buying goes up up and away"と題されたこのコラムによると、
『世界市場の消費者の選択肢は確実に3Dに向かっており、普通の薄型テレビから3Dテレビに切り替えているらしいことがその数字から厳然たる事実として分かり、 「Market tracker Display Search」社によれば、2012年度第1四半期の世界市場でのテレビ全体の売り上げが8%減少したにもかかわらず、3Dテレビ市場は248パーセント増加した。 この変化は、1月〜3月に世界で700万台以上の3Dテレビが売れたことを示している。
サムスンとLGは世界の3Dテレビ市場の41パーセントを占め、その内訳はサムスンは25%で昨年から9%減らし、LGは16%で昨年から8%シェアを広げた。』とのこと。
LGのシェアが増えたのは偏光方式のシネマ3Dテレビが米国から受け入れられ始めたことが大きい。

欧米で3Dテレビが売れているその背景には、今年の夏のロンドン・オリンピックが人類史上初めて世界に3Dで生中継されること(先進国では日本だけが3D放送を行わない)や、 スポーツ番組や紀行番組、音楽番組、有料のアダルト番組に限らず、3D編集技術やシステムの簡素化が急速に進んだことから通常のドラマなども3Dによる番組が増えているからである。
しかし日本では、2010年にパナソニックが鳴り物入りで液晶シャッターメガネ方式の3Dテレビを発売し、ソニー、シャープ、東芝、日立、三菱の各社が追従したにもかかわらず、見られる3D番組や コンテンツがほとんど無いのに非常に高額だったことから全くといってよいほど売れず、日本では「3Dは終わった」あるいは「3Dブームはなかったことに」という状況になってしまっていて、 例えばシャープ製のスマートフォンの一部には比較的高画質な裸眼3D機能があるにもかかわらずその機能はほとんどPRされなくなってしまっている。

3Dエロスでは過去に何度も指摘しているが、3D元年といわれた2010年から2年を経過した現在、ここで改めて日本での3Dテレビ戦略というかパナソニックを筆頭に各社が犯した過ちについて指摘したい。それは、
  1.30年以上昔からある古い液晶シャッターメガネ方式をあたかも最新の3Dシステムと誤解させるようなPRを行ったこと。
  2.液晶シャッターメガネ方式は高画質2Dテレビのオプションとすべきところをあたかも3Dがメイン機能のようにPRして高価格な設定としたこと。
  3.ブルレイ3Dへのオーサリング費用が非常に高いため中小制作会社は画質の悪いDVDでしか作品を発売できなかったため3Dは画質が悪いという悪評が広がったこと。
  4.2010年時点でもアップスケーリング技術を用いれば2D3Dコンパチの放送も実現できたはずであったのに未だに2Dテレビとの互換性が無く、 そのため3D番組や和製3Dコンテンツが一向に増えていないどころか撤退が相次ぐ環境にしてしまったこと。
特にパナソニックは、日本での3Dの普及と啓蒙を進めるために企業と学界と官庁により2003年に設立された「3Dコンソーシアム」の創設時メンバーに入っておらず (発起人幹事企業であるシャープ、伊藤忠商事、NTTデータ、三洋電機、ソニーの5社に加え、ハードメーカー、ソフトメーカー、コンテンツプロバイダー、システムインテグレータ、映像プロダクション、 放送局など一般正会員65社の合計70社が参加)、パナソニックが加入したのは3Dテレビ発売の少し前であり、それまでに3Dコンソーシアム参加各社が培ってきた新しい裸眼3D技術や、 安価な普及方式としてソニーやパソコンメーカー各社が採用を予定していた偏光インターリーブ方式に対するネガティブ・キャンペーンで市場をかき回してボロボロにし、 結果的に日本が3D及び3Dによる新たな映像技術の振興・発展・普及から世界に大きく遅れてしまった原因を作ってしまったと言える。 もちろん、比較的に安価な業務用3Dカメラを市場に投じてくれたことで新規の3Dコンテンツ制作プロダクションが世界中に急増したことは評価できるが、それを編集できるソフトがないこと、 3Dブルレイへのオーサリングを行う企業がほとんど無くかつ費用が高額なために中小プロダクションでは3Dブルレイを製造販売できずに極めて3Dにとって不利な画質の悪いDVD規格に無理やり 収めたサイドバイサイド・ハーフよるコンテンツが出回ってしまったことで一般コンシューマーの間には悪い評価が広がり、 我々のような昔からの3Dコンテンツ制作業者にとってはマイナス環境になってしまった罪は非常に大きいと思う。

また、NHKが20年後に実用化を目指している自社のインテグラル3D方式 以外は取り入れないような姿勢である以上、放送業界を含めた日本での3D普及は今後アップルが裸眼3Dに参入してこない限りは残念ながら終わったとしか言いようが無い。 しかし世界市場での3D普及が進み、遅かれ早かれアップルが裸眼3D特許を活かした形でコミュニケーションや教育分野への活用を強化した形で3D市場に参入してくるだろうことは業界人は 皆予見している。その時にあわててもきちんとした3Dコンテンツを制作するノウハウは一朝一夕では築けないのである。コンテンツの本質を何も分かっていない日本政府がイチオシしている クール・ジャパン・コンテンツなどは既に斜陽の兆しが見えており、今後普及が加速する3D分野のコンテンツは確実にアメリカ、中国、韓国、インドに覇権を持っていかれてしまうだろう。

【補足情報】
32インチで29,800円という超低価格な偏光インターリーブ方式の3Dテレビ『RRODIA PRD-LH132BA』が、 再びイオンショップで通販が始まった。既に製造元ではディスコンなので、ボーナス商戦前の今回の売出しがおそらく最後のセールになると思われる。
この3Dテレビはクロストークが非常に少なく(三菱のPC用3Dモニターよりもはるかに優秀)、偏光方式の弱点である視聴角度もロッキングチェアでふんぞり返って見ても破綻しないぐらいに広い。 3Dエロスでは既に購入した編集デスク据え置き用の1台に加えてシティーホテルやスタジオでの撮影時のモニター用にもう1台購入を検討している。




■ ソニーHMZ−T1オーダーストップの疑問...(2012年5月25日)■

5月22日にソニーHMZ-T1のオーダーストップが告知されると、逆に今までHMDに興味が無かった人までがツイッターに書いたりしてまるでステマ状態になっている。
しかし、いくらパーソナルなニッチ市場を狙った最初から少量生産の製品とは言え、ソニークラスの企業がたかだか数千から数万のバックオーダーに発売から6ヶ月以上も経った現在も 追いつかないなんてことは疑問に思えて仕方ない。
2ちゃんねるなどの関連カキコミを拾ってみると、いまだに日本では3D関連デバイスに対する情報弱者が多く、今回のソニーの『予想を上回るご注文をいただいており、生産がご要望に追いつかない状況が続いております』という文言を見て、 さも救世主のごとく取り上げている人も多いが、そもそもHMDは90年代から世界中で作られているし、有機ELパネルを使った民生用で10万円以下の製品も「eMagin z800 3D visor」などが 2006年には既に存在していた(ただし、当時の解像度は800x600ピクセルで、結局売れなかったために、その後は一般コンシューマー向けから研究者向けとして日本円で248,000円に値上げされてしまった)。 私は1990年代のソニーグラストロン、そして2006年には現在のVuzixの社長から直々に当時最新の3D対応HMDを寄贈されてこの3Dエロスでインプレッションと具体的な使用方法の説明を掲載したりした。 しかし、HMDはクロストークやフリッカーが全く無く、没入感も非常に優れているものの、装着やセッティングの煩わしさ、長時間視聴時の重さ、邪魔な外光を遮断する必要性などなど問題が多く、 また2D用のディスプレイとしてもPC作業用には向かず、映画などの鑑賞に関しても50インチの液晶テレビが非常に安くなった現在ではコストパフォーマンスの点でも優位性は無く、 HMDはあくまでもマニアにしか受け入れられないもので、そのデメリット部分はこのソニーHMZ-T1でも全く解消されていない。
さらに日本では2010年からの3Dテレビの大失敗で3Dコンテンツが全く増えずに3Dは完全にオワコン状態なのに、HMZ-T1発売から半年以上も一向に品薄状態が解消されない理由が分からない。
もちろん、「気に入った1つのゲームさえあればOK」なゲーマーにとっては、例えばこれで「グランツーリスモ5」をやれば視界にはゲームの世界しか見えないのだから、 2D時代に臨場感を得るために必要だったレーシング・バケットシートやハンドル&ペダルキットのような「ゲーセンのような一式」が無くとも十分に楽しめるわけだが、 そんな「お気に入りの3Dゲームのために欲しい」というニーズがアンチ3Dな日本にどれだけあるというのだろうか?少なくともパソコンショップや量販店の3Dモニター・コーナーを見る限りは 3Dゲームが盛り上がっているとは思えないし、マニア以外の需要なんてほとんど感じられない。

海外でバカ売れしていて品薄になっているといった可能性を探るために「HMZ-T1」で検索してみても、小型でフルHDでスマホやiPadなどとの接続可能なHMDへのニーズが高い欧米では、 ソニーHMZ-T1に対しては「頭にテレビを乗せたような」といった馬鹿にしたような意見の方が多く売れているとは思えない。

では、日本が「Japorno(ジャポルノ)」や「JAV」として世界に誇るアダルトコンテンツを見るためのものとしてはどうか。
一部のユーザーには高い評価を得てはいるが、コレに関しても1980年代とは違い、日本のAV作品が海外ではいくら評判が良くても国内では今時アダルト見たさに新しい家電品を買う層などは40代後半から50代の比較的に裕福なジェネレーションのさらに一部だと思うし、 実際、3Dブームに期待して国内最多の3D作品を制作している某プロダクションも、あの超大手DMMも、「3Dは全く売れない」と実情を吐露している。 キャットウォークポイズンやSモデルのシリーズとして日本人モデルの無修正3D作品をリリースしているDRPもあまり売れないので3D撮影による新作制作には積極性を失ってきている。

では何故ソニーHMZ-T1は品薄なのか?
一部では「光学接眼レンズ部が難しく量産できないから」という意見もあるが、デジカメを作れる会社であればあの程度のユニットの製造が製品生産全体の足を引っ張るとは思えない。
また、とても今時のソニー製品とは思えないようなチープなデザインとプレス加工の「秋葉原で売っている自作用の箱」のようなコントロールユニット部分のパーツも、 使い回しの効かない専用パーツで構成されているとも思えない。
で、怪しいのは当初ソニー自家製と言われていたHMZ-T1専用の有機ELパネルの製造ラインに何かのっぺきならない事が起きて全体の足を引っ張ってしまっているのか、あるいは、 どうせそんなに数が売れるものでもないし似たものはあっても直接競合する他社製品があるわけでもないので有機ELパネル製造ラインを既にスマホやデジカメなどに振り向けてしまい、 HMZ-T1用は韓国なり台湾のメーカーに外注した結果、歩留まりが悪く組み上げられないのかもしれない。
あるいは、ここで引用した「ソニーショップ店員」さんの意見のように、既に年末商戦に向けて、T1で見えたダメ出し部分を改良し、1920x1080フルハイビジョン表示、小型化、ゲームで重要な ヘッドトラッキング対応、3DARゲームに必要な目線カメラ装備などの後継モデルの開発と製造にシフトしているのかもしれない。
T1の実績である程度の市場予測が立っていれば、上記のような改良を施してなおかつ価格が59,800円ならば既にオーダーした人がキャンセルすることもないし、 「(デジタルカメラなどを含む)デジタルイメージングと、ゲームでナンバーワン・ポジションの確立を目指す」と宣言している平井一夫新社長の頭の中には、儲からないテレビを縮小し、 よりパーソナルなゲーム機やスマホと直接繋がる高画質な「3DARゲーム・システム」の中核的製品として進化させたものを考えているのかもしれない。
現在の「オーダー受付中止」告知は、そのために関心を引き伸ばすための自作自演のステマのようにも思えてくる。
ともあれ、3Dガジェット大好きな私としては、HMZ-T1にヘッドトラッキング機能とステレオベース65mmの目線カメラが付いたモデルが発売されれば躊躇無く購入するだろう。




■ 興行成績を大きく左右させる2D3D変換と3DCG技術、そもそも映画にとっての3Dとは...(2012年5月14日)■
 ※参考記事は  "G4" から



『タイタニック3D』が、2D3D変換した3D映画でありながらも日本以外の先進諸国や中国では驚異的な興行成績を上げていることは既に本コラムで述べた。
そして現在、3Dマニアの間に拡散されているTLでは、このタイタニックの2D3D変換の一部を担当した「Stereo D」社がどのように2Dデータから3Dデータを作り上げていくかが 解説されたムービーが話題になっている。
もちろん、最終的なフィニッシュワークに関わる部分は、2D3D変換会社の社内機密なので公開されるものはあくまでもラフなデプスマップ作成過程までである。 が、これを見ても分かるように、高品位な2D3D変換はコンピュータ任せの自動ではなく、まるで1コマ1コマのアニメーションを描くように人の手で行っていくわけである。 とはいえ、このような細かな手作業は2Dの映画でも画質を高める上でハリウッドでは当たり前に行われており、映画制作費の大半を占める莫大なキャストへのギャラや撮影現場の維持進行費用と比べたら微々たるコストである。
さて、リアル3Dによる『アバター』の大ヒットに対して、初期の2D3D変換でもジョニー・デップの『不思議の国のアリス』は、ほとんどの部分が立体効果を大きく出せるCGで占めていたことと ジョニー・デップの個人的な集客力でヒットした。
また、アトラクションとお下劣的要素が必須のパニック映画『ピラニア3D』の場合は酷い2D3D変換でも集客できたが、その他の2D3D変換作品で優れた興行成績を上げたものは少ないし、 『くるみ割り人形(2010年)』などは見るに耐えない2D3D変換でオリジナル2D版の良い部分を全て台無しにしてしまっていた。
『スター・ウォーズ3D エピソードI』は見るに耐えないほどではないが、皆の期待が大きかっただけにそのしょぼい2D3D変換に対してはハッキリと興行成績の低迷が答えを突きつけていた。
このような大きな違いとして現れる分岐点は何かを私なりに考えてみた。1つの見方としてそれは『映像制作者が3Dを単なる特殊効果として考えるか、映像表現の根幹のひとつとして考えるか』の 違いのように思う。
つまり、マーチン・スコセッシは『HUGO』のなかで、映画黎明期の先人達の中には映画を「空間の再現メディア」として百数十年前から3Dを映像表現の根幹のひとつとして考えていたこと、 平面の映像は絵描きの仕事であり、映画人の仕事は空間を捉えて再現すべきことを強調していた。
それに対して、3Dを単に特殊効果としてしか考えない場合は、それこそコケオドシに過ぎず、自ずと全体としての映像の仕上がりに歴然とした差となって現れるように思う。
見方を変えれば、2D3D変換であっても『不思議の国のアリス』のように、3DCGで全体をパースのあるリアルな3D空間とした中に2D3D変換された実写を「動く絵画」として加えるような技法であれば 意味があるように思える。
さて、日本の『貞子3D』はどうなのであろうか?私は見てはいないがあくまでも特殊効果としての3Dの扱いであろうことが予想される。もちろん「ホラー」というジャンルの中ではあくまでも 特殊効果としての3Dであっても良いとは思う、が、それだけでは過去に繰り返した3Dブームと同じように飽きられてしまう。
かつて音楽がステレオになった当時、良いステレオ音源のものを目を閉じて聞き耳を立てると、音楽家一人一人の位置のみでなく、息遣いや指使いが、そして、見えないし音にも入っていないコンダクターの動きまでもが 脳に浮かんでくるような感動があったし、逆に擬似ステレオでドラムは左、ギターは右、ボーカルは真ん中みたいに単純に定位だけを作ったものにはリアルさは感じられなかった、が、 それで満足している人も多かった。 3Dもそれと同じように思える。
もちろん、映画はあくまでもビジネスであるから、売り上げ予想とコストとの兼ね合いでどこまで理想を追うかのレベルは決まってきてしまうが、そうは言ってももう少し、日本の映画人には奮起して 欲しいと願っている。

話は変わるが、今回のこの写真、タイタニックの2D3D変換のためのパース基準線とデプスマップの領域を書き込もうとしている「Stereo D」社の編集用モニターに、当3Dエロスと同じ 安価なZALMANの偏光方式3Dモニターが使われているこのシーンには思わず笑ってしまった。 数多くの台数と長時間の編集作業に耐えられるには安くて明るくチラツキが無く疲れが少ないことの方がフル解像度よりも優先されるのはどこの編集スタジオに行っても同じだと思った。




■ アイドル選びの先見の明だけはあった3D宣伝マン(2012年5月6日)■
 ※参考記事は  "ヤフーニュース" から



NHKも民放各局も「ももいろクローバーZ」の露出率が急激に上昇している。特にテレ朝などは、AKB48のタカミナ母の淫行事件に前後してAKBからももクロへの シフトが進んだように見える。

さて、先進国で唯一、3Dテレビと3Dビジネスに大失敗している日本だが、その原因の一端は広告代理店にあると思う。
今では知る人も少数派だと思うが、世界で最初のフルカラー3D放送を始めたのは2007年の日本のBS11であり、 その3D放送に間に合わせるために同じく2007年に発売された世界初の量産型3Dテレビも、 ブランドはHYNDAI ITだが実際に開発したのは日本のビックカメラからの出資を受けた新潟の有沢製作所であり、販売はビックカメラだった。
そしてBS11は、秋元康プロデュースとは言え当時はまだ秋葉原のローカル・アイドルに過ぎなかったAKB48を、女子プロレスと並ぶ3D番組の目玉の一つに した。
その3Dデモ映像は、翌年のCEATEC2008の3D関連ブースで流され、オタクたちには大きな話題となったが、当時はまだ3DもAKB48も全国区ではなく、 あくまでもマニア限定のものであったし、それを一般大衆化するための仕掛けも知恵も技も広告代理店には無かったが故の現在であると思う。

時は流れて2010年の3Dテレビ元年も過ぎ、一般大衆には「3D」という言葉だけが浸透し、2011年3月の大震災の影響やソフト不足もあってニンテンドー3DSが 出だしでつまづく中、PC用3Dモニターという日本では非常にマニアックな分野に挑戦してきた三菱は、当時は全国的には全く無名といってよい段階の 「ももいろクローバーZ」をキャンペーン・キャラクターに起用し、初回発売ロットの1000台に限定で、ももクロのオリジナル3D・DVDを付けるという PCモニターとしては異例の販促キャンペーンを行った(当コラムの2011年4月29日付け参照)。もちろん、PC用3Dモニターという極めてニッチな商品であるから多額のギャラやCM制作費などは 掛けられないわけで、このプロジェクトはおそろしく超低予算で進められたものと推察する。
また、当時のももクロ自体が、ひとつ間違えば「ロリータアイドル」=「PC用の18禁ロリオタ・ゲーム」を連想させるというか、 「PC用3Dモニター」=「18禁ロリオタ・ゲーマー向け商品」のような悪いイメージに結びつく危険性があったと思うし実際に一部のマニアにはそうであったはずだし、 お堅いイメージの三菱としてはかなりアブナイ賭けだったようにも思える。
しかし結果はとにかく当たり、アンチ3Dが大多数を占める日本なのに初回ロットの1000台はすぐに完売してしまった。
この三菱のPC用偏光3Dモニター"Diamondcrysta WIDE RDT233WX-3D(BK) [23インチ]"はその後も売れ続け、PCモニター、特に3Dモニターという 特殊なものでありながら長らく「価格コム・売れ筋ベスト3」に君臨し、ランク外に落ちては再びランクインを繰り返すなどしながら、価格もこなれてきたことも相俟って、 発売から1年近く経た現在も順調に売れている。

時期尚早で3D普及の牽引力にはならなかったとは言え、BS11の3D番組に当時ローカル・アイドルに過ぎなかったAKB48を起用したことや、 PC用3Dモニターという極めてマニアックな商品のキャンペーン・キャラクターに全く無名のももいろクローバーZを起用したことに関しては、 広告代理店はアイドル発掘の先見の明があったと言える。
その感性を、日本での3Dそのものの普及に活かして欲しかったものである。
少なくとも『一家団欒で家族全員が3Dメガネを掛けているシュールな状況』が絶対に流行らないことを、広告代理店の人間はクライアントにもっとイメージさせ、 PCモニターの使われ方に代表されるようにパーソナルな方向で様々な3D活用を提言し、新たなマーケットを創造していくべきだったと思う。

日本には既にニンテンドー3DSが300万台以上、3Dテレビが数十万台以上、裸眼3Dなスマートフォンが百万台以上も普及していながら全く有効に使われていない。 今からでも遅くは無い、優秀な広告代理店の人間の出番だと思う...




■ 32インチ偏光方式3Dテレビがイオンショップで29,800円!(2012年4月28日)■
 ※参考記事は "イオンショップ " から


価格コムでのレビューやクチコミ、地方店での特売情報を見るたびに欲しくてたまらなかった『RRODIA PRD-LH132BA』(録画用HDD320GBモデル)が、なんと イオンショップで在庫処分なのか29,800円という信じがたい価格で販売されている。
5年間保証(2,990円)+送料(525円)をプラスしても総額3万3315円でパーソナルユーズにピッタリなサイズの32インチ・フルハイビジョン3Dテレビが買えてしまうなんて、 この3Dエロスを開設した2006年当時はもちろん、21インチのZALMAN3Dモニターを約9万円でもメチャクチャ安いと思いながら買った2008年、 そして各社から3Dテレビが鳴り物入りで発売された2010年には到底考えられないほどのアンビリバボーな超安値!
まさに3Dファンにとっては地デジ液晶テレビ買い替えバブルと3Dテレビバブル崩壊の賜物と言えると思う。
改めて『RRODIA PRD-LH132BA』について簡単に説明すると、3D方式は偏光インターリーブ。メガネが軽く、明るく、チラツキが無いので、長時間3Dで見ても疲れが少ない。 対応する円偏光メガネの角度はトーホーシネマズなどのRealD方式やMasterImage方式のメガネと互換性があるので、 3D映画を観たときにもらえるメガネや映画館の売店で300円程度で買えるクリップオン型や「スターウォーズ3D・エピソードI」で限定販売されたポッドレーサー型メガネ、 あるいはCEATECなどのイベントでソニーブースが大量に配る紙製の3Dメガネが使えるという嬉しいメリットがある。
ただし、LGのシネマ3Dテレビのような「偏光インターリーブでも2コマでフルハイビジョン表示」する擬似フルハイビジョン3D機能は無いと思われる(検証してはいないが)ので、 ZALMANや三菱のPC用3Dモニター同様に縦の解像度が半分になってしまうが、32インの3Dテレビで29,800円なのだから文句を言うのはヤボすぎる。
このテレビはもちろんパソコン用モニターとしても使えるが、価格コムのレビューを読むと1920x1080pモードが保持されないようであるので、 あくまでもテレビとして番組中心に観て、PS3を繋いでブルレイ3Dや3Dゲームを楽しみ、3Dエロスなどのネットコンテンツを見るときだけパソコンに リンクさせて解像度を1920x1080のドットバイドットに設定して見るという使い方が良いように思える。
もちろんマニア向けのコスプレやエッチなヌード撮影を行う小さなスタジオなどでは、これにソニーTD10やビクターTD1をHDMI接続すれば、その場で 最適なコンバージェンス調整を行いながらの撮影モニターやラッシュ再生に使える。それが29,800円なのだから買わない手は無いと思う。
なお、メーカーのピクセラはバイデザインのようなアフターサービスが不安な会社ではないとは言え、この手のテレビは設計は日本国内でも製造は中国、 2年目頃が壊れるポイントであり、その場合はメーカーの1年保証だけではカバーされないし、特にディスコン後の有償修理の場合は法外な修理代が掛かってしまう恐れがあるので、 販売店であるイオンの5年間保証を付けた方が安心であるので、イオンショップからの購入の場合はテレビ本体をショッピングカートに入れてから商品写真の下の 「●ワイド保証をご希望のお客様はこちら」をクリックして5年間保証2,990円を付加すべきと思う。


    RRODIA PRD-LH132BAメーカー製品説明はコチラをご覧ください。

    RRODIA PRD-LH132BA価格コム最安値情報とユーザーによるレビューとクチコミはコチラをご覧ください。


【補足】2012.04.29
現時点では、ハッキリ言って大量の3Dコンテンツが存在するのは「手抜き制作の洋モノ肉食系女優(日本基準ではほとんどの女優がセミ熟女以上)の無修正アダルト」が全体の8割、 ハリウッド大作やIMAX系の実写とアニメが残りの2割といった感じで、アイドル系のイメージV、着エロ、音楽、旅行、演劇、趣味の世界などの何度も見たくなるような 一般エンターテイメント系はほとんど無く、 また、和モノのアダルト3Dは当3Dエロスを除くと国内モザイク作品とDRP制作の無修正作品を併せてもわずか50本にも満たないと思われます。
全てのジャンルで安価で良質な3Dコンテンツが揃っていない現状での一般の方々の実際の3D視聴時間は、 ゲーマーでもない限りは2Dに対して10分の1にも満たないものと思われますので、 3Dコンテンツを自作して楽しむ人以外にとっては、様々な3Dコンテンツが揃ってくるまでは高額な3Dテレビを買うのはコストパフォーマンスが悪過ぎて宝の持ち腐れだと思います。

また、東芝の裸眼3DノートPCに視線追尾式(フェーストラッキング式)裸眼3D液晶パネルを供給している台湾のAUO社が、 2012年後半からOEM先に対して55インチ以上の裸眼3Dテレビ用のレンチキュラー方式の3D液晶パネルと5インチから11インチ程度のタブレットPC用の視差バリア方式の 裸眼3D液晶パネルのデリバリーを開始すると発表したことから、 従来の高額な裸眼3Dテレビに比べて安価な製品が年末から2013年に数社から発売され、急速に裸眼3D化が進む可能性が高くなりましたが、 おそらくその価格は2010年のパナソニックの第一世代フレームシーケンシャル3Dテレビと同じ程度かそれ以上になると思われ、 裸眼3Dテレビの本格普及と価格の下落は早くて2015年ボーナス商戦からだと思われます。
大型の裸眼3Dテレビが画質アップと平行して普及価格に下がるまでの間の今後約5年間を、この29,800円の安価なRRODIA PRD-LH132BAか、 テレビ機能は必要ないならば三菱のパソコン用3DモニターDiamondcrysta WIDE RDT233WX-3D(BK)で繋ぐのが、 現時点では最も賢い3Dテレビ・モニター選びのように思えます。

【補足】2012.04.30
3Dエロスがイオンショップでの特売を紹介したからではないと思うが、4月30日午前中で「売り切れ」となってしまいました。
単なる2Dの32インチのフルハイビジョンテレビ(録画用HDD付き)と考えても29,800円は安いですから、 書斎に置いてお父さん専用としてはもちろん、お金の無い若い単身者にとっても 「コレ、実は3Dテレビなんだよ。ゲームしてみる?エロいの見てみる?」と友達やカノジョにさりげなく自慢できる点でもコストパフォーマンスは最高だと思います。
本来はこの価格、もしくは本体価格を1インチ1,000円の32,000円で常時販売してくれれば3D普及のために貢献すると思いますが、 それではメーカーとしては儲けが全くないのかもしれませんね。
ともあれ、今回イオンショップから29,800円で購入できた人はラッキーと思って、とことん3Dを楽しんで欲しいと思います。

【補足】2012.05.2
情報によると、このPRODIA PRD-LH132BAはメーカー在庫も終了したようで、今後イオンショップでのネット販売の予定はないとのこと。 なお、数日前までイオンのリアル店舗では録画用ハードディスクが250GB付属の初期モデルが29,800円で数十台単位で特売されていたという情報もあるので、 250GB付属モデルは今後もイオンのリアル店舗で特売されるかもしれない。
なお、イオンの5年間ワイド保証は「商品金額の5%」で、この場合は1,490円が正しいので訂正しておきます。




■ @ニフティ3DポータルZがケータイ&スマホ用3Dカメラアダプター無料プレゼント!(2012年4月27日)■
 ※参考記事は "@nify3DポータルZ " から

このコラムでは繰り返し「今回の3Dブームでは最初に花火を上げた日本だけが先進国で唯一3Dが流行らずオワコンになってしまっている」ことを指摘してきたが、 3Dテレビや3Dパソコンが発売された2010年秋にニフティが立ち上げながら全く盛り上がっていない3Dポータルサイトから、親会社の富士通の関連会社である 株式会社富士通研究所が開発したケータイやスマホのカメラに装着して縦アングルのサイドバイサイド写真が撮れるステレオ・アダプターの無料頒布を始めた。

3DポータルZは、富士通の3D対応デスクトップパソコンやノートパソコンの販売促進や3Dグラビア写真家の清水清太郎作品をネット販売するために 立ち上げられ、3D写真と3Dムービーの投稿コーナーを常設するなど、大手インターネットキャリアでは唯一、3Dに取り組んできたサイトである。
が、インターネット黎明期の怪しい盛り上がりを意識したレトロさを狙ったサイトデザインが2010年からの3Dブームのイメージには合わず、 投稿者も偏ってばかりで面白くない作品が多かったため、3Dマニアの間でも全く話題にならずに続いている。
地味ではあるが、ニフティのようなメジャーがこのような地道な努力を続けているのは筆者としては好感しているのだが、いかんせん、パナソニックを筆頭とした 液晶シャッターメガネ式3Dテレビが一般消費者に植え付けてしまった「値段が高いのにチラチラするしコンテンツや放送も少なすぎる」という悪いイメージのため、 日本では3D関連サイトは全く盛り上がっていない。
そこで「押し付けの3Dではなく、もっと自分で撮って共有して楽しめる環境を」という趣旨だと思うが、今回のケータイ&スマホ用3Dカメラアダプターの 無料頒布を行うことになったのだと思う。
しかし、2010年から震災前までの時期なら千円程度の有料でも売れたと思うし投稿も増えたかもしれないが、震災による景気低迷と3Dオワコンな今の日本では、 無料で配っても投稿は増えないように思える。
なぜなら、3Dオワコンな日本にも実は既にニンテンドー3DSの約300万台を筆頭に、フジフィルムやソニーの2眼式ステレオ・デジカメ、シャープ製とHTC製の 2眼ステレオ・カメラ内臓のスマートフォンが数十万台売れており(先日の無免許18歳が起こした死亡事故の犠牲となった若い妊婦さんもステレオ・カメラ付きスマホを 構えた写真が毎回ニュースに流れていた)、「お、この瞬間オモロー」な3D写真や3Dムービーを投稿できる環境は400万人ぐらいが持っているはずであるのだが、 実際にはその機能を使う人というか、3Dに興味も抱かない人がほとんどなのが実態だと思う。
おそらくこの「3DポータルZ」を見ているような人はことさら、上記のいずれかの3D撮影デバイスを既に持っていると思う。

さて、「ステレオ・アダプターって何?」という3D初心者の方々に簡単に説明することにする。
銀塩カメラ時代から4枚の鏡を使ったステレオ・アダプターは世界各国で製造販売されていた。
日本でも有名なものは「ペンタックス製」で、私が一眼レフを使い始めた1960年代の終わり頃には既にこのステレオ・アダプターが我が家にはあったし、 ペンタックスからはデジタルになった現在も写真のようなビューアーとのセットで「ステレオアダプターDセット」として10,290円で直販、 ヨドバシカメラでは20%オフぐらいで販売されている超ロングセラー商品であり、その独特の3D感から、根強いファンが世界中にいる。
使い方は「デジカメWatch」でも説明されている。
原理は簡単で、オモチャの潜望鏡を2個くっつけたような構造で、2つの開口部の中心の幅がステレオベースになる。
コンバージェンス・ポイントは基本的に固定でベースのレンズがズーム可能ならズーミングで変えられる。
構造上、縦アングルや1:1アングルでのトリミングとなり、横圧縮の無い「サイドバイサイド・フル」のステレオ写真となる。
使用する鏡は「表面鏡」でないとゴーストのような画像になってしまうが、表面鏡は東急ハンズなどで手軽に入手できるので、主に既存のステレオカメラ (ソニーTD10やビクターTD1など)の狭いステレオベースを拡張して立体効果を強めるためのものとして自作したものや、製品として販売されているものもある。
逆に、鏡の構造を逆にして、フジフィルムFinePix REAL 3D W3のような広いステレオベースを短くして接写を可能とするアダプターも上記の 「Cyclopital3D」で販売されている。
なお、鏡による「台形歪み」を補正する必要がある。今回の場合は富士通研究所が提供するクラウド・ソフト上で補正が行える。 また、自分のPC上で、ステレオフォトメーカーやステレオムービーメーカーのようなフリーソフトで補正することもできる。
動画も可能だがサイドバイサイド・フルの立体映像として切り出せる部分(クロッピング)はかなり小さくなってしまう。

今回、3DポータルZが無料頒布するものは、自分で組み立てて両面テープでケータイやスマホに貼り付けるタイプなので歪みは相当に大きいと思われるが、 遊べないことはないと思う。ま、折角無料なのだから興味のある方は一度試してみてはいかがだろうか。

【続報】2012.04.27
本日の朝刊報道によると、今回の無料頒布は1000セットで、富士通としては製品化・販売の予定は無く、本キットを参考に他社が自由に製品化して結構とのこと (ステレオアダプターの特許自体は大昔に効力が無くなっているはず)。 iPhoneや他社スマホのアクセサリーとして量産化すれば100円ショップで展開できる商品にもなりそうだが、 アップルが3Dに本格参入してアップルならではのマーケットを立ち上げて世界を牽引でもしない限りは日本では3Dビジネスは成功しないと思われる。




■ 3Dノートパソコンの名機「オンキョーR515A5-3D-Q」台数限定でワケあり直販79,800円(2012年4月23日)■

3Dエロス並びに本コラムのファンで、お薦めを参考にオンキョー3Dノート「R515A5-3D」を入手されて3Dにハマったという方から速報をいただきました。
昨年秋にカタログから消えた「R515A5-3D」のデッドストックが台数限定(在庫3台ぐらい?)で現在オンキョー・ダイレクトのアウトレットコーナーから79,800円で購入可能です。

先進国で唯一3Dが流行らない日本では、現在新品を購入可能な3D対応ノートパソコンはソニーの液晶シャッター方式のVAIO Fシリーズ(3D) VPCF24AJ」のみが86,800円で受注生産となっていますが、 メガネがソニー独自のものなので買い増しや製造中止後にNDIVIA 3D VISION用を使えるわけでもなく、ソニーの3Dテレビ用メガネを本当に使用できるのかといった 不安と、CPUがコアi3という物足りなさがあります。

対するオンキョーR515A5-3Dは、3Dコンソーシアムのオフィシャルな3DノートPCでもあり、有沢Xpolフィルター方式でメガネも円偏光方式。 トーホーシネマズ系の映画館(RealDおよびMasterImage方式)で100円〜300円で買える円偏光メガネやソニーの大型3Dモニターを使ったイベントなどで配られる 紙製の円偏光メガネなどが使えるので安心感と複数の人数で見るときの経済性の良さが光ります。
また、起動からメニューが立ち上がるまでモッサリ感はありますが、CPUがコアi5なので結構使えます。
実際、3Dエロスではソニーの3Dカメラ「HDR-TD10」で撮影したMVCファイルをVEGASで左右フルハイビジョンに分離する作業や、先週と今週掲載する藤崎美貴さんの新作のように 2台のフルハイビジョンカメラCX-550Vで撮影したMTSファイルをAVIUtilを使って左右一度に60コマ/秒のAVIファイルに変換するヘビーな作業も、 何とこのオンキョーR515A5-3Dで行っていますし、出張撮影などでは3D写真の編集や3Dムービーのラフ編集をこのノートPCでホテルで済ませてしまったりしています。

また、オンキョーR515A5-3Dに搭載されているWindows Media Centerの地デジテレビ機能は、USBで外付けしたI.O.DATAの裸眼3Dサブモニター 「Rock Vision 3D」に表示させることも可能なので、メイン画面で作業をしながらサブモニターでテレビをチョイ見したり、メイン画面では円偏光メガネで立体視し、 サブモニターでは裸眼で立体視しながらオナニーしたりと気分によって使い分けも可能です。

日本では3Dオワコン感が強いので折角の3Dノートパソコンも後継機が出ない状況なので極めてレアでコアなマニア向け感が強いですが、3Dムービーや3D写真を 楽しむことがメインの方には非常に使いやすく、十分すぎるスペックの3Dノートパソコンです。
情報をお寄せいただいた方のメールから引用しますと『この感動を他の人にも安く味わって欲しいと思い、連絡した次第です』 という、レアだけど良いものにめぐり会ったことを人にも教えたいという気持ちが私にもよく分かるお薦めの1台です。




■ 驚くべき『タイタニック3D』各国興行成績と日本の現状(2012年4月21日)■
 ※参考記事は "Box Office Mojo " から

アメリカ国内では3月から劇場公開されている過激さで話題の『The Hunger Games』(12歳から18歳までの子供たちが殺し合うというアメリカ版バトルロワイヤル) の人気が異常に高いので、4月4日から公開のジェームズ・キャメロン『タイタニック3D』を売り上げでは大きく超えているが、 4月公開映画22本の中ではやはり『タイタニック3D』がダントツで1位である。

「Box Office Mojo」のデータは日々更新されてしまうので、アメリカ東部標準時4月19日現在での国別一覧データを画像としてここに掲載するので、 左のサムネイルをクリックして実サイズで表を確認していただきたい。

驚くべきことはアメリカ国内での興行成績よりも配給先の世界各国の興行成績、とりわけ中国本土の興行成績が異常と思えるほどに高いこと。
4月10日の公開から19日までの興行成績を見ると、まだ正確な集計結果が出ていないようだが中国本土では10日間で6700万ドル、 別枠の4月5日から公開されている香港と合わせると6800万ドルである。 1ドル83円計算で実に56億4400万円を10日少々で売り上げたことになり、日本の約311万ドル(約2億6千万円・国内上映作品中で本日現在7位)との差に唖然とする。

中国だけではない。
ロシアの1000万ドル超え、イタリア816万ドル、フランス716万ドル、ドイツ691万ドル、タイタニックの母国イギリスが意外と少なく454万ドルだが人口や映画館の料金 の安さを考えると日本よりはるかに高い人口比率で見られている。

もちろん「タイタニック3D」のような再編集モノではない新作の「Battleship」「American Reunion」が多く見られてはいるが、 再編集モノの『タイタニック3D』が高い興行成績を上げている背景には、中国、ロシア、ヨーロッパでの強い3D熱に加えて、 世界公開に先立つ3月26日にジェームズ・キャメロン自身がマリアナ海溝チャレンジャー海淵海底到達という単独深海潜行世界記録を打ち立てたことも 少なからず宣伝効果を上げているとは思う。

さて、『タイタニック3D』は、2010年のアバターに抜かれるまでは映画興行成績第一位だった1997年公開の『タイタニック』をデジタル処理し、 必要な箇所をCGで徹底的に書き直して3D化したもので、2D3D変換と言えども自他共に認める3Dマニアのジェームズ・キャメロンならではの拘りのあるリ・リリース版である。
こだわりがあるとは言ってもあくまでも2D3D変換であるから、制作費はオリジナルに比べて2桁ぐらい少なく、かつ、 巨費を投じた話題の新作と同じくらいに稼いでしまうのだからハリウッドや制作者にとっては美味し過ぎるわけである。

しかし、過去に2D版が大ヒットしたから3D版もヒットするわけではない。
その典型的な残念な例が3月16日から公開された『スターウォーズ・エピソードI』である。
本来スターウォーズは、そのテーマや絵自体がまさに3D向きで、2D3D変換で再公開されることが数年前に噂になった時点で大ヒット間違い無しと 話題になったが、実際に蓋を開けてみると興行成績は燦々たるものであった。
その原因は明らかに2D3D変換の質の低さであり、あれなら誰しもがデジタルリマスターした綺麗な2D版で見た方が良いと思う程度の3D品質でしかなかったからだ。
今後の「スターウォーズ」シリーズの2D3D変換は違約金を払ってでも今から他の変換会社に替えるか、さもなければ2D3D変換版プロジェクト自体を、 より優れた新技術が実用化されるまでは凍結した方が「スターウォーズ」の伝説を壊さないためにも良いように思える。

3Dエロスがサイト開設から間もない2007年に予言したとおり、2D3D変換専門会社がビジネスとして成り立つようになり、さらには、 2D3D変換会社間の技術力の違いが作品の興行成績に大きく影響するようになったわけである。

『Hugo』の冒頭の素晴らしい3Dシーンのように、高度なリアル3D撮影の知識と技術に加えて優れた3DCG技術の双方を有した会社やクリエイターが今後映画や映像の世界を 担っていくと思う(「Hugo」冒頭シーンなどのメイキングはこちらを参照)。

しかし日本ではこの時期の映画興行成績トップが『Detective Conan:The Eleventh Striker(名探偵コナン・11人目のストライカー)』なわけで、 マニアックな実写B級映画も現在の日本の作品はどれも粒が小さくインパクトが薄いものばかりだし、日本では3Dどころか映画の未来自体が暗いと感じているのは私だけではないと思う。
だが、世界に目を向ければ上掲のごとく3Dは確実に普及に向かって進んでおり、 既にタイタニックの立体スーパーバイザーを務めた青木氏などの優れた日本人3D技術者が世界に飛び出して実績を上げている。

今後さらに優れたクリエイターの誕生を促し支えるのは、放送や音楽や出版やゲームを含めた映画・映像の産業界全体であり、カメラや編集機材などのメーカーであり、 それを家庭でも見られるようなテレビやモニターやタブレットやスマートフォンを製造販売する家電メーカーであるわけで、 「日本ではもう3Dは流行らないから止〜めた」と、まるで2010年が無かったかのような態度で3Dから逃げてしまっている今の業界の姿は非常に残念である。
ソフトだけアダルトなAV業界任せにするのではなく、もっと頭と組織を使って、単発ではなく総合性と継続性を重視して3Dに取り組んで欲しいと願っている。




■ ドルビーとフィリプス、どこが新しいかは不明のままフルハイビジョン裸眼3DシステムをNABで発表(2012年4月19日)■

映像好きにはたまらない毎年4月の恒例行事、ラスベガスで開催される放送関係者のための世界最大の見本市「NAB Show」も本日4月19日が最終日。
3Dオワコンな日本には、日本が誇るNiCTの裸眼3Dシアターが展示されたのかどうかも、ロンドン・オリンピックの3D中継に向けて盛り上がりを見せている欧米の 3D市場に向けてパナソニックやソニーがどのような放送用3D機材を展示したのかも全くリポートされない状況であるが、「裸眼3D」に本腰を入れるドルビーが オランダのフィリップスと共同で、既存の裸眼3DデバイスでフルHD品質の3D映像を扱えるフォーマットを開発したと発表した。
ドルビー社のプレスリリースには何と3Dオワコンな日本向けにも「日本語のリリース」を用意するといった本気度である。
3D推進派も批判派も、共に現在の3Dの最大の問題点は「3Dメガネを掛けること」であることは認識しているはずである。
例えそれが軽くて明るくチラチキの無い円偏光方式であったとしても、現在の2Dモニターと同じように3Dを使える環境にするには程遠い障壁である。
日本の3D推進産学協同組織である3Dコンソーシアムに集まる人々ですら2011年秋の時点で実際に自分でも3Dテレビを買った人は100人中3名程度 しか居ないという実態を見ても、3Dメガネを掛けてみる3Dテレビが普及しないのは当然といえば当然である。
そんな日本とは違い、昔から3Dメガネに対して比較的に寛容であり、消費者の90%が次に買うテレビは3D対応テレビと答える欧米でも、次世代の3Dテレビや デバイスの目標は「裸眼3D」であり、「裸眼3D」を制したものが今後50年間ぐらい映像業界の覇権を握るといっても過言ではないわけで、そんな技術力を アピールする場としてNABは最適なのである。
しかし、今回のドルビーのプレスリリースからは何が新しいのか、既存の裸眼3Dデバイス(視差バリア方式やレンチキュラー方式)でどうやって汎用的に フル・ハイビジョン画質で表示させるのかが全く説明されておらず、単なるノロシを上げただけのようにも見える。
既に今回のNABショーでのドルビーのブース・レポートはYouTubeに掲載されているが、

これを見ても昔からフィリップスが販売し、2005年ごろからは秋葉原や横浜での3Dフェアや3Dエキスポに必ず展示されてきた裸眼3Dモニター「WOW」(VX)テレビと どこが違うのかが分からない。
プレスリリースの「ドルビー3D」へのリンクも、既に2007年から一部の映画館に導入されているドルビー方式の3Dメガネを掛けてみるシステムのことしか書かれていない。
ちなみにドルビー方式の特殊なメガネを掛けて見る3Dシステムを世界で最初に一般公開したのは2007年の幕張CEATECで、すでに5年も前のことだった。
この方式のデメリットは、各色の波長を記録時に圧縮し、再生時に伸張するため、色や明るさが無段階にグラディエーションしていくシーンなどでは マッハバンド(正しくはカラーバンディング)と呼ばれる年輪状のノイズが出てしまうことがあり、また、専用メガネも1個50ドル程度と高額なため 使い捨てや持ち帰りが出来ないことだった。
フィリップスのWOWテレビは、少しずつ改良されてきているとは言え、3Dに見えるスイートスポットが非常に狭く、モニター中央部では正しい立体が周辺部では 逆視になってしまったりクロストークが出てしまったりする。
そのためCGをメインに制作された3Dサイネージなどの表示に限定して空港のロビーなどでのチョイ見用モニターとして使われてきた。
ではなぜここで再び裸眼3Dをアピールするのかの理由は、既にアメリカ市場ではサムスンの液晶シャッターメガネ方式の3Dテレビと、後から参入して市場を 奪ったLGの円偏光メガネ方式のシネマ3Dテレビが席巻し、次世代の裸眼3Dテレビもこのままではフォーマットも含めて、 全て韓国や台湾メーカーに市場を独占されてしまうことへの危機感からの先制攻撃のように思える。

しかしここでも日本メーカーは勢いが全く見られない。
実際には液体レンズによるレンチキュラー方式や東芝の4K2Kパネル+レンチキュラー+リアルタイム9視差生成などの優れた裸眼3D表示技術を持っていながら、 各社共に3Dに対して後ろ向き過ぎると思う。

ジェームズ・キャメロンの「タイタニック3D」が欧米や中国では映画興行成績を塗り替えるヒットであるのに対して、先進国で唯一、日本では3Dがヒットしない。 しかし世界を見れば、最大の市場であるアメリカをはじめ、経済成長が著しくすぐにアメリカを超えるマーケットになるだろう中国、インド、 ブラジルは皆3Dが大好きな国民であるのだから、何も日本市場で売れないからといって3Dから 撤退してしまうと、それこそ日本メーカーにはもうテレビメーカーとして生き残る道は無いと言っても過言ではないだろう。
単に韓国パネル、台湾パネル、中国パネルに日本ブランドのプラスチックカバーを付けただけの高いテレビなどは買わない世代がマジョリティーになっているのだから。

1960年代、6畳の和室で食卓を囲みながら14インチの白黒テレビで見ていたアメリカのホームドラマに映し出された大きなテレビ(それもカラーらしかった)のある広いリビングルームでの中流アメリカ人の生活は日本人の夢であったし、 それを目指して我々は頑張ってきたが、1980年代にアメリカからGE製テレビが消え去ったように、今度は世界市場から日本ブランドのテレビが消え去る日が近いように思えるし、それはまた、テレビだけに限らず、 日本製の家電全般が世界から消えていく前触れのように思える。




■ 「3Dは眼に悪い」は都市伝説か(2012年4月11日)■

私が初めてフルカラーの3Dを見たのは今から50年以上も昔の5歳児の頃で、リバーサルフィルムで撮影された左右2枚1セットのスライドフィルムを専用の3Dビューアーに セットして見る方式で、その美しく無限に広がる空間に夢中になった。その後、アナグリフ式には全く興味が沸かず、1970年代後半から80年代の小規模な3Dブーム時に アナログテレビで見る低画質な3Dムービーやニンテンドー初代ファミコンのオプションの3D液晶シャッターメガネシステムに少しハマったが、あまりの画質の悪さと チラツキ感に我慢が出来ず3Dから離れていたが、その後1990年代後半のパソコンによる3Dシステムが一般化してから再び3Dを楽しむようになり、 高画質なブラウン管CRTやブラウン管ハイビジョンテレビと液晶シャッターメガネの組み合わせ方式、ZALMAN3Dモニター発売後は偏光インターリーブ方式、 そして2009年以降はこれらの方式に加えて進化した視差バリア方式やレンチキュラー方式の「裸眼3D」システムにハマっており、通算3D歴は40年ほどにもなる。 特に3Dエロスを担当するようになってからは1日12時間以上も3Dで作業を行っており、その間に集中しすぎて何度も「3D酔い」は経験したが、 元々の近視や加齢に伴う老眼以外は自覚症状は無いし、どちらかというと同年齢の人よりは、車の運転などをはじめ空間把握能力は高いと自認している。
なので私には、現在の3Dデバイスやソフトのほぼ全てに注意事項として記載されている 『お子さま(特に6歳未満の子) の視覚は発達段階にあります。お子さまが3D映像を視聴したり、3D立体視ゲームをプレイする前に、小児科や眼科などの医師にご相談いただくことをおすすめします。』 は本当なのかに疑問を抱いていた。確かに昔の3D写真ビューアーの「動きも無く、チラツキも無く、視聴時間も比較的に短い3Dシステム」と違い、現在のものは 例えば3Dゲームなどはすぐに数時間も連続して行ってしまうことが多いから、大人の平均両眼間隔の65mmより1センチも狭い子供が、知らず知らずに長時間 3Dでゲームをしてしまうと何らかの影響が生じないかと心配にはなる。
しかしながら、3Dテレビやニンテンドー3DS発売後も、眼科学会などからは正式な指摘や報告もないままに、「眼が悪くなる」とか「失明する」といった 噂が一時期広まった。
で、アメリカの眼科医にニンテンドー3DSを実際にプレイしてもらった結果が公開されたのでリンクしてみた。
このレポートはあくまでも2名の眼科医の意見であり、アメリカの眼科学会の総意ではない。ともあれ、 数年前までの3Dといえばアミューズメント・パークや特殊な展示施設で短時間だけ体験するものだったが、 現在ではスマホやゲーム機から大型テレビまで様々な3Dデバイスが普及し、子供も大人も長時間にわたって3D視聴する機会が増えたのであるから、 眼科学会なり脳科学の学会なりがきちんとした調査・研究を行い、結果を報告して欲しいものである。




■ 3Dテレビのあり方に望むもの(2012年4月11日)■
 ※参考記事は "ITPro" のウェブサイトから

昨日夕方、ソニーの2012年3月期の最終赤字予想額が発表され、パナソニック、シャープといった日本のテレビメーカー大手3社が共に「テレビ部門」が原因で 巨額の赤字を抱えてしまったことが明らかになり、シャープについては既に中国企業に資本を握られ、ソニーと言えどもこのままでは海外資本に乗っ取られてしまう 可能性も排除できない状況である。
で、ひとりの3Dマニアとして、次のような提言をしたいと思う。

現在のデジタルテレビをファームアップしてサイドバイサイド映像の片側をフルスクリーン表示できるようにすること

折角3Dテレビがあっても3Dで見られる番組は非常に少なく、期待のアダルトソフトも国産のほとんどがDVDで画質が非常に悪く、 海外製のブルーレイ3Dアダルト作品は実質的に海賊版を購入するという犯罪行為の助長でしか入手できない。そもそも3Dに「モザイク」はそぐわない。
そのような現状では、2Dテレビ利用者から見ればサイドバイサイド・ハーフでしか映せない3D放送や2D版・3D版・アナグリフ版を1枚に収録したために内容が乏しい3D版DVDは、 その存在自体が3Dに対する嫌悪感を増徴させるものに過ぎない。
しかしながらセットボックス方式で2D・3DそれぞれをフルHD表示を選択可能とする方式は、視聴者側にも放送局側にも対応も強いられるため今すぐには実現は難しい。
よって、デジタルテレビが不定期に行っているファームアップで可能であれば、3D放送や3D版DVDのサイドバイサイド映像を、 テレビ側で「片側の映像のみをフルスクリーンで表示」できるようにすべきだと思う。 もちろんアスペクト比を含めたアップスケーリング時の画質劣化をソフトウェア的に抑えるシステムなども必要だと思うが、一般視聴者のほとんどはそんなにテレビの 画質に拘ってはいないし、事実、20年前のアナログSD画質の番組の再放送でも高い視聴率を上げていたりすることからも、視聴者は画質よりも「内容」を求めていることが分かる。
で、「もっと良い画質で見たい」と感じた人は高くても3Dテレビを買うようになると思う。

BSやCS放送は100%全てサイドバイサイドな3D放送のみで行う

1960年代以降のゴールデンタイムのテレビ番組がどんどんカラー番組となっていき、それらの番組は白黒テレビでも見られるがやはりカラーで見たいという欲求を刺激し、 その結果カラーテレビが普及したように、上記のファームアップによる「サイドバイサイド映像の片側をフルスクリーン表示させる」ことに併せて、 BSやCSの番組を100%全てサイドバイサイド・ハーフのリアル3D映像に変えてしまうという「蛮行」をあえて行ってしまうことも必要に思える。 ファームアップで2Dテレビでもフルスクリーンの2Dとして見られるのであれば、視聴者には「選択の自由」が残るから、 横解像度が半分になっても意外とそんなに不満は出ないと思う。

このような「蛮行」によって、いやでも3Dコンテンツは増え、番組制作者側も3D映像制作のノウハウを蓄積することができ、 フュージョンカメラのようなステレオベース可変かつ最高のジャパン画質の業務用カメラの開発や、それをフィードバックした世界に誇れる民生用3Dカメラの 開発に繋がり、将来の「裸眼3D時代」への布石が整い、それはさらに新たな3D技術の開発やクリエイターの誕生を促す原動力にもなると思う。 緻密に計算された「蛮行」なくして「革命」は達成できないと私は思う。




■ 3Dに対する悪い印象しか与えないYouTube の自動2D3D変換機能(2012年4月11日)■
 ※参考記事は "ITPro" のウェブサイトから

3Dマニアの間では少し前から話題となっていたYouTubeの自動2D3D変換機能追加。しかし、このコラムで以前から指摘してきたとおり、簡易なソフトウェアでの 2D3D変換は醜いばかりであり、リアル3Dを知らない人々には「3Dってこの程度のものか」という悪い印象しか与えない。
もちろんYouTubeの中の人の個人的な努力で、2009年夏から実験的にリアル3D表示機能が追加され、 2010年秋からは正式に「縦インターレース表示」が可能となったおかげで視差バリア方式のサブモニターや3Dスマートフォンで 「3Dメガネ不要でいつでもどこでも立体視できる環境」が整い、 我々3Dマニアが気軽にリアル3Dムービーを世界中に向けて公開できるようになったことには深く感謝しているし、YouTube中の人へのリスペクトは大きい。
しかし、そんなYouTube3Dに、ラテックス系のコスチュームを売るメーカーが粗悪な2D3D変換で制作したPRムービーをウザイほど数多くアップし、 また、著作権を無視した中国人が日本などのグラビアモデルのイメージビデオやミュージックビデオを2D3D変換して多数アップしまくったことから、 それらは真の3Dマニアからは「汚い2D3D変換を飽きずにアップしてウザすぎる」と罵られていたが、今回のYouTube自身による自動2D3D変換機能の追加は、 投稿者側による粗悪すぎる2D3D変換よりもYouTubeのコントロール化での均一な品質の2D3D変換の方がマシだという判断かもしれないが、 3Dマニアから見ればどちらも似たり寄ったりの同じようなレベルである。
これは、2009年後半から3Dテレビのプロトタイプや技術の公開を始めたパナソニック、ソニー、東芝などの大手メーカーが、3Dコンテンツ不足を補うために 実装し、また、サムスンもK−POPの売込みを兼ねて韓流アイドルのプロモーションを2D3D変換で行ったり、そしてアダルト・コンテンツメーカーも 初期には過去の2D作品を簡易な2D3D変換で焼き直してリリースしたりしたことなどが背景にあると思う。
しかし、莫大なコストを掛けて変換を行っているハリウッド作品でさえ、その違和感や物足りなさが3D映画全体に対する評価を引き下げてきたことは2010年以降の ボックスオフィスの実態を見れば明白であるし、ましてや、パソコンやウェブサーバ上でリアルタイムに変換可能な簡易な2D3D変換では、単に複数のレイヤーを 重ねたような、かつ、前後関係がはなはだ不正確なもので、デメリットの方が大きい。
2ちゃんねるの「3DでAV見たい その2」スレッドを見ていると日本でもようやく2D3D変換のインチキさに気付いた人が増えつつあるが、 未だに3Dテレビメーカー、カメラメーカー、映像編集ソフトメーカーの開発者のほとんどは3Dとは何かを分かっていない、もしくはリアル3D映像が実際には3Dに見えていない エンジニアが多すぎるように思える。
結局、現在の3Dは、ハードもソフトも、「自動車の運転免許を持たず運転をしない人が自動車の設計や製造を行うようなもの」と同じような 状況なのだと思う。
既に2012年第1四半期を終えた今、そろそろパソコン上で「2Dもしくはステレオペア映像から高精度なデプスマップを生成・制御し、極めてリアル3Dに近い3D映像、 もしくはスクリーンサイズや視聴者の好みに応じてパースペクティブ強度可変な3D映像」を実現させてもらいたいものであるし、 3Dに関わる全てのエンジニアはその方向でも研究開発を進めてもらいたい。




■ 偏光方式ならではの3Dメガネ...アナキン・ポッドレーサー3Dメガネが400円!(2012年3月22日)■
 ※参考記事は "ファイル・ウェブ" のウェブサイトから

低予算な2D3D変換で評判が悪く全く盛り上がっていない『STAR WARS エピソード機織侫.鵐肇燹Ε瓮淵 3D』は日本でのロードショー館は明日3月23日で終了だが、 RealD方式とMasterImage方式の3D上映館で使えるエピソードI限定の円偏光メガネが3Dマニアに売れている。
まずそのデザインが、少年時代のアナキン・スカイウォーカーがポッドレーサーとして操縦する時に掛けているメガネの雰囲気をかなり上手く再現していながら スターウォーズのロゴ入り袋に入って価格は400円と良心的。
RealDなりMasterImage用ならばZALMANや有沢Xpol(オンキョー、富士通、NECなどの偏光方式の3Dパソコン)並びにシネマ3Dと同じLGディスプレイのiPSパネルを 使っている三菱の3Dモニターでも使えそうなことにマニアの関心があったわけで、私も映画は観ずにTOHO シネマズ系映画館の売店で1個購入し、 早速編集で使用しているZALMAN初期型3Dモニター、オンキョー3Dノート、三菱3DモニターRDT233WX-3Dで試してみた。
結果は予想通り、クロストークが出てしまう視差の強い部分が薄く青紫になることと、偏光角度が若干右回り寄りで緑が少し強くなる傾向はあるが十分使える。 シネマ3Dテレビやパナソニック、イオン限定の偏光方式3Dテレビでも使えれば3Dの普及には非常に良いデバイスなのだが量販店に行って試す時間が今の私には無いのが残念。
ちなみに「スターウォーズ3D前夜祭」で販売された赤いダース・モール3Dメガネはなんと100円だったらしい。
このように「非常に安い」「家でも使える」「上映3D映画の限定グッズになる」わけだから今後も色々なアイデアを出して3D映画の定番限定グッズにして欲しいものであるし、 エピソードIのポッドレーサー・シーンは簡単に3Dゲーム化もできそうに思えるから、三菱なりLGなりが偏光方式3Dモニター売り込みの第2段としてゲームとこの 3Dメガネをオマケに付けて販売するなどのプロモーションを行うべきだと思う。
また、アメリカでは結構増えてきた「かっこいい好きなフレームの度付きマイ3Dメガネ」をメガネ・チェーン店あたりがTOHOシネマズとタイアップして、グッチなどの ブランドを冠した3Dメガネをそろそろ出さないかなと思う。




■ 1920x1080pフルHDなシリコン・マイクロ・ディスプレイ社のHMD、5月からデリバリー開始!(2012年3月22日)■
 ※参考記事は "silicon micro display" の製品紹介ウェブサイトから

3Dエロスの「3D鑑賞方法」コーナーで紹介してきた3D対応ヘッドマウントディスプレイ(HMD)として注目の解像度が1920x1080pのフル・ハイビジョンで、 HDMIv1.4完全対応(つまりPS3や3D対応ブルレイ・プレーヤーに繋いでフレームパッキン方式の3Dブルレイがそのままフルスペックで観られる)な シリコン・マイクロ・ディスプレイST1080が、先行予約者に対していよいよ5月からデリバリーされるらしい。
当初のプレ・オーダー価格は特待割引で499ドルだったはずだが現在は元もとの希望小売価格の799ドルとなっている。それでも昔のHMDを知る人にとっては、 フルHDで約64,000円前後という価格は恐ろしく安く、先行するソニーHMZ-T1があったからこそ、それを意識した価格設定になっていると思う。
さて、高画質な有機ELパネルを使ったライバルのソニーHMZ-T1(1280x720p)に対してシリコン・マイクロ・ディスプレイは1920x1080pのLCoS(シリコン基盤反射型液晶パネル) で高画質と小型化を狙っている。
かなり大きなイメージのソニーHMZ-T1に対して、まるでスタートレックかX-menに登場するキャラクターが装着しているサングラスのような小型でスリムなデザイン。 外光を完全遮断するのではなくエプソンと同じように10%透過して外が見えるらしい(飛行機内で飲み物とか受け取る際にもグラスが見えるから安心、みたいな感じ)。

気になる「見た感じのスクリーンサイズ」は10フィート(約3m)先の100インチモニターとのことで、結構リアルなサイズ感かもしれない。
HMDは左右の眼に直接左右別々の映像を見せるため、原理的にクロストークが発生せず完全な3D映像を再現でき、お一人様専用として3D映像空間にドップリ と没入することができる。 その反面、そこにあることが分かることからモニター面からの飛び出し・奥行き感を実感しやすい3Dテレビや3D対応PCモニターと違って 「3D映像の中のコンバージェンス・ポイントが把握し難いため飛び出し感が弱い」と感じたり、閉塞感に耐えられない人も居る。
ともあれ、「リビングルームで家族みんなで3Dメガネを掛けて見る3Dテレビ」という幻影が崩れた日本では、お一人様用の高画質な3Dデバイスとして ソニーHMZ-T1が好調に売れているところにこのシリコン・マイクロ・ディスプレイST1080が発売されて3D市場(特に不足している3Dコンテンツ産業)が少しでも 活性化してくれることを願う。
しかし欧米ではフルHDな3Dブルレイ・アダルト作品やネット配信作品がガンガン発売されているのに、国内ではいまだに低調なままでテイクオフできない状況なのが 悲しい。




■ ソニーも偏光インターリーブ方式の3Dテレビを2013年から発売か(2012年3月7日)■
 ※参考記事は "Market Saw 3D" のウェブサイトから

同様の記事が3月5日付けで世界に出回っているが、日本では本日現在、まだソニーは公式発表はしていない。 が、この記事によると既に中国市場向けに偏光方式の3Dテレビ出荷が具体化しているらしい。
ソニーのホームエンターテイメントの副社長(正しくはソニー株式会社コンスーマープロダクツ&サービスグループ ホームエンタテインメント事業本部副本部長(兼)ソニーEMCS・マレーシア マネージングダイレクター) の根岸史明氏の談話として、12ヶ月以内にアグレッシブにこの技術に参入すると明言したらしい。 「我々ソニーの技術者はアクティブシャッター方式に比べて解像度が半分と劣るパッシブ方式は本当は好きではないが、コンシューマーはパッシブ(円偏光メガネ)方式の 利便性を好んでいる」という理由から。
既にLGが3Dテレビ市場では偏光方式で大成功していることからパナソニックも偏光方式に参入すると公表している(日本でも既に低価格モデルは偏光方式モデルが 投入されている)。
またソニーは、OLED方式のテレビを次世代テレビのメイン方式として2013年から市場投入する。

さて、私が数年前に予言している通り、当面の3Dテレビ(モニターも含む)は円偏光メガネで見る偏光インターリーブ方式がデファクト・スタンダードになりそうだし、 1980年代から液晶シャッターメガネ方式で3Dを見てきてその煩わしさやチラツキや左右の時間軸のズレに嫌気がさしていた3Dマニアから見れば当然の結果だと思う。
さらにはサムソン1社からの液晶パネル調達を止めてLGなどからもパネル調達を進めるソニーとしては、 既にアメリカ市場でも評価が高いLGのシネマ3Dパネルを使った方がコストも安く市場に出せるし、 反韓が強い日本市場でもLGはソニーのブランドとして売り込めるわけである。売れている三菱の3Dモニターの中身がどこの製品 (おそらくLGディスプレイのIPS版シネマ3Dパネル)か知らなくとも三菱だからと言う理由でLGよりも高くても日本では十分売れているのと同じである。
しかし偏光インターリーブ方式もあくまでも「高画質で普及価格の裸眼3Dテレビ」までの繋ぎだと思うが、全く新しい革命的な3D方式が開発されない限りは 大型の裸眼3Dテレビには4K2Kパネルが必須であり、普及価格になるにはそれを活かす4K2Kのコンテンツが必要だが現在のフルHDコンテンツからのアップコンバートでお茶を濁すようでは 2D3D変換と同じように市場からは見放されると思うので、民生版の4K2Kカメラも普及しなければならず、そのため、 実際に「ソニー画質」を誇れる50インチ以上の裸眼3Dテレビが30万円を切る価格で普及するまではまだ5年以上掛かりそうに思える。
それまでの繋ぎとは言え、ソニーならば単にLGのシネマ3Dテレビのカバーを変えただけの製品ではなく、ソニーの意地を掛けて、明るく超高画質なOLEDパネルに 有沢製作所とRealDが開発を進めていた「アクティブ・リターダー方式」(試作機はサムスンが完成させているが)でパッシブな円偏光メガネでもフルHDな3Dを実現して欲しいものである。
しかし流れは確実に「裸眼」に向かっているので、画質よりもコストパフォーマンスを重視した方式の裸眼3Dテレビを2〜3年で開発するかもしれないが、 その可能性はテレビ事業の抜本的見直しを進めなければならない崖っぷちのパナソニックの方が先に具体化するかもしれない。




■ オスカー5部門受賞「ヒューゴの不思議な発明」とスコセッシ監督の3D観(2012年3月3日)■

2012年のアカデミー賞で「撮影賞」「美術賞」「音響編集賞」「録音賞」「視覚効果賞」の5冠を受賞したマーティン・スコセッシ監督の「ヒューゴの不思議な発明」。 私は日本での映画館上映を前に既にアメリカでリリースされている3D版ブルーレイで観た。 時間があれば是非とも劇場の大きなスクリーンでも観たいと思わせてくれるほどに美しく完成度の高い3D映画であるし、 20世紀初頭の映画黎明期を築いた先駆者達への深いリスペクトとオマージュに満ち満ちた作品である。
擬似3Dではなく2眼のフュージョンカメラで撮影したリアル3D映画であり、ほとんどをCGで作り上げられた「アバター」や「トランスフォーマー」 「バイオハザード」等と違い、光と影、柔らかく暖かい色、役者の人間としての肌の質感、混雑した駅の雑踏や逆に静寂で荘厳な図書館の空気感などの演出は 2D映画の王道をキッチリ踏まえた上で非常に上手に新しい3Dの技法を重ねている。 もちろん20世紀初頭のパリの街並みなどは「三丁目の夕陽」のようにCGで再現されているし3D効果を意識したパース設定やメインの被写体の前後の動きのある カットも入るが、他のシーンとの連続性で一体となり、三流監督のコケオドシ3D映画とは違い全く違和感が無い。
そして「ニューシネマ・パラダイス」ほどの涙腺を刺激するオチはないがハートウォーミングなエンディングまで、3D映画ということを意識しなくとも、 しかし3Dだからこそ表現できたファンタジーの世界に入り込めた。 スコセッシと言えば私のような老人世代には「タクシードライバー」のようにバイオレンスをリアルに描く監督と言うイメージが強いが、 「ヒューゴ〜」でそのイメージが私の中でガラっと変わった。
映画全体としても素晴らしい作品であるが、私としては3D撮影・編集技術の面で感心した部分が多い。 例えば冒頭から「HUGO」のタイトルが出るまでの非常に長いオープニング・シーンの中で、小雪が舞う夜のパリの街を俯瞰した位置からリヨン駅に飛び込み 長いプラットフォームを駆け抜けて時計台の文字盤の裏に隠れた少年の眼に至るまでのノーカットのシーンや、広いリヨン駅の裏側の迷路のような空間を走り回る 主人公の少年を約1分間に渡ってノーカットで追うカメラワークの凄さにまず圧倒されてしまった。
2Dならステディカムで追っかければいいじゃん的なことかもしれないが、3D撮影・編集をしたことがある人なら分かると思うが、 適切なコンバージェンス調整が重要な実写3D撮影において、このように激しく動き回りながらもコンバージェンスが破綻しないカメラワークは神業に思える。
もちろん湯気や大きな物体の陰といった「繋ぎ」も使ってのことだが、他の3D映画のほとんどが細かなカット割りで繋いでいるのに対して、その限界を打ち破り、 100年にわたって映画人がテクニックを築いてきた2Dの撮影技術を実写3Dでも使える可能性を教えてくれたように思う。

そんなスコセッシ監督の3D映画に対する談話が新聞に掲載されたので引用する。
『いつか3D映画を撮りたいと思っていた』 『1950年代に見た3D映画は、まるで別の惑星に連れて行かれるように感じた。3Dを使えば、私が想像した世界をそのまま創ることができるから』 過去に何度も消えた3D映画の今後については『今が分岐点』とみる。 『初めて映画が作られたとき、人々は音、色、奥行きを求めた。やがて音が入り、色がついた。3Dは奥行きをもたらしてくれるもの。 私は3Dが消えないことを願っているが、眼鏡をかけなくても済むようになり、子ども向け以外の映画に広がるかどうかが鍵になる』(朝日新聞・2012年3月2日夕刊)

ここで言う「奥行き」だが彼は「Depth」とは言っていないと私は勝手に推測している。 あるいは3Dで言うところの「Depth」には単に奥への引っ込みだけではなく前への飛び出しも含めた意味で使われているが、 新聞記者やライターはほとんど3Dに関して無知なので、おそらく「Perspective」のような意味で使われた「Depth」という言葉をそのまま「奥行き」と訳しているのではないだろうか。 なぜならこの「ヒューゴの不思議な発明」は、実際にはかなり飛び出しているからである。 飛び出していながらそれを「どうだ3Dだぞ」という感じに下品にしていないところが流石映画で修士号の学位を持っているスコセッシならではと思えるし、 アクション、SF、ホラー映画以外の分野でも3Dの可能性が十分にあることを歴史に残した作品だと思う。
そしてスコセッシ監督と同様に私も、家でも映画館でも裸眼で3Dを楽しめる日が来ることを待ち望んでいる。




■ 有沢製作所がフツーのノートパソコンを3Dに変える後貼りXpolフィルターを超低価格で発売か(2012年2月29日)■
 ※参考記事は "HARUDAKE.jp" のウェブサイトから

昨年だったか一昨年だったか、毎年6月に東京ビックサイトで開催される「3D&バーチャルリアリティー展(IVR展)」の有沢製作所・アスナのブースの 一角で控え目に参考出展されていた「ノートパソコンのモニター面に自分で貼って偏光インターリーブ3Dモニターに変える有沢Xpolフィルター」 が実際に発売されるらしい。 それも一般的な液晶保護フィルムと同じくらいの超低価格、かつ紙製円偏光メガネ2個付きらしい。

いかにも怪しげなこのウェブサイトは暫定版らしく、製品版では12インチ用と15インチ用の2種類を発売するらしいが対応するノートパソコンの一覧表には まだ12インチしか掲載されておらず、問合せ先も未完成のままだが、既に現在一部の3D愛好者団体に向けてテストに協力してくれるモニターを募っており、 その頒布価格は何と「1000円」という超低価格!(あくまでもテストに協力しアンケートに回答してくれるモニター限定価格)

ここで有沢Xpolについて簡単に説明しておく。
偏光インターリーブフィルター方式による3Dディスプレイ化の特許はアメリカ・ニューヨークの「VRex社」が持っており、かつては「μPol(マイクロポール)」という 商標が有名だったが具体的な製品はほとんど無かった。 そこに液晶テレビや液晶モニターに組み込まれている偏光フィルターの製造技術で定評のある新潟の有沢製作所がこのマイクロポールと同様の性能の ラインバイライン円偏光インターリーブフィルターの製造技術を確立して商標化したものが「Xpol」であり、私の記憶が正しければ既に2001年頃には I.O.DATA製PCモニターのオプション「PFL-PLAY3D-I」(http://www.iodata.jp/prod/multimedia/movie-camera/2004/pfl-play3d-i/print.htm) として発売されていた(当時の価格は15インチ用のみで約6万円であった)。
その後もPC用液晶3Dモニターとして製品化が進められ、2008年にはBS11による世界初の本格3D放送開始に合わせて韓国HYUNDAI-IT社と共同開発した 「世界初の3Dテレビ:E465S」(http://www.stereosound.co.jp/hivi/detail/newsheadline_2045.html) (CEATECでのBS11事前デモではソニー・ブラビアに有沢Xpolを貼ったプロトタイプが使われていたが)や、 その後のNEC、富士通、オンキョー、Acerなどの3Dパソコンに採用されている。
また、2010年からの一般家庭向け3Dテレビはパナソニックをはじめ各社共に当初は「液晶シャッター方式」ばかりだったが、 パナソニックの100万円もする高額な業務用3Dモニター 「BT-3DL2550」(http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100216_349315.html)も、 日本ビクター製業務用3Dモニター「GD-463D10」(http://www.too.com/digitalmedia/3dcg/stereo/gd-463d10.html)も 有沢Xpolを採用しており、その3D画質の優秀性は業界で認められている。
かなりインチキな裸眼3D用のレンチキュラーシート「Pic3D」とは全く違い、有沢Xpolはこのように実績のある3Dフィルターである。

しかしながら、韓国ZALMAN社やLG-Display社が液晶モニターへの貼り付け工程を自動化させて一気にコストを下げて量産化に成功したことに対し、有沢製作所は クリーンルームで1台1台手作業で貼っているため量産化ができず、ピッチズレの不良品発生リスクも多く、結果的に製造コストが高いために苦境に立たされてしまった。
また、2009年春の時点まではソニーの3Dテレビのプロトタイプが有沢Xpolだったのが「フル・ハイビジョンでないことと製造コストか高いためパナソニックとの 競争に勝てない」ことを理由に液晶シャッター方式に鞍替えしてしまい大口需要を失ってしまったことでさらに厳しい状況となってしまった。

このように3D専門家や愛好者にとっては10年以上前から定評のある有沢Xpolフィルターではあるが、本来クリーンルームで技術者が慎重に貼って はじめて完成するものを一般のユーザーが正確に貼れるかという問題については、ピッチズレにより生じるモアレを逆手にとり、 それが見えなくなる位置がベストと分かる「簡単貼り付け用ソフト」を無料でダウンロードできるとしている。 Xpolフィルターそのもののコストは1枚数十円程度だと思うし、今までの完成製品の高額さの原因が貼り付け工程のコスト高にあるわけだから、それをユーザーが 行うようにすれば極めて低価格で販売できるわけである。

■iPad用が絶対に必要だと思う

しかしながら最大の問題は、ピッチに対応したノートパソコン一覧表を見る限り、既に製造を終えたものが多く、ヤフオクなどにもほとんど出品されないようなものばかりという、 いかにもマーケティングが下手な有沢らしいモデル設定であること。これではせいぜい数百枚しか売れないと思う。
そこで誰もが考えるのは、1つのモデルで世界で最も売れており、かつ、中古市場にも無数に出回っている「iPad および iPad2」用を売り出せば、円偏光メガネを 掛ける煩わしさはあるものの、裸眼方式よりも圧倒的に3D画質が良いことから、十分採算が取れる枚数が世界で売れると思うしその場合の価格は2000円〜3000円程度 (ソニーなどの後付け裸眼3Dレンチキュラーの1/3〜1/4の価格)ならば十分にセールスバリューがあると思うし、 iPadとアップルストアを対象に含めることで世界中でアダルトから教育まで幅広く3Dコンテンツ市場が賑わい、 それを観たいがためにさらに有沢Xpol「HARUDAKE」が売れるという好循環のビジネスモデルにすることができると思う。
既にタブレットをはじめ3Dディスプレイは「裸眼」の方向で加速しつつあるが、まだまだ「たまにしか見ないからメガネを掛けても安くて綺麗な方がいい」というニーズは大きいと思う。
よって有沢には是非ともiPad用を発売して欲しいものである。


【補足情報】(2012.03.01)
この情報の根拠を入手したので参考までに掲載します。(ソース提供者保護のため一部は伏字にします)
なお、この通知を受けた人々からはやはり「是非ともiPad用を出して欲しい」という要望が上がっている。
Xpolフィルターの薄さであればタッチパネルに影響は無いと思われるが定かではない。
また、レンチキュラーシートと違い、Xpol貼り付け後も2D表示性能にはほとんど影響しないはずである。
円偏光角度は、3D映画館で最も普及していて、メガネも持ち帰れる、もしくは300円でクリップオン型が買える「Real-D」方式 「MASTER IMAGE」方式の角度に合わせて欲しいし、その方がより普及すると思われる。
何はともあれ、サイトをもっとまともな形にすべきであろう。


〜案内詳細〜
----------------------------------------------------------------------
「HARUDAKE」のご案内
〜既存ノートブックを自分で貼っていただき立体視可能化できるFILM型XPOL〜

このたびアフターマーケット向けに凸版印刷・有沢製作所・TAOT・アスナの4社
で共同開発を行い量産試作品(サンプル)ができましたので●●●●●会員
の皆様にお試しいただきご意見をいただきたいと思っています。

ご存知のように3D市場は始まろうとはしていますが、なかなか盛況である3D
上映の映画館から出てこれなく、また他のメディアでの普及も始まっていません。
立体視できるディスプレイがあまりにも少なく面白いコンテンツを作ろうという
意欲もでて来ないのが実情です。本提案は、この問題点を少しでも解決すべく
各人のお持ちのPCモニターを安価に立体視化していただきステレオ視の魅力の
体験・PRなどに役立てていただければと考えています。

■HARUDAKE サンプル内容

1.概要(参考: http://harudake.jp/)
*立体方式:円偏光パッシブ型、円偏光メガネで視聴
*アライメント:赤緑のモアレ利用による
*フィルム:極薄のXPOL+シリコーンゴム(0.3mmt)
●フィルム(大きさ 約242mmx127mm有効面の60%程度)
*12.1W用(1280x800)(縦ピッチ約0.2mm)または、
*15.6W用(1366x768)(縦ピッチ約0.25mm)
●メガネ 2個)
*柄付円偏光紙メガネx1
*手持ち用円偏光紙メガネx1

利用可能なパソコン機種に関しては、WEBサイトを参照ください。
http://harudake.jp/

2.価格
アンケートにお答えいただくことで特別価格1000円/セット
(大きさはどちらか)を選択していただけます。領収書用意いたします。

3.アンケート提出先
<省略>
----------------------------------------------------------------------

なお、「HARUDAKE」については、既に昨年3月4日に開催された「映像情報メディア学会 情報ディスプレイ研究会」で発表されている。




■ 視差バリア方式の25インチ裸眼3Dモニターを15万円でLGが発売(2012年2月14日)■
 ※参考記事は "AV Watch" のウェブサイトから

『LGエレクトロニクス・ジャパンは、裸眼3D対応の25型液晶ディスプレイ「D2500N-PN」を2月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は15万円前後。
「CINEMA 3D」シリーズの新モデルで、視差バリア方式の3Dを採用。パネルに施された液晶フィルタが視差バリアとなり、左眼用と右眼用の映像を分離。裸眼での立体視を可能にする。パネル解像度は1,920×1,080ドット。視差バリアは3Dモード時のみ機能するため、2Dモードに切り替えると通常のフルHD 2Dディスプレイとして利用できる。
裸眼3Dで表示するには、付属するPCソフト「TriDef」をインストールして、映像を3Dに変換する必要がある。なお、TriDefはBlu-ray 3Dには非対応。HDMIを備えるが、3D対応AV機器/ゲーム機などには対応しない。
3D表示時は、「ヘッドトラッキングカメラ」により、視聴者の頭の位置に追従して視聴距離や角度を計算することで、3D映像を最適化することが可能。独自技術により左眼用/右眼用の映像をリアルタイムでコントロールするため、視聴者がディスプレイの正面から動いても、常に高画質な3D映像が視聴できるという。ヘッドトラッキングの追跡対応角度は左右±25度、上30度、下10度となる。
3D映像の明るさなどを最適化する「3Dカラーエフェクト」も搭載。ブラックレベル、コントラスト、シャープネスを高め、3D映像を明るく鮮やかに表示するとしている。
輝度は250cd/m2、コントラスト比は1,000:1で、DFCオン時は500万:1。2D時の視野角は上下160度/左右170度。応答速度は5ms。
入力はHDMIとHDCP対応DVI-Dを装備。消費電力は40W(オフ/待機時0.5W以下)。バックライトの光を抑える一方で入力信号を増幅させ、液晶パネルの開口率を上げる「SUPER Energy Saving」機能も搭載する。また、累積の節電量やCO2削減量をOSDで確認できる。
スタンドを含む外形寸法は594.3×259.7×444.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量は9.2kg。上20度/下5度のチルトと、90度のスイーベル、130cmの高さ調整も可能。ヘッドトラッキングカメラ接続用のUSBケーブルや、DVI-Dケーブルなどが付属する。 』(以上、AV Watchの記事より転載)

3Dエロスが数年前から論じてきたとおり、3Dの本格普及は「メガネ不要の裸眼3D」から。 そんな本格3D時代を牽引する安価で解像度1920x1080ピクセルな裸眼3Dモニターは、本来ならば日本から製品化されて欲しいものだったが、このサイズでまたまた韓国勢に抜かれてしまった感じだ。

視差バリア方式のPC用裸眼3Dモニターや裸眼3Dテレビは、既に10年近く昔から販売されており、大型のものは主にサイネージ用に現在も改良を重ねながら 販売されており、PC用では2005年ぐらいまではシャープからも15インチ(4:3)のものが発売されていたし(写真参照)、 このシャープの13インチパネルを搭載した裸眼3Dメビウス・ノートやNECの裸眼3Dラヴィ・ノートなどをはじめ、 海外メーカーのもを含めるといくつも製品は存在したが、当時の視差バリア技術(表示固定方式)では7インチ以上の視差バリア方式は画質が非常に悪く 視聴角度も極端に狭くてほんの少しでも頭を動かすと破綻し、周辺部も逆視になることが多く全く売れなかった。 そんな視差バリア方式の弱点が出にくい小さなサイズのものなら現在もニンテンドー3DSや3Dスマートフォン、 I.O.DATAのUSBで繋がる7インチの裸眼3Dサブモニター"Rock Vision 3D"(15,800円)、 レンチキュラー方式ではHDMIでパソコンや3Dカメラに繋がるフジフィルムの7インチ裸眼3Dフォトフレーム"REAL 3D V3"(約4万円) やニコンが会員のみにレンタルしているアンドロイドで動くNEC製の"NF-300i"ものなどがある。

また、ヘッドトラッキングカメラで「視聴者の眼の位置を追尾して表示位置をピクセル単位で最適化する」方式も6年以上も前から3D関連の展示会などで各社から技術公開されていたし、 台湾AUOは一昨年、高画質で明るいレンチキュラーとヘッドトラッキング視線追尾を組み合わせた10インチ(iPadのようなタブレットを想定)や15インチ(ノートパソコン向け)を幕張FDP展で公開し、 それは実際に東芝の裸眼3Dノートパソコン"dynabook Qosmio T851"に搭載されて発売済みであるが製品としては非常に高額だった (写真参照・発売当時約25万円→現在は最安値12万円台/ただし同梱ソフトでは限られた3Dコンテンツしか再生できない)。 そこにディスプレイ界の巨人となったLGから「25インチで15万円」というマニアなら思わず買ってしまいそうな価格設定で発売される意義は大きい。

しかしながら現物を見てみないと評価は尚早だと思う。
何故なら、ディスプレイ業界では既に「裸眼3Dは明るくて発色性も高いレンチキュラー方式だよね」という方向に進んでいる。 もちろんレンチキュラー方式にも「よほど細密なレンチキュラーでなければ2D表示時にそのままでは解像度が落ちモアレなどが生じる」というデメリットがある。 東芝の100万円近くする裸眼3Dテレビの場合はフルハイビジョンの4倍の解像度の4K2Kパネルを使って解像度低下を抑え、 さらに2D表示時はレンチキュラーの特性を打ち消すための逆位相に働くフィルターを入れている。 また、2D時は無色透明で屈折率一定の状態から3Dオンの時だけレンチキュラーレンズに瞬時に変わる「液体レンズ」など、各社独自の方法で対応を進めている。

視差バリアの場合は、基本的にバリア・オフの時は無色透明なので2D画質はスポイルされないが、 視差バリアをオンにするといきなり明るさがほぼ半分になってしまうということ、 3Dに見える視野角度(スィートスポット)が非常に狭いこと、横方向の解像度が半分になってしまうこと等の欠点がある。

明るさの問題は、ソフトウェアで見かけ上の明るさを色やコントラストバランスを崩さずに高めることは、液晶シャッターメガネ方式のNDIVIA 3D VISION 2が既に 「Light Boost」で対応しモニター各社に採用を呼びかけているが、同じような考え方の輝度ブースト機能がこのLGにも採用されているらしい。

また、視野角度を広げる技術としてのヘッドトラッキングの追従速度と正確性も非常に重要であり、このモニターではどのくらい実用性があるのかも実機を見ないと分からない。

さらには「TriDef」ではなく、ブルーレイ3Dに対応しているStereoscopic PlayerやPower DVDなどの3Dプレーヤーソフトの「縦インターレース・モード」で 裸眼立体再生できるかどうかも大きな問題だと思う。
視差バリア3Dモニター自体は基本的には「縦インターレース化された入力信号」ならYouTube3Dをはじめ何でも3Dになるはずである。 例えば多くのマニアは既に視差バリアのニンテンドー3DS、Rock Vision 3D、アンドロイド3Dスマートフォンで立体表示可能な変換ソフトやプレーヤーソフトを開発しているし、ゲーム自体に「縦インターレース・モード」を 搭載したもの(「アバター」など)もある。
韓国では既にDVDやブルーレイなどのメディアでのコンテンツは無くなり、ネットからリアルタイムもしくはダウンロードして観ることが一般化してしまったので、 「ブルーレイ3Dに対応しない」ことに問題意識を持っていないのかもしれないが、 日本を含めた世界市場では、ハリウッド映画もアダルト作品も今後5年ぐらいはブルーレイで提供されると思われるから、個室ビデオやネットカフェに置いて普及させるためにも ブルーレイ対応は必須だと思うし、それは同梱するソフトでいかようにも対応できると思う。

3DモニターをうたっておきながらHDMI端子が1.4に対応していないのも大きな問題である。プレステを繋げて3Dゲームや3Dブルーレイを楽しめればそれだけでも 世界市場で一定規模以上のユーザー数を確保できるし、もしこれにソニー、ビクター、パナソニックの3Dカメラを直接繋げて裸眼で撮影状況を モニターできれば、撮影現場でも非常に重宝し、コンバージェンスやステレオベースの調整などが格段に行いやすくなるはずである。

視聴距離も問題である。パソコン用モニターとして想定した場合、25インチでも机の上では眼から60センチ以下くらいの近距離で観ることが一般的だと思うので、 その距離でも立体効果が発揮できるのかも実際に見てみないと評価できない。

横解像度が半分になってしまう欠点は視差バリア方式では現在のところ解決できないし、解像度最優先のマニアはその点を挙げて常に批判するが、 960x1080pでも元映像の画質が良ければ3D効果を楽しむには十分だと私は思うし、そもそも3Dに過大な期待を持ってはいけないという認識も定着し、 ハリウッド映画、音楽、アダルトなどを3Dで気軽に楽しむという意味からは解像度半分の偏光インターリーブ方式が既に市場に受け入れられていることからも 一般消費者にとっては解像度半減というデメリットよりも「メガネ不要」のメリットの方が格段に大きい。

なお、現在の視差バリア方式の裸眼3Dモニターに使われているベースの2Dモニターは一般的な2Dモニターではない。 昔は普通の2Dモニターに視差バリアパネルを被せたものも使われていたが、RGB配列が通常の2Dモニターは「横配置」なので視差バリアで仕切った場合に どうしても色ずれ・色にじみ・モアレが発生してしまう場合が多く、そのため、現在では専用の「RGB縦配列」の特殊な2Dモニターが使われており、 ある程度まとまった数量を製造・販売できるメーカーでないと実現できない。
また、視差バリアパネルもここ3年ほどの間に一部の専門メーカーで品質が非常に高まってきた。視差バリアは単にベースとなる2Dモニターの画素に合わせるだけでなく、 バリアの幅と高さに加えてどういう角度で斜めにカットするかが(実際のバリアの形は台形らしい)3D時の明るさやクロストークに大きく影響し、 それは理論値だけでは導き出せずに試行錯誤で最適値を見つける、つまり各社のノウハウの部分が大きく、 その点でも残念ながら黒いバリアバンドが出てしまう日本製(シャープ)や中国製よりも国策として3Dへの助成制度が多く 実証研究が進んでいる韓国製の方が画質が良い。

ともあれ、「家族皆で一緒に見るリビング3Dテレビ」という幻想が既に崩れ、ソニーのHMDが売れていることからも「3Dはひとりで楽しむもの」 という流れが定着してきた現在、お一人様用の「体を動かしてもメガネ不要で裸眼で見える3Dモニター」の登場は、個人や個室ビデオ、 ネットカフェ、街角サイネージを通じて3Dの普及と3Dコンテンツの需要拡大に向けて大きな意味があると思う。

ただし、22インチの偏光インターリーブ式3Dモニターが現在最安値で1万円台で買えることを考えると、25インチ15万円は割高感が非常に大きい。 できれば20インチ前後でも良いから実売価格が7万円以下のものがLGなり他社からもラインナップされ、HDMIv1.4でプレステや各社3Dカメラに繋がり、 ブルーレイ3D対応プレーヤーソフトとネイティブに3Dゲームにも対応したソフトを同梱したものが発売されることを願う。

【補足】(2012.02.16)
裸眼3Dモニターで用いられる「ヘッドトラッキングカメラ」は、パソコンゲームなどで使われている「頭や体の動きに合わせてグルッと視界を変える」 ものではなく、正常に立体視できる狭いスイートスポットを「眼の動きや位置に応じてリアルタイムに左右にズラす」ために使われ、視界自体が変わるものではない。
ちなみに2010年にAUOが発表し、翌年発売された東芝"dynabook Qosmio T851"に搭載された裸眼3Dパネルのヘッドトラッキングカメラは、 視聴者の顔全体を認識するのではなく、「眉毛と鼻筋のT字」で素早く捕捉し、体感上は1/100秒〜3/100秒ぐらいの速度でスイートスポットを修正していた。 また、眉毛と鼻筋のT字の傾きは45度ぐらいまでは追従していた。

また、50インチ以上の大型の裸眼3Dモニターは、外科手術のモニターとして高額でも需要がある大病院や大学向け、並びに、空港やホテルのロビーなどでのサイネージ向けに ベンチャー企業が中心に高画質化を進めており、2010年以降の3Dフェア、3Dエクスポ、フラットパネルディスプレイ展(FPD展) では年を追うごとに高画質化が進んでいるが一般家庭が手軽に購入できる金額のものは無い。



■ 困った方向に向かう日本製の家庭用3Dムービーカメラ...救いはセミプロ向けパナソニックZ10000か...(2012年1月28日)■

日本での3Dブームはわずか1年で終息してしまったが、それでもパナソニックとソニーからは家庭用3Dムービーカメラの後継機が発売される。
2Dカメラに3Dコンバージョンレンズを付けて3D撮影可能とするパナ機の「フルハイビジョンで3Dムービーを撮れる」仕組みが私には全く分からないが、 前モデルの3Dコンバージョンレンズでは全くカキワリにしか撮れなかったし、後継機のステレオベースも製品写真を見る限りでは相変わらず狭そうなことから Dエロスでは導入しないので興味は無い。
ソニーからはHDR-TD10の後続機としてTD20が発売されるが、こちらのステレオベースは21mmと前機種よりも10mmも狭くなり、ブロギー並みになってしまっている。
これでは被写体まで20cm〜30cmぐらいまで寄らないと正しいパースで撮影できないと思う。
このコラムで以前から指摘してきたように、3D映像のキモの1つが「適切な視差量」であり、それは撮影時の被写体までの距離とレンズの長さ(画角)と2眼の間隔 (ステレオベース)で決まる。3Dコンソーシアムの安全基準を守っていれば良いというものではない。
もちろん3DのABCを知らない全くの素人が極端な視差量で撮ってしまう危険性は、民生機の場合は排除しなければならない。しかし、「ステレオベースは狭ければ安全」 というものではないことを今回は指摘したいと思う。

■矮小ステレオベースによる弊害

3Dエロスでも昨年ビクターTD1とソニーTD10を導入して撮影を行っている。この2台の導入により、 ハイビジョンカメラ2台のツインリグ(ステレオベース約65mm)によるそれまでの撮影に比べて編集工程がメチャクチャ楽になったことは事実。
しかし、編集中も仕上がったものをラッシュしても、どうしても私には違和感がある。
具体的には、例えば下のようなモデルの全身がフレームインした撮影距離約2mのシーン(ステレオベース34mmのビクターTD1による撮影ファイルから キャプチャーし交差法配置に変換。コンバージェンスポイントは男女の性器の結合部分に調整したのでモデルの上半身や背景は全て画面より奥に定位している)の場合、 明らかにステレオベースが狭いことからパースの圧縮が生じている。 3Dをたまにしか観ないカメラ開発エンジニアには分からないのかもしれないが、この狭いステレオベースによる圧縮されたパースを人間の脳は記憶に刻まれたパース情報データベース (人物の大きさがこれくらいに見えるならば背景までの距離はこれくらいといった記憶)に基づいて補正しようとする。 が、動画だからどんどん新しいフレームが視覚に入ってきて、脳はひたすらそれを補正しようとして疲れ、そしてその結果、 「背景が常に前に迫ってくるような感覚」が生じてしまう(以上の分析は私の推測に過ぎず学術的な裏付けは無い)。
これは私だけの感覚ではなく、2〜3人の3Dマニアに聞いた範囲では彼らも同じような違和感を訴えた。
この「狭いステレオベースによる背景前進現象」(そんな専門用語は無いが)は、私が知る限りでは3Dコンソーシアムからも主な大学の3D研究グループからも報告は されていないが、3Dを見慣れれば見慣れるほどこの「背景が迫ってくる」違和感が気になり疲れてしまう。
要するに決して「ステレオベースは狭ければ安全」でなく「正しければ安全」なのだと思う。そのためには、撮影距離、レンズの長さ(画角)に応じた適切な範囲の ステレオベースが必要であり、逆にステレオベースを固定した場合は、適正なパースで撮影できる範囲は「ここからここまで」とハッキリ明記するべきだと思うし、 中途半端な狭いステレオベースのために立体感も無く、観ても疲れるだけのような3Dしか撮れないのであれば、高画質な2Dで撮影・鑑賞した方がよほどマシだと思う。

「視差が強すぎる3D映画」や「ステレオウィンドウ破り」が多かった過去の経験から、3Dコンソーシアムや学界では 「狭めのステレオベースと視聴者寄りのコンバージェンスポイント信仰」が広まってしまっているが、「狭いステレオベースによるパース圧縮の弊害」 についてもきちんと研究を進めてもらいたいと思う。

そんな家庭用3Dムービーカメラとは違い、ハイレベルなアマチュアやセミプロ向け、そしてヨーロッパでは3Dでも中継されるロンドン・オリンピックでの あらゆる場面での取材用カメラとして開発されたパナソニックのHDC-Z10000は、前機種とも言うべき世界初の量産型フルハイビジョン3DムービーカメラAG-3DA1のダメな 箇所を見直し、価格が1/10近くに安くなった割には非常に完成度が高い3Dカメラだと思う。
前機種の3DA1は、セットで250万円ほどするにもかかわらず、当時の3Dブームに乗って各放送局やAV制作会社がこぞって購入し、 この手のキワモノカメラとしては異例の台数を短期間に売り上げたようだが、3Dのイロハを全く分かっていない2DカメラマンたちがAG-3DA1で撮った初期のAV作品は 酷いものばかりだった。 ステレオベースが70mmぐらいのため、被写体まで3.5m程度までしか寄れないのでやたらとズームを使ってしまいペチャンコな絵になってしまっていたり、 ステレオウィンドウのはるか前にガラス窓とか鉄格子とかが置かれていて頭がグラグラしたりするものばかりだった。 それは日本の3DAVだけでなく、3DA1で撮られてた海外のAVも同じようなものだった。
そのため新しいHDC-Z10000では、どうせ立体に映らない遠景は諦めて近接撮影(最も撮影頻度が高い人物のバストショットからそれより近い撮影距離)を重視して、 ステレオベースを42mmとし、広角端のままで被写体に40センチまで寄れるようなセッティングとした。
これはまさにAVの撮影範囲にピッタリなセッティングだと思うし、その最短距離から少しだけズームすれば、AVでは当たり前の局部ドアップも違和感の少ないパースで撮影できると思う。
しかし、それでも「流石メイド・イン・ジャパンだね」と評価されるような新しい技術は見えてこない。
3Dにとってのキモであるステレオベースを、どんな被写体との撮影距離に対しても最適値に可変できてこそ、あるいは高画質なままで後からステレオベースを可変にできるような 高度なデプスマップ技術を開発してこそ、日本のカメラ技術・映像技術に対する評価が再び世界で高まると思う。

ともあれ、HDC-Z10000の実売価格がもう少し安くなったら3Dエロスも1台導入する予定だが、アダルト以外の撮影(コンサートやイベントなど)でも使いたいので、 広い撮影範囲でも適正なパースが撮れるようにステレオベースを拡張するイクスパンダーを装着できるように、簡単に取り外しができるフードにしてもらいたい。

【オマケの雑感】
パナソニックの業務用初号機が「AG-3DA1」といういかにも初モノなネーミングに対して新しい「HDC-Z10000」の「Z10000」というネーミングからは 「民生機としては究極・最高よ」というメッセージと「これでもう民生用3Dカメラは打ち止めよ、おしまい」みたいな両方のイメージを受けるのは私だけでしょうか?




■ アンドロイド4.0・8インチワイド・グラスレス3Dタブレット「WikiPad 3D」続報(2012年1月23日)■
 ※参考記事は "CNET.com"及び"PC World.com" のウェブサイトから

現在私が最も注目している3Dデバイス、8インチでアンドロイド4.0で裸眼3Dでゲームコントローラーを装着可能な「WikiPad 3D」の続報です。
アメリカのメジャーなコンピュータ&IT専門情報サイト「CNET」「PC World」に取り上げられて実際に動いている様子や価格情報などが掲載されました。
「CNET」には取り外した状態のゲームコントローラーやWikiPad 3D本体の複数の写真が掲載されていますが、ゲームコントローラーは既に金型から起こしたような質感ですが、 WikiPad 3D本体は裏側のプラスチックの質感が3Dプリンターから起こしたような印象です。
「CNET」では写真は詳しく載っていますが記事自体はさほどでもありませんが、バッテリーで6時間駆動できるらしいことと、 取材したJosh氏の意見では「アバターを見たけどそんなに感動的でなかった」と書かれています。
「PC World」には、モニター解像度自体は1280x720ピクセルで3D方式が視差バリア方式であること、2Dと3Dはスイッチで切り替えられること(物理スイッチかは不明)、 2D/擬似3D変換機能があること、またPC Worldでも3D表示時はシャープさが悪いことが指摘されています。
CPUは製品版では3Dゲーム・ステレオ表示ができるNDIVIAのクアッドコア「Tegra 3」を載せるそうです。内部ストレージは8GB、マイクロSDカードは32GBまで対応。
価格は本体が200ドル、専用ゲームコントローラーが50ドルだそうです。(CNETではトータル300ドルぐらいと報じていますが...)
ともあれ、過去の3Dベンチャーのように花火だけ上げていつまで経っても製品は発売されないのと違い、春には本当に発売されるようです。
問題は3D画質ですが、おそらくWikiPad.Incにはきちんとした3Dアドバイザーがおらず、視差バリアパネルの選択がいい加減なのかもしれません。
私が色々と見てきた範囲では、中国製の視差バリアパネルはバリアの幅が広く斜めのカットが粗いため、 「暗い」「角度によっては黒帯のバリアバンドが見えてしまう」「上下視野角度が狭い」「そのため3D感が乏しい」といった欠点があり、 韓国のNDIS社の方が数段綺麗です(その分価格は高くなりますが)。
視差バリアパネルにそんなに違いがあるのかというと、例えばビクターの3Dカメラ「GS-TD1」はカメラ自体の画質は良いのですが視差バリア3Dモニターの品質が非常に悪く、 ソニーのHDR-TD10より遥かに劣った3D画質でしかモニターできません。この2台のカメラは同じ時期に開発されましたが、 視差バリアパネルの品質の違いでモニター時の画質に大きな差が現れてしまっています。 今回の2誌の指摘を受けて、WikiPad 3D製品版では視差バリアパネルの品質を向上させて3Dらしく見えるものに仕上げて欲しいものです。



■ HPからメガネ2個付き24,990円の23インチ・フルHD偏光3Dモニター発売...今後も偏光方式が主流か(2012年1月19日)■
 ※参考記事は "Engadget Japan" のウェブサイトから

最近PCショップでソニーのPS3用アクティブシャッター方式の3Dモニターを見たが、もの凄くシャッターのパチパチ感が強く、店の蛍光灯との干渉かと思いきや、 白い紙の上にメガネを置いて見てもハッキリと肉眼でシャッターの開閉が見える。10年以上昔の液晶シャッターメガネから全く進化していないという感じだった。 それでもフル画素に拘る人には良いのだろうが、これで長時間ゲームをしたり、2時間の映画を観るのは正直「今時ツライ3Dだな」という印象だった。

現在、本家3Dエロスにおいて、3D鑑賞環境や経験年数についてアンケートを行っているが、少ない回答結果ではあるが、かなりの比率で2010年の3Dブーム以降に 3Dを体験するようになった人が多く、その中でも最近の「裸眼3Dスマートフォン」から3Dにハマった人が多いように思う。
なので、そんな3Dニューカマーな人々には現在出回っているもので何が良い方式なのかが分からない人がほとんどだと思う(もちろん最終的には裸眼でフルHD以上のものが良いのは明白だが)。
2009年当時、既にソニーは偏光方式による試作機を発表していたが、同じ頃にNDIVIAがパソコン用モニター向けに、そして2010年からはプラズマテレビ用にパナソニックが 1980年代からの3D技術でもすぐにフルハイビジョン画質で製品化できるものとして液晶シャッターメガネ方式(アクティブシャッター方式=AS方式)を採用したことに始まるが、 「高い」「メガネのメンテが面倒」なことと「いくらハイビジョンといってもその画質で見られるまともな3Dコンテンツが数作品しかない」ことから、 各社の思惑に反して全く普及しなかったことは日本のテレビ史上に残る汚点だと思う。
そして現在、LGの偏光方式3Dテレビが米国で人気が出たことから、「どうせたまにしか見ない3Dなら、安くてお手軽で、疲れない方がいいんじゃない」という認識が 広まってきており、日本メーカーも偏光方式にシフトする動きが進んでいる。
その流れは当然にパソコン用モニターにも及び、LG、三菱に続きメジャーブランドとしてHPから本日23インチ1920x1080ピクセル、偏光メガネ2個付きで24,990円という 安価な偏光3Dモニターが発売された(おそらく中身はLG製だと思われる)。入力系統も一般的なユーザーには十分な数が揃っている。 5年ほど前までは22インチで24万円した偏光3Dモニターが10分の1の価格になったことは感慨深い。

さて、ここで改めて3D初心者向けに偏光3Dモニターの利点を説明すると、
  ^造てお手軽(NDIVIAのようなOSやグラフィックボードやモニター性能の縛りが無い)
  液晶シャッターメガネよりも明るくチラツキが無いので眼の疲れが少ない
  1嫋愁轡礇奪拭爾里茲Δ丙険Δ了間的ズレがなく3D動画の不自然さが少ない(時間差が分からない人も居るが一般人でも1/240秒までは識別できるはず)
  な亳モニター用のフリーソフトが多く出回っており、また、自作も比較的簡単にできる
  ナ亳メガネは機械的な故障も電池の必要も無く映画館(RealD方式)や偏光3Dテレビと共有できる場合が多く安いものは300円で買えるしフレームをオーダーもできる
その反面、欠点は、
  ―弔硫鯀度が半分になってしまう(キャプションなどの文字があるコンテンツや高精細な3D静止画には不向き)
  ⊂絏爾了詭邀僉複械弔妨える範囲)が狭い
ことであるが、3D映画やYouTube3Dなどを机の前にフツーに座って見る限りにおいては私には問題は無く、液晶シャッター方式に対するメリットの方がはるかに大きい。
しかし、ZALMANや三菱の偏光3Dモニターは2D表示時も特に支障は無いが、安いLG製は白地バックなどの時に偏光フィルターの横筋が見えるという指摘もあるので、 実際の購入に当たってはPCショップなどで自分の眼で、許せる範囲か否かを確かめることをお薦めする。

ともあれ、3Dモニターが限りなく1万円台に近づき、2D環境との差がほとんど無くなって来たことから、今後、 ゲームを含めて3Dを活かしたコンテンツやサービスが増えることに期待したい。
モバイルは「裸眼3D」、家では「偏光3D」が今後のデファクト・スタンダードになるかもしれない。もちろんマニアには「プロジェクター」や「HMD」という選択肢もある。



■ 多眼3Dデジタルカメラが発売されるか...そしてGoProHD2 3D Hiro の対抗馬も!(2012年1月17日)■
 ※参考記事は "Digital Camera Reviws" のウェブサイトから

8インチの裸眼3Dフォトフレームとセットで300ドル前後(日本円で約22,500円)の3眼デジタルステレオカメラが香港企業からCES 2012に出品されたようです。 併せて、笑っちゃうくらいにファニーな「6眼デジタルステレオカメラ」も情報のみ公開されたようです。

開発者は銀塩フィルムカメラ時代の1980年代に4眼のステレオカメラ「NIMSLO 3D Camera」を開発したAllen Loという人らしい。 「NIMSLO 3D Camera」に関してはWikihttp://en.wikipedia.org/wiki/Nimslo)に載っているので興味のある方はお読みください。 当時の日本の3Dカメラにもそのコンセプトと技術が使われていたそうです。

彼のコンセプトは、あくまでもレンチキュラーによる3Dプリントの原画撮影用のカメラであり、現在の一般的な3Dマニアが求める 「ステレオベース可変もしくは選択可能なハイビジョン3Dムービーも撮影可能な多眼3Dカメラ」とは違う。
あくまでもフジフィルムが現在行っている「レンチキュラー3D写真プリント」と同じような、写真館やラボ向けの75,000ドル(日本円で約570万円)の3Dプリントシステムの 一環としての製品化を考えているようだ(http://www.twice.com/article/479014-CES_2012_LO3D_Launches_3_Lense_3D_Camera_System.phpを参照)。
3眼のLDC-1も6眼のLDC-1Proも価格から推測すると画質的にはトイカメラ程度のものと思われるし動画の撮影については全く情報が無い。

さて、同様の写真館向け多眼カメラは既に5年ほど前の横浜「3D EXPO」にフジフィルムが6眼の実物と9眼の参考写真を出品していた。併せて、 非常に高画質なレンチキュラー写真プリント(6つ切りくらいの家族写真やお見合い写真だったと思う)も出品していた。 フジフィルムの9眼カメラは横幅が60儷瓩あったように思う。こちらも動画については全く考慮されていなかった。
日本では3Dテレビが失速したことで3D全体が「なかったもの」みたいな状況だが、大日本印刷も凸版印刷もレンチキュラー写真プリント技術の高画質・低価格化を 進めており既に実用レベルに達している。サイネージ用にはやはり大サイズで立体効果も分かりやすい立体ポスターが必要なのである。
そして、レンチキュラー3Dプリント用の多視差の原画は、フジフィルムの場合はフジW3等で撮影した2視差映像から人工的に6視差ぐらいを生成して振り分けているが、 当然に画質や正確性は損なわれてしまうので、レンチキュラー3Dプリント並びにレンチキュラー方式の3Dモニター向けには撮影時に一度に多視差で撮れるものが 望ましいのである。

3Dマニアとしては、過去にも書いてきたように、このような多眼で、かつフルハイビジョン3Dムービーも撮れるカメラが欲しいのである。
ま、現在の日本企業では無理なように思えるから、ドイツあたりのメーカーが真面目なレンズと映像素子で(実際の製造は台湾でも中国でもよいから)作って発売して欲しいものである。

もうひとつの注目出品は、フランスの「Camsport社」が発表した小型の2眼フルハイビジョン3Dカメラ「Fusion 3D」である。
製品コンセプトは、現在ヘビーデューティーなヘルメットカメラとして世界中の放送局やアスリートたちに引っ張りだこの「GoProHD2」の3D版ツインリグ 「3D HERO」に対抗したもののように思える。
防水ケースはオプションだが、最初から2眼かつカメラヘッドが180度回転し、小さいながらも液晶モニターが付いているのでGoProのような暗号じみたファンクションで 2台のカメラをセットせずともすぐに撮影と再生ができることは嬉しい。
特筆すべきは、1枚のSDカードに左右のファイルが記録されるのではなく、2枚のカードに別々に記録される。そのため、2D撮影モードでは左右別の解像度やホワイトバランス、 シャッター速度で記録することができる(私のような単純な3Dマニアには別に無くてもよい機能ではあるが)。
3D VISION BLOGのBloodyさんは、このカメラのステレオベースを約30mmと推測しているが40mmぐらいありそうにも見える。
センサーは各500万画素のCMOS、画角は135度のワイド、動画形式はMOV、フレームレートはフルハイビジョンで30fpsまで、720pで60fpsまでと公表されているがプログレッシブなのか インターレースなのかは不明。
気になるお値段は、599ドル(約45,000円)と噂されており、発売は2012年春。
男優が見たまま目線のヘッドマウント3Dカメラとして使う場合には実績でGoProHD2の方が間違いは無いが、1台のカメラで撮影可能な点ではこの「Fusion 3D」が使いやすいように 思える。
ともかくYouTubeなどにこれで実際に撮影した映像がアップされて評価可能となり、ユーロが安いうちに発売されて欲しいものである。

しかし、本来は日本のお家芸とも言えるこのようなカメラを、どのメーカーもコンセプトすら発表しない(昨年キヤノンは近未来の3Dカメラのコンセプトを発表したが 製品化への動きは全く無い)。
ニッチとはいえ、裸眼3Dスマートフォンや裸眼3DアンドロイドパッドPCなどが確実に普及していくことを考えると、このような「3Dらしく撮れる」 3Dカメラのニーズは確実にあるし、フジフィルムW3やソニーやビクターの3Dカメラに見られる「ダメ出し部分」は明確なのだから、 それらの欠点を改善しただけのものでも良いから日本企業に頑張って製品化して欲しい。

【参考:3Dエロスが感じている日本の民生用3Dカメラのダメな部分】
・フジフィルムW3:静止画・動画共に基本画質が悪すぎる。3Dムービー撮影時にマニュアルで撮れない。720p/25fpsまでしか撮れない。左右のホワイトバランスが違う。
・ソニーTD10:ホワイトバランスが安定せず暴走する。ステレオベースが狭すぎる。3Dムービー撮影時にマニュアルで撮れない。3D静止画が撮れない。
・ビクターTD1:ステレオベースが狭すぎる。手ブレ補正が甘い。3D静止画の解像度が低すぎる。



■ CES 2012 に見る3Dの今日と明日:タブレットやスマホから裸眼3Dが普及して全体を牽引するか...(2012年1月14日)■

日本でも3D対応のスマートフォン、ニンテンドー3DS、3Dテレビ、3D対応パソコンの普及総数が昨2011年末時点でおそらく1000万台を超えていると思われるが、 相変わらずのコンテンツ不足、3Dを活かした使い方の啓蒙が全く行われていないこと、長引く不況による日本市場での3D関連商品販売からの撤退などから、 日本人の大多数は「3Dは終わった」といった雰囲気だと思う。
しかし世界を見ると、3Dは日本のような急激なブームではなく、新しい映像メディアのひとつとして着実に普及段階に進んでいる。
今年のCES 2012で韓国勢が発表した50インチを超える大型の有機ELテレビや各社のインターネットとの親和性を高めたスマートテレビなども、報道は少ないが 3Dは標準機能として対応しているものが多い。その背景には、日本と違いアメリカやヨーロッパそして中国では、スペックを重視する映像マニアはあくまでもマイノリティーで、 3D画質うんぬんよりも「手軽に楽しめる」ことを優先しており、スポーツ、音楽、バラエティー、アダルトの商用3D専用チャンネルも増えてきており、 「次に買うテレビは?」というアンケートに9割近くが「3D対応テレビ」と答えるといったように確実にニーズが広がっているからだと思う。
また、フィールドシーケンシャル+液晶シャッターメガネ方式(アクティブ方式)と円偏光メガネ方式(パッシブ方式)の市場争いは、 アメリカのマーケットでは既にパッシブ方式へのシフトが進んでいるらしいが、液晶シャッターメガネの低価格化とフィールドシーケンシャル対応が大型テレビの 標準機能の一つとなってきたことからアクティブ方式は裸眼3Dテレビが普及するまでは今後も生き残っていくと思われる。
しかし価格の高さとイマイチな画質はともかく、実用レベルになってきた裸眼3Dテレビが登場したことで 「煩わしい3Dメガネ方式は普及価格の裸眼3Dテレビが登場するまでの繋ぎ」といった認識が広まってきたように思える。 そのため、今回のCES 2012では、次の大型テレビ買い替え需要期の2015年あたりを目標に、有機ELや微細LED方式の高画質かつ3Dメガネを掛ければ3Dで見られる 方式のテレビと、画質はそこそこだがゲーマーと3Dファンを対象としたニッチな4Kx2Kパネルによる裸眼3Dテレビの2つのストリームで普及価格機の開発が 進むと思われるが、共に50インチ台で30万円を切るにはまだまだ時間が掛かる。

それまでの3年から5年の間を埋めるものとして、3Dを手軽に楽しめて、かつ、数年後の本格的な裸眼3D時代のコンテンツ不足を補う意味からも、 1920x1080もしくはそれを1280x720にリサイズした3Dコンテンツを今から手軽に鑑賞できるデバイスへのニーズが増えてくると思われる。
その一つは、非常に安くなったパソコン用3Dモニターであり、メガネを掛ける必要はあるものの2Dモニターとしての普段使いと机の上で近距離から高画質な3Dを 楽しめるものとして今後も普及は進むと思われる。
では、ニンテンドー3DSと1280x720対応の3Dスマートフォンはどうかと考えた場合、他の3Dデバイスに比べて既に普及台数は圧倒的に多いが、 サイズ的に3Dを本当に楽しめるか、また、それ向けに利益の上がる3Dコンテンツを作ろうという制作者側のインセンティブになるかというと、 4インチ程度の小さな3Dモニターでは迫力の弱さから、3Dマニア以外の人々を惹きつけるには問題があり、 アップルが参入しない限りは大きなマーケットにはなりそうになく、それは過去の裸眼3Dケータイが全く流行らなかったことを見ても明らかだと思う。
過剰なほどに3Dコンテンツが供給されるようにならないと定着はしないし、ハードが増えないとコンテンツを作る側も増えないという悪循環が昨年までの状況だったが、 1280x720pの3Dムービーを再生できる裸眼3Dスマホが数十万台(世界レベルでは数百万台)普及している割には一向に日本で3Dが定着しないことの原因は、 2Dとは比較にならないほどに3Dを再生するためのモニターサイズのミニマム・ラインが高いこと、のように思える。

では、「3Dらしさをそこそこ楽しめる」「邪魔にならない」「安い価格」をキーワードに最適サイズはどれくらいかを考えていった場合、私個人的にはiPadクラスの 10インチでパソコン機能も充実していてそれ1台で日常の情報処理が全て行えてしまうものが理想的だが、 たとえ3Dマニアと言えども「3Dはあくまでもオマケ、1日24時間の1/10ぐらいの2〜3時間程度しか3D機能は使わない」のが一般的な使われ方だと想定した場合は、 パソコンフル機能はもったいない。 逆に、好きな特定の3Dゲームがあれば十分暇つぶしに使えて、メールやウェブ閲覧機能もオマケで使えるような「3Dゲーム機から派生した安価な」ものの方が一般の 人々には受け入れやすいように思える。

そこで今回のCES 2012で私が注目しているものが写真の「WikiPad 3D」(http://wikipad.com/)である。 アメリカの3Dベンチャー企業はCESなどにコンセプトを発表し、投資家から資金だけ集めてトンズラ(もしくは計画倒産)するケースも多いので、 この「WikiPad 3D」が本当に製品化されて発売されるかは不確定要素が多いが、 過去の怪しげな3Dベンチャー企業は製品化まで2〜3年後としていたものが多かったのに対してこのWikPad Inc.は「2012年春から発売予定」と告知していることから 現実味が高く、以下のスペックと価格は非常に魅力的である。

WikiPad 3D
  1.価格:249ドル前後(日本円で2万円弱)← 3D VISION BLOGによる情報で裏付けは無い
  2.サイズは8インチワイドの裸眼3Dモニター(もちろんタッチパネル)
  3.OSはアンドロイド4.0
  4.解像度は1920x1080p動画表示可能(モニター解像度自体は1280x720pかもしれない)
  5.着脱式専用ゲームパッド
  6.2012年3月から発売予定 ← これも3D VISION BLOGからの未確認情報。WikiPad Inc.はあくまでも「2012年春」としているが3月か4月かの違い。

7インチ〜8インチ台の裸眼3Dモニターパネル(視差バリア方式)は台湾・韓国・中国製がほぼ全てだと思うので、この「WikiPad 3D」もハードウェア自体はおそらく 中国製ではないかと思われるが、ともあれ3Dエロスが4年ほど前から3Dデバイス開発製造メーカーに「こういうコンセプトの3Dモニターを作って欲しい」と お願いしまくっていたものに近いというかそれ以上のものである。
なお、3D VISION BLOGによる情報では「クラウドによる3Dゲーム配信なども考えているのではないか」ということで、スマホなりWiFiテザリング・モバイル・ルーター などと一緒に持ち歩けば時間つぶしには非常に重宝すると思うし、8インチならば3Dでのプレゼンテーションにも十分使える。 マイナー企業の製品だった「GoPro」が今や世界中のテレビ局などでも使われるヘビーデューティーカメラの代名詞に急成長したように、 WikiPad 3Dはクラウドによる3Dゲームや3Dサイネージ、3Dアダルトコンテンツ(チャットを含む)と組み合わせれば、大化けする可能性があると思う。 本当に3月から発売されたら、この価格ならば3Dエロスとしてすぐに1台購入して画質などをテストしたいと考えている。




(コラム中、意見の部分はあくまでもWebmaster 藤山土門の個人的見解です)